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Cornelius(コーネリアス、小山田圭吾)の制作した楽曲を順番に紹介し、ヒストリー…

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Cornelius(コーネリアス、小山田圭吾)の制作した楽曲を順番に紹介し、ヒストリーとしてまとめる取り組みをしています。

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  • Beneath theProducts of the Ape

    楽曲を通して辿る、Corneliusのヒストリー。

最近の記事

Raise Your Hand Together -Works of Cornelius 010-

Holidays in the sun e.p.Corneliusとして2作目の音盤は、1993年9月10日に発売された『Holidays in the sun e.p.』である。デビューシングル『太陽は僕の敵』からわずか10日後のリリースだった。 タイトルは収録曲「The Sun Is My Enemy」を意識したものだろうか。同名の曲がSex Pistolsの作品にもあるが、意図的にこれを引用したのかどうかはわからない。 "EP"という呼び名は、アナログ盤愛好家の小山田

    • Diamond Bossa -Works of Cornelius 009-

      1993年9月1日、シングル『太陽は僕の敵(The Sun Is My Enemy)』でCorneliusはデビューを果たした。つづいて今回取り上げるのは、そのデビュー・シングルのカップリング曲である。 Brazilian Jazz同時代のUKシーンの動きに敏感だった小山田が、この頃にとくに関心を持っていた音のひとつがアシッド・ジャズである。デビューに先立ちMo' Music名義で発表した「Into Somethin'」も、アシッド・ジャズの文脈で作られた曲だった。 Cor

      • The Sun Is My Enemy -Works of Cornelius 008-

        (*マガジンのタイトルを変更しました。) 解散から約2年を経た1993年9月1日、Flipper's Guitarのすべてのアルバム(『Singles』を除く)と映像作品が再発売された。CDは帯や背表紙のデザインが一新され、ビデオ3作はVHS1本にまとめられた。 とくに『colour me pop』『on PLEASURE BENT』は、最初の発売からあまり時間が経っていない中でのリイシューである。この2作については、再発にあたりTrattoriaのロゴが取り除かれ、Men

        • Cleopatra 2001 -Works of Cornelius 007-

          1993年が明けてもしばらくは、小山田の主な活動はプロデュース業だった。 3月にはBridgeの2作品『A Meeting on the Disk』(Trattoria Menu 10)『Spring Hill Fair』(Menu 11)がリリースされた。以前にも触れた通り、小山田は楽曲提供はしておらず、ここではバンドを取り仕切ってまとめる役目が中心だったようだ。ある程度のディレクションはしたかもしれないが、音楽的な関与はそれほど大きくなかったのかもしれない。 これと前

        Raise Your Hand Together -Works of Cornelius 010-

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          12本

        記事

          Mike Alway's Diary -Works of Cornelius 006-

          1992年末の小山田関連リリースを締めくくるのは、1992年12月21日にCrue-Lから発表されたカヒミ・カリィのEP『Mike Alway's Diary』である。 ここまでのカヒミの作品はコンピレーションへの参加楽曲のみであったため、単独では本作がデビュー作ということになる。 Debut EP『BLOW-UP』から始まったCrue-Lレーベルの作品は、これで3枚目となった。ちなみに2作目は92年夏にリリースされたFavourite Marineのアナログ・シングル『F

          Mike Alway's Diary -Works of Cornelius 006-

          華麗なる休暇 -Works of Cornelius 005-

          引き続き、1992年暮れの小山田関連作リリース・ラッシュについて。 『Trattoria Course Volume One』の6日後、12月16日に発表されたゲーム音楽CD『熱唱!! Street Fighter II』にも参加していた。当時大流行していた対戦格闘ゲーム「ストリートファイターII」のBGMをアレンジしてヴォーカルを乗せた楽曲集で、戸田誠司のプロデュースによるものだった。 小山田が参加したのは登場キャラ"ダルシム"のテーマソング「遥かなるインディア」で、コー

          華麗なる休暇 -Works of Cornelius 005-

          The Exotic Christmas -Works of Cornelius 004-

          『Jazz Jersey』の発売から1992年の暮れにかけては、あまり表立ってはいないものの、小山田の関与した音源のリリースが続いた。制作のタイミングはさまざまだろうが、unoのCM撮影の頃には複数の動きが始まっていたのだろう。 まず『Jazz Jersey』と同じ1992年11月26日には、Bridgeの3曲入りマキシ・シングル『Windy Afternoon』(Menu 8)が発売された。小山田はプロデューサーとしてクレジットされている。ちなみに、以後も小山田はBrid

