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“人を惹きつける” 文章を書くための「比喩」表現とは?

こんにちは。

ムッチーのnoteを開いていただき、有難うございます!m(_ _)m


今回は、著述(文章を書くこと)のイロハを学ぶシリーズの第三回目。

これを身につければ “鬼に金棒”、文章を “より豊か” に、“より鮮やか” に彩ってくれる!

そんな “文章表現の強力な助っ人”「比喩」について、学んでいきたいと思います。

と、のっけから比喩で書き出しをしてみました(笑)。

 ↓ 第一回目(前々回) ↓

 ↓ 第ニ回目(前回) ↓

※今回も、ショーペンハウアー(以下敬称略)の著述論(『読書について』第二篇「著述と文体について」)から学ばせていただきます。

読書について_目次


「比喩」の意味

まず「比喩」とは何か?、意味を確認しておきましょう。

文学的な表現において、心象(心に描く具体的な情景)を利用して、説明、記述をわかりやすくし、強調や誇張の効果をあげるために、類似した例や形容で表現すること。

ある物事を、類似または関係する他の物事を借りて表現すること。

コトバンクより-

つまり「比喩」とは、文章表現の不足分を “補って”、よりわかりやすく、意味をハッキリさせるために使うものなんですね。

そのままだとボケてしまう写真の “ピントを合わせる” ように。(すみません、比喩の練習させてもらってます 笑)


「比喩」の役割とは?(by ショーペンハウアー)

ショーペンハウアーは、「比喩」について、次のように述べています。

比喩は認識の強力な推進力となる。
だからこそ意外性に富み、しかもぴったりの比喩を駆使できれば、深い理解力のあかしとなる。
-『読書について 第二篇「著述と文体について」』鈴木芳子訳 より-

軽いタッチで言い換えると、

「比喩を使って表現すれば、その文章の意味を “より深く” 認識(知ることが)できるよ。全然関係のない事例でぴったりの比喩表現ができれば、なおさら深く理解していることになるね」

というような解釈になるでしょうか。

書き手自身” の理解を深めるために比喩は重要なのだ、と捉えることもできると思います。


「比喩」を生み出すコツとは?

ただ、全然関係のない事例に置き換えて喩(たと)えるのは、そう簡単なことじゃないんだよ、とも述べています。

アリストテレス_400×390

アリストテレスも言っている。「ずばぬけて偉大なのは、比喩を見出すことだ。言い換えれば、これだけは他人から学べるものではなく、天賦の才のしるしだ。すぐれた比喩を駆使するには、同質性を見抜かなければならないからだ」(『詩学』)。
また、こうも言っている。「哲学でも、遠くかけ離れたものに同質性を見出せるのは、鋭い洞察力のあかしである」(『弁論術』)

-『読書について 第二篇「著述と文体について」』鈴木芳子訳 より-

「比喩は他人から学べるもんじゃない。生まれ持った才能・センスが必要じゃ!」と、アリストテレス(以下敬称略)は言ってるんですね。

ん~、そう率直に言われちゃうと、やる気失せるなぁ。

僕は以前、写真家の知人に「お前、写真(撮影)のセンスないよ」と言われてから、ほとんど写真を撮らなくなりました。才能やセンスって言葉で否定されると、水戸黄門の印籠を突き付けられるように、カンタンに平服してしまうのです(すみません、比喩の練習させてもらってます m(_ _)m)。

ただ、アリストテレスは、身もフタもないことを言いつつ、比喩を表現するための “コツ” について、さらっと教えてくれてはいるんですね。

「遠くかけ離れたものに同質性(共通の性質)を見出せ!」と。


「比喩」のお手本例1

「同質性」って、どういうこと?

はい、ここは “論より具体例” で、比喩の達人ショーちゃん(親しみを込めて  笑)の表現をお借りして解明していきましょう!

読書するとは、自分でものを考えずに、代わりに他人に考えてもらうことだ。他人の心の運びをなぞっているだけだ。
それは生徒が習字のときに、先生が鉛筆で書いてくれたお手本を、あとからペンでなぞるようなものだ。
-『読書について』鈴木芳子訳 より-

読書する」ことの喩(たと)えを、「習字で先生のお手本をなぞる」ことに置き換えているんですね。

この場合の同質性(共通の性質)は、自分で頭を使わずラクにできちゃう、いわば「思考停止状態」だといえるでしょう。

比喩を加えることで、わかりやすくて、イメージしやすくなりますね。辛辣さ(手厳しさ)も増して、胸に刺さります。


「比喩」のお手本例2

古典作家のだれでもよいから、たとえ三十分でも手に取ると、たちまち心はさわやかに、かろやかに、清らかになり、高揚し、強くなる。
岩から出る湧水を飲んで、元気を回復するのと同じだ。
-『読書について』鈴木芳子訳 より-

上記の警句では、「古典作家の本を読むこと」の喩えを、「岩から出る湧水を飲む」ことに置き換えています。

この場合の同質性は、元気を回復できる「清涼剤のような効果」。

遠くかけ離れたものに同質性を見出す」、まさにお手本例だと思います。

湧水_612×400


「比喩」のお手本例3

もうひとつ、いってみましょう!

