第0話 寄り添う”以外の”メンタル対応
➀はじめに
あなたの企業や仕事仲間でメンタルの不調になっている方はいませんか?
そしてあなたや会社の対応は、下記のようなゴールなき”寄り添い”に終始していないですか?
このnoteは企業でのメンタル対応に苦悩する、人事、労務、経営者、管理職、産業保健職向けです。
個別面談のコツ、メンタル対応への体制・ルール作り、メンタル不調の基礎知識などについて連載していきます。本シリーズをお読みいただければ一通りの対応ができるようになるはずです。(もくじ)
自己紹介やこのnoteへの思いは別途まとめておりますので、ご一読下されば幸いです。(自己紹介はこちら)
大きな企業はもちろんですが、30人の壁を迎えそうな企業など、これからメンタル対応の体制を作ろうという担当者さまにもおすすめです。
ちなみに、、、
本稿では「寄り添うことは否定していない」です。
むしろ寄り添うことは重要、というか必須の姿勢だと思っています。
寄り添う姿勢によってより良い結果が生まれることは言うまでもないと思います。
スポーツの世界でも「最後は気持ちの勝負だった」とかはよく聞くセリフでしょう。
しかしこれはあくまで一定の方法論・具体策がある場合での話です。その理由を説明していきます。
➁メンタル対応には「型」が必要
例えばプロのサッカーチームが「気持ちで戦う」と宣言して、本当に戦術がなかったらぼろくそに負けてしまうだろうし、サポーターたちは黙ってないでしょう。
同じように寄り添う”気持ち”や”姿勢”だけではメンタル問題は解決しません。方法論・具体策つまり「型」が必要です。
そして、人事・労務・経営者・産業保健職は、非常に大きなテーマとなったメンタル問題は避けて通ることができません。
あくまで寄り添うことは基本姿勢として、「寄り添う”以外の”メンタル対応」が求められているのです。
メンタル対応は千差万別、ゆえに「型」が必要です。
すべてにおいてオーダーメイドは不可能ですし、オーダーメイドが過ぎれば軸がずれてみんなが苦労する結果になってしまいます。
ちなみに、メンタル不調はすべての企業で起きえることですが、、、
メンタル不調対応のルールや規則が整備されている企業の割合は30%程度と言われています。(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
こういった意味からも企業ごとに「型」を持っておくことは急務です。
また、方法論、具体策を持っておくことで修正が可能になります。うまくいかなければやり方を見直せばいいからです。
しかし寄り添う姿勢・気持ちだけでは「寄り添いが足りない!」という謎の精神論に終始します。
さらにメンタル対応特有の課題として「良かれと思ってやりすぎてしまう」「どこまでもやらなければいけない気がしてくる」「その結果周囲も本人も疲弊していく」という傾向があります。
実は冒頭に出したゴールなき”寄り添い”の例はすべてやりすぎた結果、周囲も本人も疲弊していく=落とし穴にはまるリスクの高い対応方法です。
多くの研修や教科書などでも、「これとこれとこれはやりましょう」という内容が多いと感じます。しかしただでさえやることの多い経営者・人事・労務・管理職に何でもかんでも要求するのはNGです。
このnoteでは「ここまではやるべき」と同じくらい「これはやらなくてよい」も意識して書いていこうと思います。
我々はどのようにメンタル問題に向き合うことができるのか ?
今、私が考えうる限りの内容をお伝えしていこうと思います。
➂メンタル対応は進化し続ける
ここまで、型=方法論・具体策が必要とさんざん言っておきながら、メンタル対応に絶対解はないとも思っています。
なぜなら企業の実情、社会情勢、個人要因、周囲の人々の想いなどなど考慮すべき変数が無数にあるからです。
だからといって”寄り添う”という肌触りの良い言葉だけに甘えて具体策を提示しないわけにはいきません。
わたしは産業医・精神科医として「寄り添う」ことの解像度を上げて、一歩前に進み、誰もが手軽に実践できることを目指したいと思っています。
なにより、メンタル対応は新たな知見の蓄積、技術の進歩、社会情勢の変化などによって進化し続けていくものだと思っています。
「私の考える寄り添った対応はこれです」
「それは素敵なやり方だね。真似してみよう」
そんなやりとりのきっかけにこのnoteをしていきたいと思ってます。
このnoteに関して是非、ご意見、ご感想、ご助言などいただければと思っております。
そして磨き上げられたものが世の多くの人の助けになることを願っています。
それではいよいよ次回から本編に入っていきたいと思います。
【第1話 ゴールなき寄り添いの落とし穴】は こちら からどうぞ
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