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感想 エゴイスト 高山 真 こんな純愛物語は他にないかもしれない。恋愛の性別など関係ないのです。


恋愛なんて独善的なものです。
人間は、みんなエゴイストだと僕は思っています。

この物語は、ほぼノンフィクションの物語です。
ゲイの恋愛が描かれている。

主人公の男浩輔はエゴイストではない。
というか、善人でしょ。
それも究極の。
いや、違うのか、愛か。

スポーツクラブでインストラクターをしてもらうことになったゲイの青年と
子供の時からゲイだという理由でイジメられていた主人公浩輔が出会い恋に落ちる

この言葉が気になった。

ゲイの友達ができた時、好きなものに唾を吐き、好きでないものに涎を垂らすような演技からはじめて解放された。


自分に嘘をつき、ゲイであることを隠すことの辛さ
それがよくわかります。


彼には、病気の母がいる。
そのため身体を売っていた。
金がいるのだ。


彼は、主人公の浩輔を好きになったので、仕事が辛い。
だから、君とはもう会えないと言う。

そんな彼の店に行き、浩輔は彼を買った。彼を諦められない。
こんな仕事は辞めてくれ。
俺が経済的に援助する。
君が苦しむ顔は見たくない。

それから浩輔は、彼に月に10万の援助をすることになる。

彼は、肉体労働のバイトをはじめた。
フラフラになっていた。
いつも疲れていた。
浩輔は事あるごとに彼を助けた。
しかし、彼は死んだ。眠るようにして。


あの男を断頭台の刃の影に置いたのは僕だと思えてどうしようもないんだ。

とある物語のセリフを引用し、浩輔は自暴自棄になる。
自分のエゴのため彼は無理をして死んだのだと思うのだ。

本当にエゴなのだろうか。僕は違うと思う。
好きでもない相手に身体を売ることから彼は解放しただけなのだ。
それは独占欲なんかじゃない。愛だ。

愛に性別などないのだと思った。

ただ、相手を思う気持ちのみが真実だということが、ここには示されています。その情熱が文字に乗り移っているかのようでした。


油断しているとヤバいですよ。
涙が滝みたいに止まらなくなります。

事実にそくした物語の強さを感じました。






2023 9 18



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