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むるめ辞典

■影法師

[読]かげぼうし

影がうつしたもの

[例文]
旅行先で写真を撮った。風景も撮ったし、二人寄り合った写真も撮った。道に二つ並んだ影まで撮った。

現像した写真を10年後の今みてみると、あんなに好きで追いかけた人も、太陽が大地に投影した影法師の一つでしかなかった。

頼りなく不揃いで風に吹かれるとすぐに揺らいでしまいそうな青春の陽光を、私の心はもう浴びることはないのかもしれない。その写真の影のようなくっきりした輪郭はどこかに消えてしまった。

それでコーヒーを沸かし一息いれて、古いアルバムはなんの準備もなく一人で開くものじゃないな、と思いながら次のページをめくった。

サポートしていただいたお金で、書斎を手に入れます。それからネコを飼って、コタツを用意するつもりです。蜜柑も食べます。