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「覚悟」とともに立つ、その背中に【8/24阪神戦●】

(写真は覚悟を持ってお祭りの射的に挑むむすめ。)

平井くんとあきおが六本木でご飯を食べてお会計をしようとしたら、思ったよりずっと高くて、二人で持っているお金を寄せ集めてなんとか払ったら、帰りのタクシー代もなくなってしまい、どこかの階段に座り込んで途方に暮れてしまった、というエピソードが、有料アプリの動画「座談会」で語られている。

私はその回がどうも好きで、何度も何度も見てしまう。2017年2月、まだルーキーイヤーを終えたばかりの若かりしこーたろーとじゅりが飛び入りゲストとして参加し(そしてじゅりはなおみちに「宇宙人」と呼ばれ)(ついでにこーたろーは6番をつけたいと言い出し、というかじゅりに言わされ)(あと、お酒によわいこーたろーのビールをじゅりが飲んであげて)(というとにかく見どころがありすぎる)、あきおと平井くんの他に、なおみちと、そしてやちくんが出ている。

私の中での平井くんは、この座談会の「よくしゃべる関西弁のにいちゃん」という印象が強く、それは私が育ってきた環境で出会ってきた人たちによく重なり、なんだか親近感を覚えた。

いろんなものは移りかわっていく。やちくんは、チームが変わって新天地でがんばっている。そしてこの座談会の後、2017シーズン、平井くんは1軍のマウンドに4回しか立たず、翌年は一度もそこに立たなかった。Twitterで「目撃情報」を見つけては、心の中でそっと喜んだ。がんばれ、がんばれ、と、祈りながら。

だけど今年、平井くんはそのマウンドに戻ってきた。「すきあらば平井」と私は一人でそっとつぶやいた。あらゆる場面で平井くんは投げる。初めての(初めてじゃなかった気がするけど)ブルペンデーで、先発でだって投げた。

そして今日は、こんちゃんにアクシデントがあり、ランナーを1、3塁に置いた状態で急遽マウンドに立った。四球を出し、満塁になった。いつもの押し出しが頭をよぎった。だけど平井くんはそこを、しっかりおさえた。

私はいつも思う。痛みを知る人がそこに立つ時、奮い立たせるものはきっと覚悟なのだろう、と。それが何よりの原動力になるのだろう、と。ヤクルトにはそういう、あらゆる覚悟を背負いそこに立つ人が多いように思う。ぐっちだって、こんちゃんだって、五十嵐さんだって、そして今日の先発の田川くんだって同じだ。

もちろん、大きな覚悟を持って臨んでも、打たれる時がある。打てない時がある。そういうものなのだ、覚悟は大きな原動力だけれど、覚悟だけではどうにもならない。ようやく上がれた一軍で、代打の場面で、抑えなきゃいけないところで、うまく仕事ができないことは山のようにある。

でもその一打席、一球の重みを、本当の意味で知るのは、覚悟を背負ってそこに立つ人だ。それが試合の結果を、そして自分のこれからを左右する。それはとてもこわく、でもきっと、エキサイティングな場所だ。

だから戦うべきその場所からどうか逃げないで、戦って、と思う。今日もヤクルトは元気に打たれまくったけれど、もちろんまたたくさんため息をついたけれど、でも、例えば押し出しで失点、というのはなかった。田川くんもほしくんも、押し出しはせずそこで戦った。いや評価が甘すぎるというのはわかってるけど、うん。

平井くんは緊急登板でそのピンチをしのぎ、松本くんは昇格後即、初安打を放った。太田くんは素晴らしい走塁を見せてくれた。目を向ければ、逃げずに戦い、結果を残した人もそこにはちゃんといた。

さて、あきおと平井くんが帰りのタクシー代までなくなってしまい途方にくれた時、救ったのは誰だったか。

「神様から電話がかかってきた。由規さんから。今から飲もうって。」

二人が「めっちゃ優しい」と口をそろえる由規先輩が、二人のピンチを救ってくれたそうだ。

そう、すべてのものは移り変わってゆく。やちくんも、由規も、今はこのチームにはいない。それでもそれぞれの場所で、結果を残そうともがいている。きっと、それぞれの覚悟を持って。

由規が途方にくれた二人を救ってくれたように、途方にくれるようなこのチーム状況も、まあきっと救われる時がきっとくる。

もう失うものなんてないのだから、この際思いっきりプレーしてほしいなと思う。開き直ってがむしゃらになった先に、見えるものがあったりするのだから。

(おまけ。)

ちなみにこの「座談会」シリーズ、好きすぎて全部見ていますが、(一番盛り上がったのは、この平井くんたちの会と、ぐっち・あきお・たいし・藤井ちゃんの会(あきおがいると大抵盛り上がる。電通マンのようだ)、一番盛り上がりに欠けるのがアキヨシ・石山・山田くん・藤井ちゃん・上田の同級生会です(あくまでも個人的観点)。この5人のあまりの盛り上がらなさっぷりも相当おもしろいので是非見てください。


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