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研究No.5 宣伝会議賞でよく見る“あの人物”

ことばの研究生ブログ、今回は現在応募期間中の宣伝会議賞でよく見かける「あの人」について語ってみました!

むすびめ:tontonさん、おーしろさん!前回告知の通り、今回は宣伝会議賞おなじみの「あの人」について研究していきましょう!

tonton・おーしろ:あの人って一体…?

むすびめ:あの人とは…「部長」です!

おーしろ:!?
     部長…?どういうことですか?

むすびめ:「宣伝会議賞の応募コピーに登場する部長」です。

tonton:実在の人物ではないのですか?

むすびめ:はい。コピーで登場する架空の部長です。

tonton:なるほど。たしかに、部長の登場するコピーは宣伝会議賞おなじみですね。(笑)

むすびめ:仕事や会社のシーンを表現する際の登場人物として部長がよく使われている気がします。そこで思ったんです。この部長って一体どんな人物像なのだろう…と。

今日はそんな「宣伝会議賞の部長のペルソナ」を研究してみませんか?

tonton・おーしろ:面白そうですね!早速SKATを見てみましょう!

SKATとは…1962年に創設された、日本最大の公募広告賞「宣伝会議賞」。                          その年の入賞作品、審査講評、一次審査通過以上の作品と、中高生部門一票以上獲得の作品を収録されている応募者必読!のバイブルです。

SKATで見る 宣伝会議賞の部長コピー


(最新SKAT20が発売されましたが、間に合わなかった!という大人の事情によりSKAT19から!)

※「部長」という文言が使用されているキャッチコピーの一部を抜粋しています

むすびめ:どのコピーも商品やサービスの訴求に部長が一役買っており、こんな表現や切り口があるのか!ととても勉強になりますよね。
時代の流れによって部長像が変化しているのでは?と思い
SKAT2(17年前)のコピーも調べてみました!

※「部長」という文言が使用されているキャッチコピーの一部を抜粋しています


tonton:あまり変化はなさそうですね笑

おーしろ:SKAT2の部長は、SKAT19に比べると家族思いな一面も見えていますが、いじられキャラの扱いは引き継がれているようです。

17年前は「 部長<課長? 」


むすびめ:SKAT.2では、SKAT.19ではあまり見られなかった「課長」も登場していました。

※「課長」という文言が使用されているキャッチコピーの一部を抜粋しています

むすびめ:当時は部長よりも身近な上司として認識されていたのかもしれませんね。

tonton:確か波平さんも課長でしたよね。マスオさんは係長、野原ひろしは営業2課係長です。

おーしろ:tontonさん詳しいですね(笑)

むすびめ:tontonさん大正解!波平さんは海山商事の課長、年齢は54歳だそうです。

ちなみに、SKAT.19での登場回数は部長16回、課長4回、
SKAT.2では部長7回、課長9回でした(研究生調べ)。
その他、社長や上司なども表現もありました。

SKAT.19からは、こんな部長像が見えてきますね。

SKATから分析する部長ペルソナ


おーしろ:宣伝会議賞の部長はイジられキャラに見えますが、現実世界の部長はイジれないですよね・・・笑 いい意味でギャップがあるようにも感じます。

tonton:確かに、これって宣伝会議賞あるあるな気がします 笑

むすびめ:さらに現実に目を向けると、現在は女性部長や20〜30代で部長職につく人もいます。
SKATに掲載されているコピーには一言も「男性の」部長ということは言われていないにも関わらず、私の頭のなかで勝手に「男性の50代くらいの部長像」が変換されてしまったことを反省しました。

一般的なイメージを捉え表現に活用することはとても大切なことなのですが
一方で、自分のなかに根強くある固定観念と時代の流れのバランスを取ることは
新しい未来を提案するコピーを書くにはとても重要なことだと思いました。

tonton:確かに。そうした固定観念は、まだまだ男性中心であったり、年功序列であったりする社会背景が大きく反映されているような気がします。女性や若者が活躍していくような、これから目指すべき社会を想像させてくれるコピーがもっと生まれてもいいと思いますね。それと同時に「部長」=「いじられキャラ」から脱却して、部下想いだったり、ワークライフバランスを大切にしたりといった「理想の上司像」を描くようなコピーも見てみたいです。

おーしろ:そうですね。コピーの中には、ただ商品を広告するのではなく、時代を読み取って書くという視点も大切と聞くので、自分の目と社会の目の両方を待つのは大切だなって思いました。

むすびめ:その他にも、SKAT19のコピーを分析しながら気づいたこと。
それは、とある課題のコピーのみ、上司像が他と少し異なっていたのです。

クラフトボスのコピーに見る理想の上司像


※「上司」や「ボス」という文言が使用されているキャッチコピーの一部を抜粋しています

むすびめ:こちらは第57回宣伝会議賞 サントリーの課題「クラフトBOSSを手に取りたくなるようなアイデア」の通過作品です。

tonton:クラフトボスのコピーでは、理想の上司像が表現されていますね。

むすびめ:はい。そうなんです。クラフトボスの課題では、変化を恐れなかったり、休みを推奨したり、部下が思わずついていくような上司像が見られました。応募作品で表現されている理想の上司と働く明るい未来が、新しいボス製品の方向性にもしっかりマッチしているように感じます。

おーしろ:実は僕、一昨年の宣伝会議からクラフトボスのファンになってしまって・・・笑 今も飲んでますし。

「新しい時代に」を形にした、クラフトボス

おーしろ:自分調べなので、間違ってるところもあるかもしれませんが・・・。これまでのボスのCMと、クラフトボスのCMの違いが結構あるんです!

