2021 年 5月の読書日記

2021 5月の読書日記

読んだ本の数:20
読んだページ数:6022

GWもあってか、読んだ本の数がすごく多い。
今月も良質な本と出会えました。

ーーーおすすめ本ーーー
デンデラ
家にいるのに家に帰りたい
重力ピエロ
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学び方の学び方の感想
同時にやることはダメなんだ・・・。25分集中し5分休憩する。短期的な記憶を長期記憶に置きかえる。読書の仕方も面白かった。速読には僕も批判的なので賛同できる。メモ的なもの、自分の言葉で書いたコメントを残すことで読みを深める。これは僕も実践済みで有効です。役に立つ学ぶための情報がたくさんあり、とても良い本だと思います。
読了日:05月01日 著者:バーバラ・オークレー,オラフ・シーヴェ

重力ピエロ (新潮文庫)の感想
「春が二階から飛び降りた。」。この意味深な言葉が、冒頭と結末に配置されている。よく同じ言葉が物語の中に出てくる。それは、まるでDNAの二重らせん構造を想起させる。  春と泉水の兄弟は父親が違う。春は母がレイプされてできた子だ。そして、連続放火事件。残された落書き。これは放火と落書きと遺伝子の物語のようであり、家族とは何かを問いかける物語なのだ。桃太郎の解釈。ネアンデルタール人とクロマニヨン人。ガンジー。まさしく伊坂ワールドである。暗号謎解きをしつつ、僕たちは、知らぬ間に、この家族の仲間になっていた
読了日:05月02日 著者:伊坂幸太郎
 

瞳の奥に (海外文庫)の感想
上司の医者と不倫、その妻と親友になる・・・。その浮気相手が妻をモラハラしていると知るのだが・・・。現在と過去をシンクロさせながら物語は少しずつスリリングな展開になっていく。第二の・・・。というのがキーワードとなる。とにかく最後にとんでもないどんでん返し。それも強烈なのが待っていて、そこまでは多少前半は退屈でも付き合うしかない。ネットフリックスでドラマになるらしい。
読了日:05月03日 著者:サラ・ピンバラ

ヴィクトリアン・ホテルの感想
はじまりは、2020年10月の今。明日から休業する超高級ホテルのエントランスです。ラストも同ホテルのエントランスホール。自殺志願の林夫婦。商社マンのリッチな男。有名女優に。作家。それから盗人。一夜の競演かと思いきや、話しに矛盾が色々と生じ、何かパッチワークみたいな進行なのですが、最後の答え合わせならぬ。謎の暴露で大団円。ようするに軸がずれていたのです。巧妙に計算された動きになっていて、それを、わざとらしく途中から惜しげもなく暴露していくミステリー。最後にはネタばれで、正解発表タイム。仕掛けが最高です。
読了日:05月04日 著者:下村 敦史

家にいるのに家に帰りたい (&books)の感想
日常から生じる言葉の数々、作者の言葉に何故か共感した。例えば「みんな平気なのに、どうして?」。そんな言葉が、むしろもっと自分を苦しめる。 たぶん、共感の中には、僕自身の過去の体験とリンクする記憶があり、それが重なったことで言葉と体験の化学反応を起こしたのだと思うのですよ。そういう心に響く表現、言葉がこのエッセイ集にはたくさんあり、自分もそうだったとか、そういうのわかるという気持ちになれます。読みごたえのある言葉の数々でした。とても良い本です。とくに若い女性におすすめです。
読了日:05月05日 著者:クォン・ラビン


沈黙の終わりの感想
連続幼女殺人事件。30年も前から続いていて、それを警察の内部で捜査妨害している人間がいるという話し。新聞記者たちが正義に挑む熱い物語。ラストのオチは好き、これぞ警察小説という感じだった。とても人物が魅力的に描かれていて、読みやすくいいのだが上下巻は長すぎる。この内容なら1冊にまとめられたのではと思ってしまう。少しずつ犯人像に近づき、近づいたと思うと弾き返される。そこが面白い。政治家がこんなふうに現実に事件の隠蔽に関与してたら大変だなと思った。
読了日:05月08日 著者:堂場瞬一

