見出し画像

インターンプログラム【7】~「次元」でみる「空間形式」~

この回では、「次元の違い」により「空間形式」はどのように捉えることができるのか、「空間形式の次元」を使って「展覧会」を説明するとどのようになるか、についてお話します。(2022.1.15)

🌕〈S〉
今回のテーマは、
「次元」でみる「空間形式」
このテーマ、ものすごく難しそうです!

🌑〈AC〉
抽象度の高い「タイトル」なので「難しそう」ですが、だんだん具体的にしていきますので、わかりやすくなると思います。

🌕〈S〉
はい。それではまず、
「次元」ってどのようなことですか?

🌑〈AC〉
「次元」で「空間」を考える時、
「0次元」から「4次元」まで、次のように説明されています。
●0次元=点
●1次元=直線 (座標が1つだけ)
●2次元=平面 (2つの座標を持つ)
●3次元=空間 (3つの座標を持つ)
●4次元=時空 (時間+3次元空間)

0次元の「点」は移動ができません。
1次元の「直線」は線上だけの移動。
2次元の「平面」は面の上での移動。
3次元の「空間」は、前後左右上下と移動の自由度が大きくなっていきます。

🌕〈S〉
4次元の「時空」はタイムトリップできるような空間ということですね!
私、「時をかける少女」大好きなんです。

🌑〈AC〉
文字やイメージなどの「意味や価値を伝える媒体」も、「次元」で整理するとわかりやすくなります。
●0次元=モノ
●1次元=文字媒体
●2次元=平面媒体
●3次元=空間媒体

「意味や価値を伝える媒体」には、それぞれに「表現形態」があり、「表現の自由度」が異なります。
◯1次元=文字媒体は、文章表現。
◯2次元=平面媒体は、イラストや図表、写真などでのグラフィック表現。
◯3次元=空間媒体は、パフォーマンスによるライブな表現。

🌕〈S〉
文字媒体と平面媒体のカッコ内にある「ブック形式」とは何ですか?

🌑〈AC〉
「ブック形式」は、本、図書、書籍などと呼ばれる「ブック」の形に納めることができるということです。
文字媒体と平面媒体での「コンテンツ」は「本」にできる、と言うこともできます。

🌕〈S〉
たしかに、
「文章表現」のものはもちろん、まんが、イラスト、写真などは、みんな「本=ブック形式」になっていますね。

🌑〈AC〉
「ブック形式」になると、「移動」や「収蔵」が容易になり、
「商業流通」されるだけでなく、
「図書館システム」を通じて「移動」することができるようになります。

🌕〈S〉
空間媒体のカッコ内にある「プログラム形式」とは何ですか?

🌑〈AC〉
「プログラム形式」は、
空間媒体である「ミュージアム」にとって、とても重要な形式なのですが、別の回でお話しします。

🌕〈S〉
それでは、ミュージアムの「展示」は「空間形式」としてどのように考えればいいのでしょうか?

🌑〈AC〉
「空間形式」も「次元」で考えることができます。
●0次元=モノ単体 (1:1)
●1次元=順路形式 (1:n)
●2次元=探訪形式 (m:n)
●3次元=プログラム形式 (時間、空間、コンテンツ)

🌕〈S〉
たとえば、
美術展などの「展覧会」は、どんな「空間形式」だと考えればいいのでしょうか?

🌑〈AC〉
それでは、
この「空間形式の次元」を使って、
「展覧会」の空間形式を説明してみましょう。

ミュージアムでいう「資料」は、
0次元の「点=モノ」、
「展覧会」は、
1次元の「線=物語」にあたります。
「点=モノ」をピックアップし、
「線=物語」を構成する
のが「展覧会」だと言うことができます。

🌕〈S〉
「展覧会」の利用者は、
構成された「線=物語」を辿ることになるから、「順路」があるわけですね。

🌑〈AC〉
「利用者」と「資料」の関係(接点)で言うと、【利用者:資料=1:1】が基本になります。
「線=物語」に構成された「展覧会」では、【利用者:資料=1:n】の関係になりますが、
1人の利用者が、n点の資料と【1:1】の関係で連続してn回の閲覧をする「空間形式」だとも言えます。
順路に沿ってn回の「閲覧」を順番に続けていくから「順路形式」として整理しています。

🌕〈S〉
入口から出口まで、「順路」にしたがって「閲覧」していく展示スタイルのことですね。

🌑〈AC〉
ミュージアムの展示は、多様なスタイルがあるようで、多かれ少なかれ「順路形式」に依存しています。
「順路形式」の基本関係(接点)は【1:1】ですから、
「利用者」と「資料」の関係(接点)である【1:1】を妨げる行為は、自ずと「タブー」となります。
例えば、「利用者と資料を1:1に結ぶサイトラインを遮るようなことはしない」(=資料をみている利用者の視界を遮らない)というようなことです。

🌕〈S〉
【1:1】の関係を維持できるよう、それぞれの利用者が行動しているのは、そのような「空間形式」だからなんですね。

🌑〈AC〉
ですから、
【1:1】以外の関係を作りたいのであれば、それに合わせた「空間形式」に変更する必要があるわけです。

【参照】「空間形式の違い」と「ルール」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?