見出し画像

いついかなる時も、うかれては、いけない。【11/5阪神戦●】

ホームランじゃないのに、村上くんが一人でダイヤモンドを回り、ホームにかえってきたのを見て、私はキッチンで小躍りした。

↑うかれている。完全にうかれている。私が大好きな夏にうかれている時くらいは軽くうかれている。

いやだって、ハタチの四番が、二盗を決め、かと思いきや三盗まで決め、気づけば本盗まで決め(!)、そのままかえってきたのである。これはうかれる、うかれてしまう。

…いや、本当は少しはわかっていた。何度も何度も、息子と「こんな最初にいっぱいとっちゃったらあとから追いつかれるのにねえ」と言い合った。「え、7点もとったの!?」とはしゃぐむすめに、「喜ぶのはまだ早いよ
!」と、息子と一緒に牽制したりしていた。気持ちに保険をかけるかのように、落ち着かせようとしていたのだ、それなりに。

・・・・・だがしかし、おまつり状態はおさまらない。ああ人間とはなんて愚かなのか。いや愚かなのは私か。わるいおとこにつかまった私なのか。ほれた私が悪いのかそうなのか。

あんなに信じても信じても裏切られ続けてきたのに、私はまた今日こそ彼はやってくれると信じたのである。あほだ。愚かだ。

とにかく心のすみのすみのすみにあった不安が的中するかのように、点差はどんどん縮んでいく。点を取られるたび、私はまたソファに沈み込む。甲子園での試合のいつものくせで、少し未来にはいいことが待っているんじゃないかとスポナビの速報を開くも、スポナビは目の前と同じ現実を突きつけてくるだけである。

そうだった、今日はDAZNじゃなくてBSで見てるんだった。タイムラグはない。これは現実でしかないのだった・・・・・・・・・・・

「え、7点もとられてるの!?」と、お風呂から上がるなりさっきと逆のことを口走るむすめに、息子が「いもーとがさっきあんなに喜んだからじゃん!だから言ったじゃん!!やっぱり追いつかれたじゃん!!」とか言っている。やつあたりである。「いやいもーとが悪いんじゃないから・・・みんなうかれたでしょ・・・・これが現実・・・・」と、私はまたソファに沈み込む。

ここまでくるとあとは慣れたものである。「これは逆転されるぞされるぞされるぞ・・・」と、へなちょこな保険を自分にかける。被害を最小限におさえるためである。案の定、ヤクルトは逆転される。「6点差なんてね・・・ないようなものだしね・・・・・・・・」と、人生で数回はつぶやいたであろうセリフを私はまた私は口にする。息子は「知ってた・・・・・」とうなだれる。むすめだけは、「ほしくん、今日も取られたの1点だけだね!!!いいね!!!」とにこにこしている。

…いつもの日常といえば、いつもの日常である。

まったくこんな試合を、いったい何度目にするのだろう。人生はどうしてこんなに厳しいのだろう。ヤクルトはどうして負けるのだろう。答えは霧の中である。

いや、答えは最初から出ている。ほれた私が悪いのだ。

かくしてシーズンの終わりにもなお、ハードな試合を見ながら、今年もいろいろあったな…と、遠い目をする今日の私です。

いつもいかなる時も!うかれては!いけない!!!!(戒め)


この記事が参加している募集

スポーツ観戦記

ありがとうございます…! いただいたサポートは、ヤクルトスワローズへのお布施になります! いつも読んでいただき、ありがとうございます!