これまでのボスは、缶コーヒーが主流だったんですね。そして、缶コーヒーってどんな飲み物だったかっていうと、覚醒のドリンクって位置付けだったんです。長距離トラックの運転手とかによく飲まれてたんですね。

だから、缶コーヒーのボスのCMは情緒があったり、仕事を頑張る人に向けた作りになってます。

でも、時代の変化でオフィスワークの人が増え、覚醒のドリンクの市場をエナジードリンクが占めてきた。と、時代によって市場の流れが変わってきたんですね。

そこで、コーヒー市場を若者に広げられないかと考え誕生したのが、クラフトボス。新しいボスというコンセプトのもと、新しい生き方や働き方を求めている人をターゲットにしてCMを作っています。

なので、クラフトボスのCMやHPは、缶コーヒーのボスよりポップな感じで、CMの出演者も若者にウケる人を起用したりしているんですよ!


あと、クラフトボスがいいと思うのは、CMとかだけではなく、商品の作りまで一貫してるんですね!飲んでみるとわかるんですけど、コーヒーの味は長い時間オフィスで働く人がゆっくり飲めるように薄味。また、ペットボトルコーヒーというのも新しいですよね。ペットボトル自体も柔らかくて手に負担をかけないようになってるし、コーヒー以外にもティーや抹茶ラテなども出てます!

こんな感じでボスって時代に合わせ、一貫したコンセプトで全て作られてるのがすごいなって思います!

tonton:確か、クラフトボスというネーミングも、確か日頃デジタルに触れてる若者が”手作りの温もりを求めている”というところから「クラフト」にしたとありましたね。

おーしろ:僕も以前、クラフトボスの記事を読んだことがあります。ターゲットだったI Tワーカーが「人肌感」を大切にしている傾向を掴み、BOSSに人肌を感じられるような新しい人格を持たせようと考えたネーミングが「クラフトボス」だったそうです。「クラフト」には、「手仕事」の他にも「自由な発想」「多様性」といった意味も込められているようで、新しい働き方をする人たちの「新しい相棒」というコンセプトがはっきり分かりますね。

むすびめ:こうした新しいボスのブランドコンセプトが、宣伝会議賞のコピーにも表れているのですね。こんなボス(上司)と一緒に働きたい!という共感と、働き方の新しい未来を感じとても前向きな気持ちになります。

クラフトボスのコピーは「新しい風が、吹いた」「WORK&PEACE」。この考えが製品プロダクトにも反映されています。

クラフトボスの例で言うと、おーしろさんが商品を手にしたように、「魅力的な未来」を想起させるキャッチコピーは見た人の心と行動を動かしますね。思わずその方向を向いてしまう、そんな吸引力を感じます。

tonton:そう考えると、ひとつひとつの商品やサービスがどんな社会課題から生まれたのかを踏まえ、それらを使うとどんな未来が待っているかをコピーで示してあげることはとても重要ですね。

キャッチコピーで”ちょっといい未来”を提案


tonton:部長のペルソナ分析からこんな話になるなんて思いませんでした。

むすびめ:上司にまつわる過去のSKATやクラフトボスのクリエイティブを見て、生み出されるコピーは時代背景を反映していることを改めて感じました。世相を汲み取りつつ、新しい時代、生き生きする未来を提案するキャッチコピーを生み出していきたいですね。

おーしろ:そうですね。名作と言われて今でもよく耳にするキャッチコピーは時代をうまく切り取ってる感じがします。時代の空気感を常に感じ取っていくことは重要なことかもしれないですね。

tonton:ワクワクする未来を想像させるのもキャッチコピーの大事な役割ですよね。最近は世の中全体として、以前よりもやりがいや自己実現、社会貢献などを大事にする傾向にあると思います。そういう時代や価値観の変化を捉え、新しい未来への矢印となるようなコピーを書きたいですね。

むすびめ:はい!今年の宣伝会議賞では、会社や商品・サービスに触れることで実現する、明るい未来を提案するコピーにも挑戦したいと思います!

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宣伝会議賞の通過コピーに登場した部長のペルソナ分析から
コピーの裏側にある時代背景と、そして研究生が目指すキャッチコピーの姿について研究しました。

次回のテーマも引き続き、宣伝会議賞のキャッチコピー!
10月は、宣伝会議賞強化月間!!応募も開始され、研究生も戦々恐々!?
次回もお楽しみに!

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