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お風呂帰りの祈り星

親父は ウサギマークのバイクにのって
預金を集めて回るのが 仕事だった

   “銀行員”

それでも 我が家に運べるお金は 足りずに
母ちゃんは 近所に 頭を下げていた

  「お金ば貸してくれんですか…」

それは ボクの体が 壊れかけて
修理代に たくさん つぎ込む為だった
おかげで 親父が建ててくれた ボクの家は
誰かの手に 渡ってしまうことになる

おばさん達は 白いシミズ姿で
おじさん達はステテコで ウロウロしてた
テレビを見せてもらおうと 斉藤さんちに
押しかけて 上がり込んでた 時代だった

お風呂の帰り道 姉ちゃんと ボクの手を引いた
母ちゃんは 夜空ばかり 見上げていた

出てこい 出てこい 祈り星
この子を 何処にも連れていかないで

姉ちゃんは 梅干しと漬物で
時折 向かいの家に 預けられていた

つい最近 知ったんだ
姉ちゃんが 近所に預けられていたことを
ボクが
病気ばかりしてるから

それでも 横になっている ボクの枕もと
いろんな遊びで 笑顔を探してくれた

一歩も 歩かせぬようにと 背負って
病院へ続く坂道を 下ってゆく
何度も 何度も 額の汗を 拭きながら
母ちゃんは 奇跡を抱きしめていた

そのうち 体が少し軽くなって
針を落とさなくても いいようになった
懐かしいお風呂屋さんの 湯気と天井
頭を綺麗に 洗い流してくれた

お風呂の帰り道 姉ちゃんと ボクの手を引いた
母ちゃんは 夜空ばかり 見上げていた

出てこい 出てこい 祈り星
この子を 何処にも連れていかないで

出てこい 出てこい 祈り星
この子を 何処にも連れていかないで

詩・曲 むたゆうじ
編曲 上藤恭生


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