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仕事のロールモデルは、NHK朝ドラヒロインから見つかる

仕事をする上で、ロールモデルみたいな人がいると、結構やる気が出るものだ。私は小さな会社で働いていて、やっぱり社長がロールモデルだし、会社外での仕事でも「いずれこんな人になりたいな」という憧れの方がいる。

とはいえ、ロールモデルは実生活だけで見つかるかと聞かれれば、そうではない。私の場合、NHK連続テレビ小説(=朝ドラ)のヒロインにもロールモデルがいる。とはいえ、「まんま」その人になりたいわけではなく、「このヒロインのこういうところ、好きだな」といった具合に、尊敬する部分や自分に取り入れたい部分をもつヒロインが多数いる、ということだ。

では、どのヒロインに憧れるのか。1人ずつ紹介していきたい。

1. 小原糸子/『カーネーション』(2011年後期)

参照:https://www6.nhk.or.jp/drama/pastprog/detail.html?i=asadora85

尾野真千子が演じていた、大阪府岸和田市生まれの洋裁屋の店主だ。
とにかく男勝りで、負けん気が強い。

父の営む呉服屋に生まれた糸子は、小学生のころから男子と張り合ってばかりで、とにかく強い女の子だった。ところが、父親に殴られ「女は男に勝てない」と怒号を受けたり、当時は男性が担ぐ「だんじり」を女性では引けないとわかったりしたことから、「どうしても女は負けてしまう」ことへの強いショックを受ける。

が、ある日ミシンに出会ったことで、「これがうちのだんじりや」と洋裁に目覚める。最大の難関は、「洋裁は呉服の敵」という父だ。何度も立ちはだかる父という壁を乗り越えていくのが、物語の肝でもある。

修行を始め、最初はお茶汲みや掃除ばかりさせられていじけていた糸子だが、持ち前の行動力やアイデアで仕事を円滑化させたり、その姿勢が買われてようやくミシンに触らせてもらえたり、修業先で着実に実績を残していく下積み時代は、新卒で奮闘していた私を勇気付けた。

何度もいうが、糸子は本当に強いのだ。それは良いふうにも捉えられるが、戦時中、時代に逆らいなんとか洋裁づくりを続けて売上をのばしていく姿勢に反感を覚える人々も周囲にはいたし、のちに不倫という叶わぬ恋に陥り「周防さん(不倫相手)の家族も養ってみせます」と息巻くシーンに思わず引いてしまう視聴者もいただろう。そういった強さがまねいた弱さもきっちり描いてくれたことが、逆に私の強い共感になったし、一貫性があってスカッとした。

ロールモデルポイント
①一貫してとにかく強い
②うまくいかずとも、持ち前の行動力で着実に結果を残せる実力者
③強引ではあるが、間違いなく物事を自分の方に寄せ付ける強い引力

2. 川原喜美子/『スカーレット』(2019年後期)

参照:https://www6.nhk.or.jp/drama/pastprog/detail.html?i=5360

戸田恵梨香演じる川原喜美子は陶芸家。もともと絵が好きで、就職先の陶業メーカーで絵付け師を志した喜美子。そこで出会ったのが、陶工の八郎(松下洸平)だった。

喜美子と八郎は結婚し、結婚した二人は「かわはら工房」を立ち上げ、夫婦としても陶芸師としても、良きパートナーだった。芸術的な陶芸作品を生み出す八郎と、それを支えるために大量の発注を受ける喜美子で、役割が分担されていた二人。しかし、八郎の後押しで自作品を作るようになった喜美子は、「自然釉」の作品が作りたいと意気込み始め、すれ違いが始まる。

莫大な手間と資金を費やし、ついには息子の貯金にまで手を出してまで自らの芸術を究める喜美子と、賛成できない八郎。八郎の中には、同業者として焦燥感もあっただろう。ついに八郎は出て行く。すべてを犠牲にしてまで、我の芸術を一心不乱に追い求める喜美子。視聴者の中でも賛否を分けた。

確かに、すべてを犠牲にしてまで「今」しなければならないことなのか。喜美子の姿勢に少し疑問を抱きつつも、半ば不自由で抑圧されながら過ごしてきた喜美子がそうせざるを得ないことも痛いほどわかった。
そして、私はここまで真剣に何かに向き合ってきたのか。自分も音楽という芸術を学んできたが、これほど鋭い眼差しを対象作品に向けたことがあったかと、自分を恥じたのだった。

喜美子はその後、八郎と離婚し、息子とも死別。それでも彼女は、作品づくりをやめない。友人にパリ行きを誘われても、小さな村で作品を作り続けることを選んだ。

何があろうと、静かに自分のやるべきことを全うしていく責任感。過去の別れや失敗も、火に燃やして作品として昇華する凛々しさ。目的地に向かってまっすぐ歩む、奇を衒わない姿勢は私の中のロールモデルにふさわしかった。

ロールモデルポイント
①よそ見せず、淡々と自分の仕事に向き合う誠実さ
②歳をとっても衰えない作品に向かう姿勢の凛々しさ
③芸術に飽くなく突進し続けるまっすぐさ

ここまでいわゆる「強い」系の人が続いた。おそらく、自分もちょっと強い系の部類に入るので、重ね合わせてしまうんだと思う。これではつまらないしせっかくなので、最後の1人は、私にないものを持っている女性を選んだ。


3. 天野アキ/『あまちゃん』(2013年前期)

参照:https://www6.nhk.or.jp/drama/pastprog/detail.html?i=asadora88

アキは、のん(当時は能年玲奈)が演じた。初登場時は「地味で暗くて、向上心も協調性も個性も華も無いパッとしない」性格だけれど、拠点を東京から岩手に移してからは、見違えるように天真爛漫かつ朗らか、想像もつかないような行動力を発揮するように。

彼女を変えたのは、間違いなく岩手の祖母であり、海女の夏ばっぱ。青い海に突き落とされたその日から、アキは今までになく視野を広げた。
海女として地域振興に貢献して北三陸のアイドルになったり、親友のユイちゃんに影響されて東京でアイドルを目指したりする。

といったあらすじだけではこの物語のおもしろさは伝わらないくらい、隅から隅までの登場人物のキャラ設定のすばらしさ、伏線貼りの緻密さとユニークさなど、本当にこのドラマには魅力がたくさんあるのだが、やっぱりアキの朗らかさこそ、陽気な物語やキャラたちの「ハブ」になっていたと思う。

アキは、人を動かすとき、糸子のように怒ったり強引に事を進めようとしたりしない。喜美子のように、ブレない芯で周りが折れざるを得ない状況を作ったりはしない。周囲を温めて融和させ、なんだかついていきたくなる、応援したくなる、好きにならざるを得ない、そんな魅力がある。

これは大事なのだが、基本的に人の悪口を言わない。ライバルにも友好的すぎる。で、気づけばよき仲間にしてしまう。これ、仕事をする上でかなり重要ポイントではないか。

ロールモデルポイント
①周りを温めることで引き込む強烈な魅力
②立場関係なく誰にでも友好的
③いざというときに発揮する行動力と決断力

朝ドラを見れば、やるべきことが見つかる

思えば、朝ドラに育てられた10代〜20代前半を過ごした。困ったときは、何らかの朝ドラを観てはヒントを得ていた。

朝ドラの良いところは、作品数が多いから自分にあったヒロインが見つけやすいということだ。で、結構作品をマスターすれば、「今はこんな悩みがあるから、これで復習しとこ」と状況や気分にカスタマイズしてヒロインを復習できる。

多分、これからも何か迷いが生じたら朝ドラを観ると思う。そして、新たなロールモデル像を見つけていく。


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