見出し画像

ある数学者の心に響いた曲、谷山浩子さん「もみの木」

【ある数学者の心に響いた曲、谷山浩子さん「もみの木」】

こんにちは!

前回の記事で、私が高校時代、南野陽子さんや谷山浩子さんの音楽を聴きながら、ひたすら数学をしていたと書きました。

何時間も数学をやりたいとき、無音ではなく音楽かラジオをかけてやっていたのですが、

数学をやるために音楽をかけているのか、
音楽を聴きたいので数学をやっているのか、

よく分からなくなるくらい、ひたすら数学をやっていました。

そんな私にとって、

数学を専門にしようと決心した原点の音楽が、
南野陽子さんと谷山浩子さんのように思います。

それで前回は南野陽子さんの音楽について書きましたので、今回は谷山浩子さんの音楽を紹介いたします。

私が谷山浩子さんの曲の中で一番好きな曲は、ズバリ「もみの木」です。

アルバム『夢半球』に収録されている曲。

偶然、私が高校の文化祭でもらってきたカセットテープがこのアルバムでした。

当時、音楽にこだわりのなかった私は、

手もとにある谷山浩子さんのアルバム『夢半球』が録音されたカセットテープをひたすら聴きながら数学をしていたのです。

哀愁おびたアルバムで、悲しい気持ちになりながらも、数学をしていました。

まさに修行をしているみたいでした。

アルバム『夢半球』の収録曲はどれも心に響く曲ばかりでしたが、

中でも特に好きだったのが「もみの木」。

それでは、最初に先入観を持たずに、聴いてみてください。

次の動画の 23分49秒あたりから始まります。

(you tube は、 23分49秒から始まるように設定してあります )


いかがでしたか?

なんというか、

詩的な風景が浮かび、それでいて内面を写し出すような情緒をそこはかとなく感じる曲。

そんなふうに私は感じています。

出だしの歌詞は次のようになります。

もみの木 窓の外 淡いろの空
風が吹くたび ざわざわ
ゆれてさわぐ

もみの木 いつのまにか
眠れずに 朝
どんなものだね 気分は
悲しくはない

もみの木 もみの木
何かいい朝だね

風景が浮かぶような、とても詩的な歌詞ですよね。

全体的に、あまり説明がないので、
主人公の内面は想像するしかないというか、

逆に、いろいろな解釈ができるかもしれませんが、
それも曲を聴く楽しみの1つといえます。

この曲に登場するのは、もみの木と主人公です。

主人公は男性か女性か分かりませんが、谷山浩子さんが深く感情移入していると解釈して、女性だとしましょう。

すなわち、

主人公の女性と窓の外にそびえているもみの木を描いた歌詞です。


それで先ほどの歌詞ですが、
不思議な歌詞だと思いませんか?

だって、

朝まで眠れなかったと言っておきながら、
「悲しくはない」と続くのです。

よく考えてみてください。

朝まで眠れなかったと聞くと、
どんなことを思い浮かびますか?

「この主人公は、何か悩みでもあって朝まで眠れなかったのかな?」

と思いませんか?

もしくは、何の悩み事もないのに、朝までずっと眠れなかったら、

「何で眠れないんだ!  明日、つらいじゃないか!?」

などど焦りますよね。

なのに、この主人公はたった一言だけ、

「悲しくはない」

と言っているのです。

しかも、その前に、

「どんなものだね 気分は」

と、相手に尋ねています。

この言葉も謎です。

主人公がもみの木に尋ねているのか?
もみの木が主人公に尋ねているのか?

どっちか分からない。

もみの木が主人公に尋ねている可能性もありますが、
この記事では常識的に、

主人公がもみの木に尋ねていると解釈しましょう。


このように解釈したとしても、まだ疑問が残ります。

それは、

「悲しくはない」

というのが、主人公か、もみの木か、
どちらの気持ちなのか? という点です。

主人公がもみの木に、

「気分はどう?」

と尋ねていると解釈したので、

普通に考えれば、「悲しくはない」というのは、もみの木の気持ちになります。

でも、、

本当に、もみの木の感情を歌っているのだろうか?

