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インターンプログラム【2】~ミュージアムの4つの機能~

この回では、ミュージアム(=広義の博物館)の役割と機能が、博物館学者の中でも解釈がさまざまなのはなぜか? 利用者にとって、ミュージアムの機能はどのように見えるか、についてお話します。(2021.11.30)

🌑〈AC〉
今回は、ミュージアム(=広義の博物館)の「機能」とその「利用」について考えてみましょう。

🌕〈S〉
博物館学の授業で、最初に出てきたのが「博物館の役割と機能」でした。

🌑〈AC〉
「博物館の機能」について、もっとも一般的なものは以下のような4つの機能としての説明だと思います。
 ①収集保存
 ②調査研究
 ③展示公開
 ④教育普及

※出展:加藤有次「博物館学総論」(1996)

🌕〈S〉
すみません、
私が教わったのと、区分が少し違うんですけど!

🌑〈AC〉
この4つの区分、
人によっていくつもの違うパターンがあるので、注意が必要です。
収集保存が、「資料収集」と「保存保管」に分かれていたり、
展示公開と教育普及が「教育」1つにまとめられたりすることもあります。

🌕〈S〉
なぜ、そのような違いが起こるんですか?

🌑〈AC〉
この区分の違いは、説明する人の立ち位置(どこから見ているか、何を中心に見ているか)が表れたものだと思います。
ミュージアムを俯瞰し全体として理解することは、必ずしも簡単ではないのかもしれません。
自分の近くにあるものは細かく見えてしまうし、よく知らないものは区別もできないことがあります。
収集保存の専門家には、収集と保存は違うと見えますし、
展示公開と教育普及を軽視していたり、違いがわからなければ、この2つを教育として1つにまとめてしまうということです。

🌕〈S〉
そういうことなら、
ミュージアム機能の区分の仕方で、
説明している人が、何を中心に見ているかがわかってしまいますね。

🌑〈AC〉
さて、
上の表でも、この4つは、
①収集保存②調査研究

③展示公開④教育普及
の2つに分かれていますが、どのような違いに見えますか?

🌕〈S〉
私たちがミュージアムを「利用」するのは、展示を見たり、プログラムに参加したりする時だから、
③展示公開と④教育普及
が「利用できる」機能になりますね!
①収集保存と②調査研究
も必要なのはわかりますが「利用」することはできません。

🌑〈AC〉
その通りです。
基本的には、
私たち利用者が、直接利用できるのが、
「③展示公開、④教育普及」
利用できないバックヤードにあるのが、
「①収集保存、②調査研究」

という大きな違いがあります。

🌕〈S〉
よく
「展示のないミュージアムは存在しない」
と言いますが…。

🌑〈AC〉
それは、
「展示」が「運営と利用の接点」に位置していて、
「展示がなければ、利用することができない」からです。

🌕〈S〉
「教育普及」はどう考えればいいですか?

🌑〈AC〉
「教育普及」も「運営と利用の接点」に位置しているのは同じですが、
「展示公開」が「展示形式」なのに対して、
「教育普及」は「プログラム形式」であるという「形式の違い」があります。

🌕〈S〉
私たちが利用できる「展示」や「プログラム」も、学芸員の職務として説明されることが多いですが…。

🌑〈AC〉
ミュージアムの事業規模にもよりますが、
基本的に、
「展示」も「プログラム」も専門職能を必要とするものです。
ですから、
「研究職能」しか持ち合わせずに学芸員として活動する場合は、「職能の拡張」が求められます。
ですが、多くの場合、そのような教育を受けてきていないので、展示やプログラムの分野では十分な職能を得ることは難しいのが実際です。
その結果として、利用されない「Dead」なミュージアム状態に追い込んでしまっているのかもしれません。

🌕〈S〉
「予算がない、人が足りない」とできない理由を言うことはできても、学芸員自身の職能不足が「できない理由」だとなると、なんとか頑張って方策を見つけなければなりませんね!

🌑〈AC〉
もちろん、方策はありますよ。
そのお話は、また別の回で。

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