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インターンプログラム【5】~「視点の移動」と「視点の転回」~

この回では、「視点の移動」はなぜ必要なのか。さらに、「視点の転回」とはどのようなことなのか、についてお話します。(2021.12.21)

🌑〈AC〉
この「インターンプログラム」では、
「ミュージアム」を考える「視点」をいくつか提示しています。

🌕〈S〉
はい、
【1】「運営論」と「利用論」
【2】 ミュージアムの4つの機能
【3】「資料主体」と「利用者主体」
【4】「教育施設」と「文化施設」
みんな、
「ミュージアム」を考える「視点」なんですね。

🌑〈AC〉
では、なぜ、
そのような「視点」が必要になるのでしょうか?

🌕〈S〉
「ただ漫然として眺めているだけでは、何も見えてこないから」
ですか?

🌑〈AC〉
その通りです!
「視点」を「移動」させないと、
「見えるはずのもの」が見えなくなってしまう
からです。

🌕〈S〉
「見えるはずのものが見えない?」
あっ、わたし、
「視点の移動」できてないかも?!

🌑〈AC〉
大丈夫ですよ。
見えてる人に聞けばいいんですから。
それでは、
ある「視点」と、その「対象◼️」との関係で生まれる「死角」のパターン①②③から、「視点の移動」が「なぜ」必要なのかを一緒に考えてみましょう。

🌕〈S〉
この3つのパターン。
「①」「②」「③」が「視点」、
まん中にある「◼️」が「対象」ですね。

🌑〈AC〉
まず「視点と死角①」
「視点①」からだと「対象◼️」によって、
「C・D・E」が「死角」になって「視野」に入りません。

🌕〈S〉
あることを「見る(知る)」ことで、
別の何かが「見えなくなる」ことがある、
ということですか!

🌑〈AC〉
つぎに「視点と死角②」
「視点①」から「対象◼️」に近づいて、
「視点②」に移動します。
「対象◼️」に関する知識が増えて理解が深まった状態ですが、
「死角」が「A~G」に広がっています。
この状態を「近視眼的」と言います。
視野が狭まり、目の前のことしかわからなくなっている状態のことですね。
ある意味で「思い込み」が発生しているかもしれません。

🌕〈S〉
「死角」が広すぎです。
なんだか、少し「怖い」です。

🌑〈AC〉
3つ目は「視点と死角③」
「視点①」を右に「横移動」させて「視点③」に移動します。
「死角」で「視野」に入っていなかった「C・D・E」が見えてきました。

🌕〈S〉
視点の「横移動」で、
隠れていたものが見えるようになるってことですね。
でも、
視点を「横に移動」するって、どうすればいいんでしょう?

🌑〈AC〉
いままで持っていなかった、
自分にとって新しい「視点」を獲得すれば視点は移動します。
そのために、
インターンプログラムでは、いくつかの「視点」を提示しているわけです。

🌕〈S〉
なるほど、
もう一回、読み直してみようかな!

🌑〈AC〉
さて、つぎは、
「外から内へ」の視点移動です。
いま、「対象◼️」を外から見ています。
どのくらい「対象◼️」のことがわかりますか?

🌕〈S〉
「外から見えること」はわかりますが、
「外からは見えないこと」がありそうですね!
外から見ているだけでは、見えないものがあるってことですね。

🌑〈AC〉
実際は、「外からは見えないこと」の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。
外から見ただけで「わかったつもり」にならないよう、注意が必要です。

🌕〈S〉
「内側から見る」って、どういうことなんでしょうか?

🌑〈AC〉
「外からの視点」と「内側からの視点」の違いを実感する方法があります。
ずばり、
「対象◼️」の中に飛び込むことです。
文化人類学から生まれた「フィールドワーク」という手法は、この方法の一つです。
でも、
これはすごく難しいですし、時間もかかります。

🌕〈S〉
やっぱり、飛び込まないと「内側から見る」ことはできないんですね。

🌑〈AC〉
飛び込まずに「内側から見る」方法が、一つだけあります。
いま自分のいる世界(自分の学校や自分の会社など)を「内側からの視点」で「内」と「外」の違いを十分に見きることです。

🌕〈S〉
もう「内側」に入っているわけだから、
飛び込む必要もないわけですね。

🌑〈AC〉
さて、つぎは、
「内から外へ」の視点移動です。
先ほどの「視点と死角」のパターンをもう一度見てみましょう。

パターンの「外枠」は「□」で囲まれていますが、
これが「高い塀」だったらどうでしょう。
どのようにしたら「□」の外を見ることができるでしょうか。

🌕〈S〉
はい、わかりました。
任せてください!
「視点①」を垂直に「縦移動」させれば、
「塀の外」を見渡せます。

🌑〈AC〉
その通りです!
「視点の縦移動」で、視点を高くすれば、
「塀の外」が見えるようになります。
それまでの「視界」と、まったく変わってしまうでしょうね。
でも、
「視点を高くする」ためには「抽象化」するチカラが必要になります。

🌕〈S〉
逆に言えば、
「抽象化」のチカラを獲得すれば、
「高い視点」から見ることができるということですね。
「具体⇔抽象」トレーニングが、
「参考図書」として紹介されている意味がやっとわかりました。

🌑〈AC〉
さて、最後は、
「視点の転回」です。
「利用論で考える」ということは、
「視点の転回」を実践することだと言うことができます。

🌕〈S〉
「コペルニクス的転回」の「転回」と同じであれば、
「天動説」と「地動説」をイメージすればいいですよね!

🌑〈AC〉
「視点の転回」は、
「座標軸の入れ替え」
だと言うこともできます。
「見かけ」は同じでも、その意味はまったく異なります。
「天動説」から「地動説」への「転回」と同じことを意味しています。

🌕〈S〉
「運営論」の「視点を転回」する(座標軸を入れ替える)と、
「利用論」が現れてくる
んですよね。

左の図が、「運営論に基づく組織構造」
右の図が、「利用論に基づく組織構造」

🌑〈AC〉
はい、
それではまた次回。

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