やはりこれは主人公の気持ちではないだろうか?

きっと、

「朝まで眠れなかったけれど、悲しくはないよ」

と、もみの木に話しかけているのかな、と思いました。

しかも、

「何かいい朝だね」

と続きます。

これは主人公の女性の気持ちなのでしょう。


この曲の歌詞は、次のように続きます。

もみの木 いつのまにか
季節は すぎて
わたし このさき
いくつの朝を むかえる

もみの木 もみの木
なにも 答えない

歌詞の中に、

「もみの木  なにも答えない」

とあります。

そう思うと、

やはり、

先ほどは主人公の心情を描いていたことが分かります。


それでね、、

「悲しくはない」

と歌っていますが、

主人公は「悲しい」と感じていると思うのです。

なぜなら、

曲を聴くと、どこか哀愁をおびたような曲調だからです。

きっと、、

主人公は悲しい気持ちを抱いていて、
朝まで眠れなかったけれど、

悲しくないと、自分に言い聞かせている。

さらにいうならば、

悲しみを抱いているが、
そびえ立つ1本のもみの木に癒やされている。

そんな風景を切り取った詩的な曲なのかなと思います。

今も聴くたびに、
この曲の繊細さが、私の心に響きます。

あのね、、

理由は分からないんだけど、

数学をやればやるほど感性が繊細になるのではないかと、私は感じています。


これは私の個人的な意見ではなく、

フランシスの数学者・グロタンディークも、
著書の中で何度も何度もそのような意味のことを書いています。

また、

数学者の岡潔は、数学をやればやるほど自然を大切にする気持ちが芽生えてくるという意味のことを述べています。

自身も公園などで、自然を眺めるのが好きだったといいます。

「数学」と「自然」、そして「繊細さ」

不思議なことに、これらはどこかで結びついているのかもしれません。

というわけで、

谷山浩子さんの「もみの木」をお聴きください。

次の動画の 23分49秒あたりから始まります。

(you tube は、 23分49秒から始まるように設定してあります )

〈 もみの木,  谷山浩子 〉


追伸 : 谷山浩子さんが X (twitter) で、もみの木について書いておられます。


なんと、ひのきのことを歌っておられたのですね!

とはいえ、今さら

「ひーのーきーーー」

と歌われると曲のイメージが崩れますので、
もみの木でお願いします!

というわけで、

今回は、私がめちゃくちゃ好きな曲「もみの木」を紹介させていただきました。

もしかすると、

私が公園で、ゆったりするのが好きなのは、この曲の影響があるのかもしれません。

音楽面では、

近年、バンドものばかり聴いている私ですが、

ギターポップな曲の中でも、

せつない曲
心情が伝わってくる曲
詩的な曲

が好きなのですが、きっと谷山浩子さんの「もみの木」の影響だろうなと思います。

そんな、私が音楽を好きになった原点のような曲。

そして、数学を専門にしようと決心した頃に聴いていた曲。

そんな想い入れの深い曲を紹介させていただきました。

それでは、また!


■ 執筆者 : 松岡 学 ( 数学者 )

■ 音楽のかからない音楽番組

ラジオ風 you tube番組の『音楽のかからない音楽番組』。

番組ではジャンルを問わず、琴線に触れた音楽をお届けしています。

このときの配信では、80年代の音楽を中心に、私が南野陽子さんや谷山浩子さんについて、くわっちが時任三郎さんについて話しています。

ぜひお聴きください!

〈 音楽のかからない音楽番組 〉



■ 電子書籍が出版されました!

この春、桜からハナミズキに移り変わる季節に、電子書籍が出版されました!

私が季節感に敏感なのは、南野陽子さんの曲の影響でしょうか。

大切なパートナーと幸せになれるような、
アドラー心理学のエッセンスを詰め込んだ電子書籍です。

タイトルは、

『キララな恋愛や結婚生活を送るエッセンス 〜大切な人と幸せになるアドラー心理学〜』


恋愛・結婚 × アドラー心理学

そんなテーマでお届けしています。
電子書籍は、こちらから。

あなたがキララな人生を送れますように。


■ X ( 旧 twitter )


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?