          The Exotic Christmas -Works of Cornelius 004-

          あわただしい4月が終わったので、ようやく少し先へ進めそう。手始めに、twitterと連携させてみた。 https://twitter.com/esp_ape_c おたがいに、一息つける連休になりますように。

          あわただしい4月が終わったので、ようやく少し先へ進めそう。手始めに、twitterと連携させてみた。 https://twitter.com/esp_ape_c おたがいに、一息つける連休になりますように。

          なんかまたちょっとつらくなってきてる感がありますが、めげずに音楽の話を続けようと思います…… と言いつつ今のところ背景の歴史に字数を使いがち 春はいろいろと忙しいですね。仕事もプライベートも、気持ちの面でも。

          なんかまたちょっとつらくなってきてる感がありますが、めげずに音楽の話を続けようと思います…… と言いつつ今のところ背景の歴史に字数を使いがち 春はいろいろと忙しいですね。仕事もプライベートも、気持ちの面でも。

          Into Somethin' -Works of Cornelius 003-

          Trattoriaレーベルのスタートにあたり、小山田がまず発想したのは、才能ある仲間たちの作品を世に広めるために協力することだった。これまでに関与した『Fab Gear』『BLOW-UP』などと同じアイディアである。これらに参加していたBridgeやVenus Peterは、こうしてTrattoriaにも加わり、初期の"メニュー"の主軸として作品をリリースしていった。 初期Trattoriaのもうひとつの軸は、マイク・オールウェイの運営するExoticaレーベルの日本配給であ

          Into Somethin' -Works of Cornelius 003-

          Qu'est Ce Qu'il Est Beau! -Works of Cornelius 002-

          Flipper's Guitarが所属していたレコード会社ポリスターは、解散後、ライブツアー中止等により生じた損失の補填を試みる。このようなときに最も効果的なのは、ベストアルバムの販売だろう。既存の音源を再編集することで制作費を抑えつつ、アルバム未収録曲やレアテイクなども含めることで、これから聴いてみたい人からコアなファンまで幅広い層に売ることができ、利益を得やすいためだ。 かくして、1991年12月21日にFlipper's Guitarのベストアルバム『colour me

          Qu'est Ce Qu'il Est Beau! -Works of Cornelius 002-

          「Cruel Records Strikes Back」の引用元をたまたまみつけたので「Bonjour Line」の記事を更新しました。元ネタがらみはあまりに沼が深く、ますます自信がありません。。その他にも間違い等があったらぜひご指摘をお願いします。

          「Cruel Records Strikes Back」の引用元をたまたまみつけたので「Bonjour Line」の記事を更新しました。元ネタがらみはあまりに沼が深く、ますます自信がありません。。その他にも間違い等があったらぜひご指摘をお願いします。

          Bonjour Line -Works of Cornelius 001-

          1989年にデビューしたFlipper's Guitarは、2年間で3枚のアルバムを発表後、1991年10月に突然その活動を終了した。既にチケット販売を終えていたライブツアーは中止、企画が始まっていた4枚目のアルバムも立ち消えとなり、スケジュールは全て白紙になったという。 解散の理由や経緯が詳しく語られたことはなく、小山田はこの後しばらく沈黙することになる。その解散とほぼ同時期に、ちょうど併行して関わっていたコンピレーションアルバム『BLOW-UP』が発表された。これに含まれ

          Bonjour Line -Works of Cornelius 001-

          Index01: Works of Cornelius 1991-1994

          ここからは、Cornelius / 小山田圭吾のこれまでの経歴を、ひとつひとつの作品を振り返ることで辿っていく。 まず全体の流れを、ざっくり年表にしてみた。 その上で、このページの最後の項では、1991年〜1994年の作品リストを随時加えていく予定だ。 タイムライン1989 Lollipop SonicからFlipper's Guitarへ改名し、メジャーデビュー。以後3枚のアルバムを発表 1991 Flipper's Guitar解散 Crue-Lレーベルへ関与しつつ、T

          Index01: Works of Cornelius 1991-1994

          Introduction ——2021年夏の騒動を経て

          2021年、夏。 最も敬愛してきた音楽家が、過去に雑誌で語った発言のことで、世間から凄まじい非難を浴びた。 あまりにも激しく燃えさかる炎を前に、身動きを取ることもできない。自分の青春の全てが燃えカスになったような気がして、ただただかなしかった。そして、失われていく彼の名誉や、ご家族の苦痛を思うと、毎日のように胸が痛んだ。 結局彼は、作品の販売・配信停止といった措置こそ受けていないものの、公に使用されていた楽曲は全て差し替え、または番組等の休止を余儀なくされた。そして参加する

          Introduction ——2021年夏の騒動を経て