君は、君が凄いことをしたと思われたいのかい。

友達が言う。

「困ってるんだから助けてあげたい」

それよりもっと困っている人が君には見えていないのかい。

困難は比べるべきじゃないかもしれないけれど、その結果、生死の差が決まることだってあるのだからもう少し考えてみても良いと思う。

君は、君が凄いことをしたと思われたいのかい。

別にそれに異論はないし、そうしたいならすれば良いんだけど、やっぱり動機が掴めない。

困っていそうだから助けられる存在と、もう生きていけないかもしれないのにそれに気付かれない存在がある。

前者の方は助けて欲しいという意思を伝えられるから、きっと動物として正しい姿なんだろう。

人間には想像力が足りないから言葉だけじゃ伝わらないし、現代人なんて裏の汚い部分は見ても見てないふりさえするんだから届くはずがない。

助けて欲しいなら声を上げろと言い、その小さな声に気付けない馬鹿に限って自分は凄いと思い込む。

君はそうなってしまいそうだよ。もうなっているのかもしれない。

近くにいるから感じないだけで、社会の中では立派な人になりきった寂しい人なのかもしれない。

そんな君と一緒にいるのは嫌だ。

みんなそんな冷たい人間になってしまうのだろうか。

自分だけはならないようにしようと思っていても、気付いたときにはもう飲み込まれてしまうんだ。