夏めく空 鳥の喧嘩と鍵盤ハーモニカの音色
5月20日は 『小満』─気温が高くなり植物の生長や虫たちの躍動に生命の輝きを感じるころ
少し動くと汗ばむほどだが、風が心地よく抜けるような青空が広がる
奄美・九州地方は梅雨入りし、順ぐりと梅雨を迎えることになる
相変わらず三条烏丸あたりの上空に鳶が常駐しており羽を広げ、優雅に風に乗っているかと思うとビルの上あたりで『ピーヒョロヒョロヒョロヒョロ』ひときわ目立つ声で鳴いている
今日のお昼休みは、烏と喧嘩しているかのように絡まって飛んでいたかと思うと、突然向きを変え突付いたりと、派手にやり合っていたので、眩しい太陽に目を細めながらその姿を目で追っていた
私には鳶が悠々と烏を追い、おちょくったり、突付いたりと鳶を主役にその様子を見ていたが、会社に戻ると『烏がすごい勢いで鳶を追いかけて突付いていた』と言っている人がいた
私は鳶が主役と思う
午後、職場のラジオから久しぶりに流れてきた大好きなこの曲
明るい陽射しと青空に似合う曲だなと思った
Jon Batiste『Calling Your Name』
出だしの楽器─鍵盤ハーモニカは、主に小学校低学年で弾く(吹く?)楽器で私は〈鍵盤ハーモニカ〉と呼んでいたが、〈ピアニカ〉〈メロディオン〉とも呼ぶ
メーカーの商標名が違うだけで同じ楽器で、世代や地域問わず圧倒的に“ピアニカ”の呼び方が優勢に思う(個人的な印象)
この♬パラッ♪パラッとのんびりした始まりや途中のたたみかけるような🎶パラパラパラパラッと盛り上がっていく感じ、硬質ではないけど空洞感のあるクラクションをやわらくしたようなチープな音が何とも抜け感があり心地よい
ツバが溜まるのが嫌だったり、何となく鈍臭い音色だと感じ、早くリコーダーが吹きたいと思っていたその頃には、心地よい音色だと思う日が来るなんて思いもよらなかっただろうし、彼の演奏する姿は私が思う〈鍵盤ハーモニカ〉の演奏とは全く違うスタイリッシュで躍動的な姿だ
槇原敬之『冬がはじまるよ』の出だしのハーモニカの音色は似ているようで少し違うし、季節が全く違うけどこれはこれでメロディや雰囲気は今の季節聴いても合うと私は思っている
日本語でも英語でもメロディで聴いてしまう
このハーモニカ演奏はこのミュージックビデオでは本人演奏みたいにしているけれど、八木のぶおという方の演奏なのだそう
ビール飲みたくなりますね
今週末飲むサッポロクラシックのロング缶はもう冷蔵庫に入っている
レーベルとか時代とか、音楽性などの知識なんて全くないけれど、ハーモニカの音色のイメージの強いモータウン・サウンドというのはもともと好きだし、この青空のもとさらに聴きたくなる
陽気で明るくノリの良いダンスサウンドも魅力的だけど、今聴くならこちらかな
Stevie Wonder『Isn't She Lovely』
娘(アイシャ)の声から始まるというラブリーな要素しかない幸福感溢れるこの曲も、緑々しい木陰で小さな赤ちゃんと過ごす穏やかな光景が今の季節なら思い浮かぶ
4月に生まれた愛娘への思いを込め楽器を自分で演奏し歌ったとあるので、リリース時期や詳しいことを知らないけれどこの時期に聴くのがとてもしっくり来るのかしら?
すべてのことに理由をつける必要はないけれど、何かを感じる理由というのを見つけるのも、また楽し
夕方頃、『お手々つなぐか、抱っこにするかどっちかにしようよ』という母親に、イヤイヤをし両手を自分のお腹に持ってきて体を丸めて抵抗する小さな小さな女の子を見た
母親は困っていたが愛しくて仕方がないという雰囲気に包まれていた
何だかわからないけれど体の中が熱くなる
可愛くて、素晴らしくて、尊い、それら全てを曲にこめた愛情を私はもうおそらく実感する事は出来ないけれど、目に見えるとしたらこういう感じなのかもしれないと思い知る
自分とはほど遠い関係のないものなのだと蓋をして閉まってあるようなもの
新芽がぐんぐん伸びていくような、茶色い土が大部分を占めていた花壇が彩りを帯びてくるような、緑の色がどんどん濃くなるような、生命力あふれる『夏めく』瞬間を空から土から音から、そして小さな子どもから存分に感じとれる
梅雨がやってくるまでの短い期間は多すぎるくらいに味わっておこう
朝はバタバタしていて、殺伐とした雰囲気だったけど、射し込む陽射しや抜けるような青空に助けてもらって午後は和やかに過ぎていった
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