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今年だけの、今だけのこのチームを【11/1 巨人戦●】

よ、よわ・・・・・い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

と、思わず声が出る。というか、そのまま息だえる。ソファに沈むこむ私に、「ママ!焼肉行くんでしょ!」と息子が話しかける。そうだった、久々に焼肉行く約束してたんだった…。

のろのろと起き上がり、「よわい・・・・・あまりにもよわすぎる・・・・」と声を絞り出すと、むすめに「それでもおうえんするのがファンでしょ!!」と、怒られる。「いやそうだけど・・・・そうだけど・・・・」とまだフラフラしている私に、息子は「お肉いっぱい食べていいよ!早く行こう!」と言う。まあ、君はお肉が早く食べたいんだよね…いやもう私もお肉とビールで力入れるしかないな…と、なんとかかんとか体を起こす。

そういえば、去年東京ドームのデーゲームでボロ負けした日も、むすめと二人でドーム近くの焼肉を食べに行ったのだ。お肉を食べて元気になって外に出たら、なんと、ビルの前に、怪我で調整中だったなおみちが歩いてきた。(ほんとうに。)

「エレベーター乗ります?」と、聞いてくれた(らしい、私は混乱しまくってあまり記憶になく、むすめが後で教えてくれた)なおみちに無言で首をふり、「あの、がんばってください…!」と、声を絞り出すと、なおみちが笑っておじきしてくれた(…らしい、むすめによると。)

なおみちに会えたことですっかりテンションが上がり、ひどく負けたその試合のこともすっかり忘れて私はむすめとほくほくした気持ちで帰ったのを覚えている。

去年はなかなか試合に出られなかったなおみちは、今日しっかりヒットを放った。全3安打(3安打!)のうちの、貴重な1本である。よく考えたら今日のヒットはなおみち・たけし・エイオキキャップという、ロス組だった。(そして上田はその後ゲッツーだったけどまあそれ…はそれである。)

いや、本当に弱いと思うのだけれど、もうそれはこちらも身にしみて分かっているし、なんというか弱さがおでんの大根の出汁のようにじわじわ染み渡ってくるようなのだけれど、それでも、その中でも、意地のヒットを打つエイオキキャップだったり、結果を残そうとする姿勢を毎度見せてくれるたけしだったり、そしてとにかく一軍にしっかり戻ってきてあがき続けるなおみちだったり、「なんとかしよう」とする姿勢…は、見え…なくも、ない。…と、思う(弱気)。

毎日毎日野球があると、や見る方もつい忘れがちになるけれど、今年は本当に、「野球がある」という事実がそもそもスペシャルになったシーズンだった。そしてそうじゃなくとも、通常のシーズンだってこの時期は、毎日誰かの引退報道を目にすることになる。

「野球がある」こと「野球ができる」こと、それは当たり前のことじゃない。つい忘れそうになるけれど、それは本当に、奇跡みたいなことかもしれないのだ。

自分の好きなチームを、好きな誰かを、応援できること。それは今だけの、スペシャルな時間かもしれない。だからもう本当に弱くても、ソファに沈み込んでも、やっぱりまた、お肉を食べてビールを飲んで(そう、おいしいものを食べることはほんとうに大事。)、応援していこう、と思う。

今年だけの、今だけの、このチームを。


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