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「淡々と」終わっていくように見えるその試合でも【10/27広島戦●・ちょっとだけ戸田ロッテ戦○】

戸田に新しくできた外野席の、いちばん後ろの席に座り、買ってきた海鮮ばらちらしを開けると、なんだか本当にピクニック気分になってきた。

一年以上ご無沙汰だった戸田球場は、変わらぬ穏やかな空気が流れていた。去年ここで、ぐっちがDHでずっと出ていたことを思い出す。打てますように、打てますように、何度もそう願いながら、グラウンドを見ていた。高津さんもきっと、その姿を見ていた。

今日、戸田には慎吾がいて、上田がいて、藤井ちゃんがいて、そして久保くんや坂本くんやきんにくんや松本くんがいる。(きんにくんのサインボールまで当たってしまった。ありがとうございます。)みんな、一軍の同じ場所を目指して。

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さてその目指すべき一軍では、今日もなっしーが孤軍奮闘(7回2失点)していた。7回!2失点て!!!!なかなかいない。そんな投手はなかなかいるもんじゃない。

投げた球は110球。(最近思うのだけれど、なっしーはタフだ。そこはこれからとても大きな武器になっていくと思う。)すばらしい。そしてヤクルトは今日も!…打たなかった。

はう…と、ため息ばかりが積もっていく。逆転負けとか、サヨナラ負けとか、それがまあ結構いちばん傷口が深くなる展開ではあるのだけれど、そうは言ってもここ最近のように、まったく、打てない。なにも、起こらない。というのはそれはそれで、気持ちの持って行き所に困る。20点とらなきゃ!!と、いう問題ではもはやない。3点でいいのだ。でもその3点が、とれない。

それがここのところ続いている。「なにも、起こらない。」

でも、「なにも、起こらない。」には、もちろん、「なにも、起こらせなかった。」ピッチャーがいてくれるのだ。今日であれば、淡々と、7回を2失点でまとめてくれたなっしーがいてくれた。もし今日のヤクルトが9失点とか10失点とか20失点とかしていたら、私はもちろん「なにも、起こらない。」なんて言わず、だから20点とってって言ったのに!!だのなんだの、ぎゃーぎゃー騒いでいたに違いない。

「淡々と」の裏には、しっかり抑えてくれたピッチャーがいる。当たり前なのだけれど。野球には、勝つ試合と負ける試合がある。当たり前なのだけれど。そのどれもに、踏ん張った人がいる。もしかしたらベンチで見ながら、悔しい思いをしていた人だって、いるかもしれない。それはもしかすると数字にはならないところで、記録には残らないところで、新聞の見出しにはならないところで、それでもその誰かの経験となり、積み重なっていく。

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戸田では、てくてく道路を歩くじゅりとすれ違った。いやいやこんなところで何をしているのだ、と、思いながら、早く戻ってこられますように、と願う。牧歌的な景色が広がるここはいつも、そんな、あらゆる感情であふれている。

一軍で過ごす日々も、二軍で過ごす日々も、そして「淡々と」終わっていくように見えるその試合でも、誰かが何かを感じ、何かをつかみ、その先につなげていけますように、と、私は祈る。今日人知れず悔しい思いをしていたかもしれない誰かが、それを力に変えていけますように、と。


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