見出し画像

その1本のヒットに夢を託して 【6/14西武戦⚫️】

いつだって、どんな時だって、どんな試合だって、そこで「見どころ」を探していた。見どころとはすなわち、希望だ。それは小さくても大きな希望だ。

たいしは、とにかくずっと打てなくて、やっと出たと思ったヒットまでご丁寧に相手のエラーに修正された。

あの日、ヒットがエラーに訂正された阪神戦で、最初にヒットランプがついた時、たいしはとてもとても嬉しそうに笑った。とてもほっとした表情に見えた。だけどそれがエラーになり、まだベース上で、修正されたことを知らないたいしを思うと、むしょうに悲しくなった。

たいしは41打席ずっと、打てなかった。オープン戦であれだけ打って、多くのファンをわくわくさせて、開幕スタメンまで勝ち取って、それなのに打てなかった。

もちろん、たいしが打てなかったその打席には、たくさんのチャンスがあった。そこで打てば得点が入る場面も山のようにあったし、それで流れが変わって勝てた試合だってあったはずだ。チームもファンも、その多くでため息をついたと思う。そりゃそうだ、たいしはヤクルトというチームの一員で、そこには勝つために立っている。

だけど今日、ベンチの選手たちも、ブルペンの投手たちも、現地のファンも、テレビを見るファンも、とにかく多くの人がたいしのその1本に飛び上がって喜んだ。もうお祭り騒ぎだった。みんなみんな、待っていたのだ。たいしのその、その1本を。

それはもう、すでに1-11で負けている試合だ。なんだかんだで10本もヒットを放ち、それでも1点しか取れなかったもどかしいにもほどがある試合だ。そもそも1回に3失点し、4回に8失点するという、まあまあそれなりに、いやそれなりどころじゃない、おい、おおおおおい。と言いたくなる試合だ。

でもその試合で、ずっと打てなかった若い選手の41打席ぶりのヒットに、多くのファンが大喜びした。いやいや、喜んでいる場合じゃない。試合は1-11で負けているのだ、と思いながら、涙が出るほどうれしかった。

そりゃもちろん、強がってる部分だってあるだろう。でも、それでも、若手が久々に放つ1本のヒットにこれだけ喜べるというのは、やっぱりなんか、良いものだよな、と思うのだ。どんなつらい中でも、希望を見出すことというのは、いつだってどんなときだって、大切なことだ。自分にどうすることもできない、こちらが勝手に応援しているチームの試合の流れにおいてであればなおさらだ。

もちろん愚痴なんかいくらでも出てくる。今日だって深いため息をつく。もう二度と見ないぞと心に誓いもする。

でもそんな試合でも、いやそんな試合だからこそ、希望のかけらを集めたいではないか。そうやって、自分の機嫌は自分で取っていくのだ。だって応援するのは、こちらの勝手なのだから。

と、思いながら、できれば次は10本打ったら8点くらい取ってもらえませんかね、と、思っている。人は贅沢な生き物なのだ。



ありがとうございます…! いただいたサポートは、ヤクルトスワローズへのお布施になります! いつも読んでいただき、ありがとうございます!