ここは退屈迎えに来ての感想
これって椎名が主人公・・・ではないのか。ローカル都市に住むガールたちによる恋とか夢とか・・・、とにかく、ローカル都市は住みやすいけど退屈だ。何もない。平和。その退屈な日々、年だけはとっていき焦る。だから、好きでもない人と足になってくれる代償として寝たり、16才で初体験をすまそうとしたり、元アイドルの没落というのか田舎の常識、価値観に沈んでいく様は恐怖すら感じた。退屈すぎて、彼女たちは刺激がほしいんだ。そんな女の子たちのローカルガールストーリー、なかなかに読み応えあり。
読了日:05月09日 著者:山内マリコ

ゆげ塾の中国とアラブがわかる世界史の感想
不思議地域である中国とアラブをピックアップし、歴史をたどることにより、その地域の思考形態がこうなったことを読者にわかるように説明してあったのが良かった。中国、清の時代に列強諸国にひどい目にあわされたことと、中華思想のプライドが、現代の頑なな覇権主義に繋がっているように思えた。アラブのことはイスラエルの歴史しか知らなくて、これはどう見てもイギリスが悪い。ようするにアラブを分断させることが国益で、このような戦闘のような状態にしたのだ。フセインもイスラム国も過去のイギリスのやったことに比べると・・・。
読了日:05月11日 著者:ゆげ塾,ゆげひろのぶ,川本杏奈,野村岳司

曲亭の家の感想
直木賞受賞後の第一作らしい。曲亭とは、曲亭馬琴のこ とをさしていて、里見八犬伝の作者である。当時、一番 の時代物の小説の書き手。ビックネームの小説家の大 先生の家に嫁入りした女性の半生を描いた物語だ。旦 那は藩のお抱え医師という、これもエリートなのだが病 気がち。早死してしまう。その後、義父の馬琴とともに跡 取り息子の成長を見守るも、またもや病気になるという 悲劇。しかし、ただの不幸な女性ではなくて馬琴に認め られた人だ。八犬伝の口述筆記にも加わり。後に仮名 本も出筆している。読みやすくおもしろい。
読了日:05月14日 著者:西條奈加

100年後まで残したい 日本人のすごい名言の感想
斎藤さんが好きなので、この人の本はたくさん読んでます。今回は名言。30ほどの名言をピックアップして、斎藤さんが好き放題に語るという本ですので斎藤さんのことが好きじゃなきゃ、ちょっとついてけないと思います。基本、説教っぼ゜いですが、光の当て方とか、その奥深い教養とか色々と感じられて良い読書体験となりました。
読了日:05月15日 著者:齋藤孝

間宮兄弟 (小学館文庫)の感想
30代の兄弟が二人で暮らしている。とても幸せそうで微笑ましい。女にはモテないが、善良である。それは分かる人にはわかる。彼らの恋は切なくてうまくはいかない。兄が好きになった女子大生は仲の良い妹に言う。こんなことができるのは今だけだ。しかし、妹は言う。間宮兄弟を見なよ、今だに一緒に遊んでいるじゃん。この作品は幸せの本質を語っているように思える。幸せは当人にはわからない。周囲の人が思うのだ、あのひとはとても幸せそうだと・・・。
読了日:05月16日 著者:江國 香織
 

人間であることをやめるなの感想
今年の1月12日に亡くなられた半藤一利さんの書いたものを編集して追悼の意味で出した本だと思います。半藤さんというと「歴史から学べ」という人でした。司馬遼太郎の話しから、坂本龍馬。そして、日露戦争と話しは多岐にわたっていておもしろい。石橋湛山についての論評はとくに楽しくて、こんなすごい人が戦前にいたというのは驚きでした。そして、昭和天皇と戦争。最後は宮崎駿監督にまで言及するという感じです。半藤さんらしいエッセイでした。
読了日:05月18日 著者:半藤 一利
 

