ていねいに、仕事を積み重ねていくやちくんのことーーー2018やちくんの軌跡
ファン感で「選手との写真撮影」が当たって、家族でやちくんと写真を撮った時(オットに、え、入るの?って言ってしまった)、やちくんは真っ先に息子に話しかけてくれて、肩に手を置いてくれた。照れまくるむすめを、こっちにおいでって呼んでくれた。(でもむすめは照れすぎてやちくんの隣に行かなかったのでありがたく母さんがやちくんの隣に立たせていただいた。)いけめんのその笑顔には、人柄が表れていた。
今年の「一軍での」成績という「数字」だけで見た時、それはすごく良い数字というわけではないかもしれない。でも(えらくしょっぱい)契約更改の中で、やちくんの年俸が今年のままステイだったのは、やっぱりファンからの人気も換算されるのだろうね、という話をオットとしていたばかりだった。
なんせ、いけめんである。しゅっとしている。とてもヤクルトらしいいけめんである。でも顔だけじゃないのだ、やちくんの良さは。その人気は。
死球を受け、手首を骨折したときに、相手のピッチャーに「よけられなくてごめん」と言ったやちくん。チームメイトに「とにかくただのいい人」と言われるやちくん。一方でカツオさんに「腹黒い」と言われるやちくん。なみさんに「ただの山田哲人の友達」と言われるやちくん。とても真面目で、優しくて、いじられたって「その通りです」って笑って受け入れて、そのぜんぶひっくるめて、なんだかとてもヤクルトらしい選手だなあと思う。そりゃあ愛されるよなあと思う。
二軍でリーグトップの打率を叩き出して、ようやく一軍に上がってこられた矢先、やちくんはショートの守備固めで出場したオリックス戦で、1イニングに二度のエラーをした。(そういやあったな「代走ぐっち」というぜいたく采配・・・)
やちくんはこの試合の翌日、みやさまとひたすら守備練習をする。「二軍でどれだけ打てていたとしても、今の自分に求められているのはきちんと守備ができることだから」と言いながら。
(ところでこの試合を今見返すと、松岡さんも秋吉も出ていて、相手の先発ピッチャーは西であった。本当に、あらゆる物事はあっという間に移り変わる。)
そこからしばらく、やちくんはチャンスで打てない試合が続いた。二軍であれだけ打てていたからなおさら、見ている方はもちろん、本人だってきっともどかしくてきつかただろうなと思う。サッカー日本代表が勝って日本中が大騒ぎの中、私は一人、サヨナラのチャンスを生かせなかったやちくんに泣いていた。
それでも、なかなか結果が出なかった中、7/16横浜戦で、やちくんは9回表(また9回だよ!!!!)代打で出場し、抑えのヤスアキから勝ち越しのタイムリーを打ったのだ。
交流戦最高勝率からまた8連敗のどん底に突き落とされるという、いつものひどい仕打ちを受けた後の1勝である。「やちくんが打つ、それで色々全部チャラになる」と私は思った。ちなみにこの試合は9回に5点を取って逆転勝ちしている。ひどいチームだ。
そして7月28日の阪神戦でも、やちくんはタイムリーを打つ。宮古島で「三線の花」を聞きながら私はめっちゃ泣いた。(この日カラシティーはホームランを打っている。カラシティー・・・涙)
それでも、レギュラーじゃない選手が活躍の場所を見つけるのは難しい。スタメンでチャンスを生かせない日もあった。
だけどやちくんは、次の試合でしっかりタイムリーを打った。
8/25の横浜戦では、ヤクルトが全くできないちょう高度な技である「犠牲フライ」だって打った。
「代打で結果を出し続ける」というのはやっぱり難しい。やちくんはどうしても、びっきーやハタケのように、そこに立てば何かを起こしてくれる・・!と思わせるような選手ではなかったかもしれない。てっぱちのようにレギュラーでホームランを打つスター選手ではないかもしれない。
でも、それでも、愚直にボールを追い、ミスをしたら練習をし、チャンスを生かせなかったらその次が来るのをじっと待ち、そういう一つ一つの積み重ねをしていける選手なのだと思う。その姿は、そういう姿勢は、長くサラリーマンをしていた「一般人」の私にとって、とてもとても、心強く映った。
「チャンスはピンチ」で「ピンチはチャンス」だ。このトレードが、やちくんにとって大きな大きな転機になることは間違いない。だけど、目の前の仕事をただ、丁寧に積み重ねていけるやちくんなら、きっときっと、この転機をチャンスにできると思う。何より、まだまだ成長していける選手だと思う。北海道のファンにだって絶対に愛されると思う。
「ヤクルトの選手」としてずっとやちくんを見てきたから、それが見られなくなるのは、寂しくて仕方ない。でも、別のユニフォームを着ていても、やちくんが成長していく姿をこの先もずっと応援していたいなと思う。
どうか新しい土地で、今まで以上の活躍ができますように。ひやち担々麺に負けないおいしいグルメを作ってもらえますように。
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