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【5/3,4巨人戦●●】サヨナラ負けした日くらい、体脂肪が減ってほしい

丸8日ほど滞在しているホテルでは、15時からハッピーアワーが始まる。1杯買うと同じものが1杯ついてくるという、ロストバゲージのスーツケースが見つかったときくらいのハッピーな制度である。

この15時というのは日本で言うと14時というわけで、ちょうど、デーゲームが始まる時間なのである。そんなわけで私はいつも、プールバーのカウンターに座ってぼーっと速報を見始めることになる。

海外の回線からだとスカパーが観られないので(なんとかしていただきたい。)スポナビの速報で毎日見るしかないのだけれど、これがどうして、なかなかに、盛り上がる。盛り上がるというか、じっと画面を見つめていて点をとられたらしっかり凹み、誰かがホームランを打てばしっかり喜ぶ。ただの文字と数字の列なのに、こんなに感情が揺さぶられてしまうのだから、スポーツというのはある意味すごい。

まあ、6点差を逆転されて負けたり、その翌日にルーズベルトゲームの結果サヨナラ負けをしたりすると、いくら文字だけでも、傷つくことは容易いといえば容易い。映像を見ているよりはそのショックはいくらか軽減されているのかもしれないけれど、それにしたって、「丸ホームラン!」「観客大歓声」の文字だけでも、まあまあな鋭さを持って胸に突き刺さる。いったい私は南の島のプールバーでピニャコラーダを飲みながら何をしてんだと思わなくはないけれど、まあ仕方ない。息子は、ココナッツジュース(まるごとココナッツを割ったあの漫画みたいなジュース)について来た爪楊枝でできた小さな傘を振りながら東京音頭を踊っている。この、まったく日本人に会わない島で。

逆転の3ランを打たれた瞬間、あるいはサヨナラのホームランを打たれた瞬間、私はプールにどぼんと沈み込む。いつも自宅のソファに沈むこむように。こちらに来てからは6キロ以上は走っていないので(まあ最近東京でも6キロ以上走ってないけれども)せめて泳ごうと、一日1キロは泳ぐようにしている。そんなわけでプールにどぼんと沈み込んだあとは、無心になって泳ぐ。それが何時であっても、とにかく、体を水に預ける。そういえば吉本ばななの小説で、大切な人を亡くした主人公が(吉本ばななの小説はだいたい大切な人を亡くしている)ひたすら市民プールで泳ぎまくるという話があった。(ような気がする。)とにかく体の重さをすべて水に預け、体を浮かせる。そして無心に泳ぐことで、主人公は少しずつ、元気になっていく。

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