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感想 俺たちの箱根駅伝 池井戸 潤 駅伝に興味がなくても、この物語の熱量の凄さには圧倒されると思う。池井戸作品の中でも珠玉の一つだと思う。
池井戸さんの小説は銀行や企業などのお仕事小説が多いのですが、スポーツを扱ったものにも優れた作品はあります。
本作は、恐らく、池井戸作品の中でもスポーツを描いたものの中では一番熱量がある作品だと思われます。何度も何度も読んでいて目頭が熱くなりました。
僕は箱根駅伝は見たことがない。興味すらない。ですが、これを読んで夢中になりました。
10人の走者みんなにドラマがあり、一瞬たりとも飽きさせない話しになっています。
描き方が秀逸でした。
箱根の代表校に選ばれなかった人たちから選抜されたチームの話しです。
彼らは参加するもののゲスト扱い。だからたとえいい成績を残しても記録されない。これは明らかにおかしなルールなのですが、そんなチームがバカにされながら奮闘する物語です。
チームの視線だけでなく、放送するテレビマンの視線も加わることで別角度で駅伝を見ることもできます。伝える人たちも熱かったのです。
駅伝はメンタルの闘いだと言われています。
ちょっとしたことで走りに影響が出ます。
迷いが出ている選手がいます。有名選手を目の前に目の前の走りに集中できない。
そんな彼に監督が叫ぶ。
お前は今できるベストを尽くせシンプルに考えるんだ。それが箱根駅伝だ。
テレビマンの人の言葉も印象的でした。
機械が走っているわけじゃない。走っているのは生身の人間しかも学生である。確実なものは何もない。だから面白い。
これはたぶん、池井戸さんが一番言いたいことのように思えます。
たしかに世の中には実を結ばない努力もあると思う。だが、何も産まない努力なんかない。
上下巻一気読みでした。
めちゃぐちゃ面白かったです。
2024 5 8
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