むりむり日記、あるいは足の裏に刺さった画鋲について
来月のなかばに36歳になるわけだが、毎年誕生日が近づくにつれてコンディションが悪化していく。梅雨、湿気、低気圧、寒暖差、バイオリズム……。原因はよくわからない。いずれにせよ、頭の働きは鈍いし、感覚も鈍麻していて、何をしていても楽しくないし、何も見ても感動しない。
いわゆるところの「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」の4番状態……。投げやりな気分に囚われており、すべてがどうでもよく感じられる。毎年6月を迎えるとこのような状態に陥りがちである。とはいえ、口座の残高が一億円ぐらいになっていたら心はきっとときめくことだろう。
気分転換を図って公園へ出かけていき日光浴しながら読書してみたり、川沿いの道を散歩してみたり、新大久保で食べたことのない料理を食べてみたり、冷凍庫でキンキンに冷やしたジンを炭酸で割りライムを絞って飲んだりしてみても、思っていたほどの効果は得られない。まったく効果なしというわけではないのだが、結局のところ高揚感は持続せず、むしろ虚しさに囚われたりもする。
6月特有の不全感を除去せんとあれやこれや手を付けて右往左往するよりも、粛々とルーティン的なものに取り組んだほうが吉なのかもしれない。毎日決まったページ数だけ本を読み進めたり、ヒッチコックマラソンをしたり、楽器の練習をしたり。去年、新曲マラソンに着手したのもちょうどこの時期だったようだ。また新曲を10曲作るべきなのか……。
日曜日。わたしの地元愛知県で開催されている音楽フェス「森、道、市場」にトリプルファイヤーで出演。昨年すでにmei eharaバンドセットで出演した経験があったから1年ぶり2度目の出演となる。
昨年と同じく、入り口付近のCIRCUS STAGEの一番手だった。超絶夜型人間なのでいつもなら寝ている時間だ。当然眠いわけだが、コンディションと演奏のクオリティはあまり関係がないからどうということはない。むしろ多少眠いときのほうが限られた脳のリソースを100%投入できたりもする。
そんな話よりも重要なのは、想像していたよりもはるかにたくさんの人に演奏を聴いてもらえて嬉しかったということだ。歓声が上がるといまだにびっくりするし鳥肌も立つ。我々の演奏を聴いていただいたみなさん、どうもありがとうございました。
森道の会場にはサングラスをかけているお客さんがたくさんいた。フェスといえばサングラスである。わたしもサングラスがほしい。サングラスをかけたい。サングラスをかけたいと思ったときに即座にかけられる奴でありたい。
サングラスをかけるという行為はちっともおかしなことではない。けれども一抹の照れくささがつきまとうのもまた事実である。パーマをかけたり、すこし派手な服を着たり、コンタクトレンズをつけたりすると、必ずぐちゅぐちゅ揶揄してくる人間が現れるので、防衛的な態度を取らざるを得ないのだ。
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