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感想 佐藤優の地政学入門 地政学の入門書。これを読めば、あの出来事の背景がわかる的な本でした。

地政学の入門書です。
ちょっと僕には・・・・。内容が簡単すぎ。大学生向きでしょうか?。

これを読んでて感じたのは、地政学の背景には、地理と、その国や周辺の歴史的背景、政治が絡んでくるのだとわかります。

よく言われるランドパワー大陸国家とシーパワー海洋国家の話し
この二つは宿命的に対立すると言われています。

海洋国家の代表はアメリカ、イギリス・・・。
大陸国家の代表は、ロシア、ドイツ・・・。
中国は、陸でもあり海でもある変異系のような気がします。

リムランドという考え方があり、これを理解すると、どうしてウクライナにロシアが執着してるのかがわかる。

リムランドは周縁地帯。
昔から、この周縁地帯はどちらの巨大な勢力にも属さずに中立であった。
東南アジアの中でタイだけが独立していたようなことです。
大国と大国の緊張を緩和するバッファです。
そういう地域があるから、直接対立しないということです。
そういう地域が敵につくのですから、ロシアとしては必死になるということでした。

地政学の理屈から言うと、ウクライナの戦争は理屈通りということになってしまいます。

最近、スリランカがデフォルトの危機になっていますね。
首相不信任とか国際ニュースで話題になっていました。
その背景にあるのが、中国の「一帯一路」構想です。

本書によると、


中国が他国の湾港施設の建設に巨額の融資をするのは、決して貸したお金に対する利子で儲けることが目的ではありません。融資先が債務不履行に陥ったほうが都合がいいのです。というのも借金のかたに湾港施設の運営権を得ることで、一帯一路の構想の拠点を手に入れることができるからです。


デフォルトしたら、それが手に入るということです。
中国って悪徳商人みたいな感じですね。
それはあくまでも本書から伝わる印象ですが・・・。

イスラム国が生じた背景も地政学で見るとわかりやすいです。

これはアラブ地域の歴史と関係してくる。
あの地域は、昔、オスマントルコが繁栄していた。
第一次世界大戦の時、英国はトルコとの戦争で優位に立ちたいために、色んなとこで約束したのです。
その一つに、サイクス・ピコ協定というのがあり、これは大国の間で勝手に決められた国境線ですね。
そんなの認められないとアラブの人たちは思っている。
だから、ああいうことになったわけですよ。
それはイギリスやフランスやロシアが決めたルールで俺たちが決めたルールじゃないというわけです。


最近、原油価格が高騰してますが、そのニュースではウクライナの戦争でロシアの経済制裁のために彼らの原油や石炭、天然ガスの輸入制限し足らなくなったからだという報道がありますが
その背景に実は、サウジがいます。
サウジアラビアは世界でも有数の産油国。前なら、世界の国々に原油が足らないから増産してと言われたら二つ返事でしていたのですが、今回は返事が鈍い。するにはするが少しだけなという感じ。だって、増産したら値段が下落して儲からないもん。

実は、アメリカはサウジに不信感をずっと抱いてて少し前からサウジの天敵のイランと接近中。
その背景には、アメリカはシェール革命が起こってすっごい天然ガスの輸出国となったのです。
つまり、サウジたちOPECとアメリカのエネルギー価格戦争的なのが背景にある。
だから、サウジは中国やロシアに急接近しているということです。

サウジの王族の中にはアルカイダを支援していた者がいたり、ロシアから原発を買おうともしてる。だったらイランのほうが・・・って発想が背景にあり、サウジとアメリカは少し距離ができ、それが原油価格の高止まりの背景ということですね。
地政学で原油価格まで見えてくる。
けっこう、面白い学問です地政学って・・・。


2022  5 14
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