けばけばしく着飾り、入念にめかしこむと、無教養で粗野な人間だとばれるように、気取った文体は凡庸な脳みそのあかしだ。
-『読書について 第二篇「著述と文体について」』鈴木芳子訳 より-

気取った文体」の喩えを、「けばけばしく着飾り、入念にめかしこむ(過剰におしゃれする)」ことに置き換えているんですね。

この場合の同質性は、どちらも、無教養で粗野な人間だとばれる「偽りの外見」でしょうか。(ウッ、自分の胸を撃ち抜かれるように痛い!)

こういう比喩表現ができるのは、確かに “天賦の才” かもですねぇ。ユーモアにも富んでいるし。


比喩を生み出す思考プロセス

以上の文例を読み解いていて、ふと思ったのですが、比喩を生み出すのって、“謎かけ” をつくるのと同じなのでは?

じゃあ、ここで実際に謎かけをしてみま~す。お題は「比喩表現」で...

整いました!(笑)。
え~、「比喩表現」とかけまして、「美容院の鏡」と解きます。
そのこころは...どちらも「真の姿(素)を映し出す」でしょう。

って、イマイチ整ってませんが(汗)、「なるほど」と一応、納得はできます(よね?)。

こころ(すなわち “同質性”、“共通する本質” をひねり出すという点においては、比喩と謎かけは同じだと思います。(謎かけは駄ジャレで笑いを取る、という所は少し違いますけど)

比喩がなかなか浮かばないときは、謎かけをしてみるのがいいかもしれませんね。


比喩を使うリスク

というわけで、比喩の意味・役割と、比喩を生み出すコツについて、ショーちゃん・アリちゃん(親しみを込めて 笑)の考えをお借りして、考察してきました。

けっこう比喩についての理解が深まった気がします。

ただ、これを実際、自分の文章に取り入れて “的確に” 表現するのは、難しいですねぇ。

アリストテレスが言うように、鋭い洞察力が求められると思います。

やはりセンスが要りますね。比喩のセンスが良くないと、スベッてしまって逆効果になってしまう。

比喩表現にこだわりすぎるのは、それこそ、

けばけばしく着飾り、入念にめかしこむと、無教養で粗野な人間だとばれます(汗)。

比喩を使うのは、まさに諸刃の剣。


無教養で粗野でも、スベらない比喩とは?

そうしたリスクを踏まえたうえで、今後、比喩を使う場合、個人的には次のことを心がけようと思っています。

“読み手を惹きつけるためではなく”、「書き手である自分自身の理解を深めるために、比喩を使う

つまり、「人を惹きつけたければ、人を惹きつける “賢い” 書き手になろう!」です。そのためには書き手自身が、深く正確に自分の考えを理解する必要があります。⇒ 比喩はそのための、ひとつの表現手法。

それって結局、先日書いた(第一回目の)「基本篇」に立ち戻るんですね。

そして“賢い” 書き手になるためには、「自分の頭で考える」ことが求められます。


今回、得られた気づき

冒頭で、比喩を身につければ、文章が “より豊か” になる、と言いました。

しかし、その、文章を豊かにしてくれる比喩を身につけるには、「書き手の人間自体が豊か」であることが前提になります。

キーボードを打つこの指を動かす「本体」、つまり書き手である僕自身が文章に映し出されるんですね。

そのことを肝に銘じて、今後のnoteに活かしていきたいなと思います。


ここで、今回のムッチーによる気づき、いきま~す。(いつもそうなのですが、これは自分自身に向けての教訓です)

小手先の小賢しいテクニックに走ると、化けの皮が剥がれるぞ!」(by ムッチー)


「著述論」(文章を「書く」ことについて)は、今回でいったん終わりにします。あとは実際に “書き続けていく” ことで、文章を深めていきたいと思っています。

次回からは、新たなテーマについて書く予定。個人的に、いや全人類的に身につける必要がある、めっちゃ重要なテーマについて...


最後まで読んでいただき、有難うございました!m(_ _)m

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