本のエンドロールの感想
本づくりの情熱をモチーフにする作品は多いが、たいていは作家や編集者が主役だった。この作品は裏方とも言える印刷所の人々を描いているだ。当然、出版不況なわけだからきつい。印刷機が老朽化しても補充はなく、全自動の機械を活用したりもする。斜陽産業まっしぐらの業界なのに、そこで働く人たちは熱い。編集者とタッグを組み、作家の我儘を叶えようと日々努力しているのだ。本を作るという情熱は、彼らと何ら変わらない。業界の細かい仕事までがリアルに描かれている秀作だった。読む価値のある作品。
読了日:05月20日 著者:安藤 祐介

コミュ障でも5分で増やせる超人脈術の感想
こんなことだとは思ったが、何かがっかりだよ。スーパーコネクターだっけ、人脈のキーマンみたいな人を見つけて仲良くなれとか、それはそうだけど・・・。自慢人間みたいな人、たしかに上司とか先輩とかにいるし、ネットにも、やたらと上から目線で何か言ってくるのがいて、無視すればいいのはわかっていても難しいよ。自分に都合のいい人間と付き合って、変なのは無視ということだね。人と仲良くなる技術が論理的に論文などを引用し説明してあり、とても説得力があった。最終的には相手に対する共感力のような気がした。
読了日:05月22日 著者:メンタリストDaiGo

キノの旅XII the Beautiful World (電撃文庫)の感想
キノとしゃべるバイクの旅の話しで、基本ラインはいろんな国に旅行するという感じです。その国というのが変わってて、今回の場合「正義の国」。元は温かい国だったので制服が半袖に半ズボン。寒冷化しているのに、その変化に対応できずに絶滅してしまうというありそうでなさそうな話しとか、何の特徴もない国が世界征服できるような大砲を完成させるのだが、武器の悪用を恐れた研究者によって、砲弾が地球一周して自分の国を破壊するという設計になっているとか・・・。ちょっとブラックな感じの話しなのです。
読了日:05月23日 著者:時雨沢 恵一
ぐるり (単行本)ぐるり (単行本)の感想
柿を盗むという非常識に、前に進むという勇気を表現していると解釈しました。駄作もあるが、相関関係とかおもしろく、美しい人とか、いがいと沁みてくるんですよ、後から・・・。ぜひ、読んでみてください。すごい才能だと思います。
読了日:05月24日 著者:高橋 久美子

いのちがけ 加賀百万石の礎 (講談社文庫)の感想
加賀前田家の家臣村井長頼を描いた秀作。ラストの前田家の危機を救う家康との直談判や前田利家の妻おまつとのやり取りなど見どころ多い。ただ、桶狭間に始まり関ヶ原の直前までの範囲の広さがネックとなり、部分部分の粗さも目立った。人物像も秀吉の良い場面ばかりで悪い場面ももっとないと深みがないし、柴田勝家などはよく描けていたが信長はどうなのかと思ってしまうし、奥さんをあの初恋の人にしているのも最後のほうでわかるという、その展開とかそこまで無視みたいな感じも違和感あり。面白かったが、物足りなさも感じた。
読了日:05月29日 著者:砂原 浩太朗

デンデラ (新潮文庫)の感想
70才を超えるとお山に捨てられる。姥捨て山だ。主人公は斎藤カユ70才。カユは助けられる。そこはムラだった。デンデラという名のそのムラには、お山で捨てられた老婆ばかりが住んでいた。ありがちな飢餓と疫病。そして、ムラでの内部抗争。共通の的である熊とのBATTLEは物語のほとんどを占めている。彼女たちの生は残り火だ。余生である。だからこそ、何のために生きるのかという目標が大切になる。しかし、その目標はそれぞれに違う。だから、この物語は面白い。
読了日:05月30日 著者:佐藤 友哉

100日後、きみのいない春が来る。の感想
好きになった幼馴染が100日病という難病にかかり消えていく・・・。よくある難病ものである。主人公の「ふう」のピュアーな恋心が直球で描かれた秀作でした。難病ものは世界の中心で愛を叫ぶでもそうでしたが、二人の愛の純粋さが涙を呼び込むところがあり、本作の主人公の臆病な性格というキャラはよく描けていたし、ぴったりのキャラ設定でした。乙女の揺らぐ恋心が繊細なタッチで表現されていて、とても良かったです。恋愛ものは悲恋が良い。
読了日:05月31日 著者:miNato


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