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チームを大きくするための構造設計についての理解

今回は組織について。

こちらは前に書いた組織関連のnote。

マガジンでもいろいろ書き連ねていて、ムロヤの関心領域です。

これまで、いろんな組織にいました。新卒では8000人の東証一部上場の大企業、二社目には社長と自分と同僚の3人だけのスタートアップ、三社目には13→200名の組織拡大を体験し、そして今も組織拡大に向けて真っ只中など。

社会的に大きなことを成し遂げるには、事業成長の「マーケティング」、投資するお金まわりの「財務」、そして実行する「組織づくり」がどれも欠かせないですよね。デカイことをしたいなら、組織づくりの技能が必ず求められます。

前述のnoteを見ればよくわかると思うのですが、私はよくシステム的に物事を考えます。システム思考ってやつでしょうか。

このような視点で、価値提供を増やすためにも組織を成長させるにはどうしたらいいのか、日頃考えていることを、整理も兼ねて書いてみたいと思います。




組織の拡大には、コンピュータ・ネットワークのアナロジーを用いる

例えば本部と店舗運営のように分かれている場合、本図は頭脳、店舗運営は手足みたく「身体ひとつ」の前提を持っていると、店舗運営側での現場発の工夫は殺され、商圏特有のニーズに適応できないかもしれません。

コンビニであれば、運動会が近ければドリンクやおにぎりが大量に売れるはずなので仕入れを多くしておけば販売のチャンスロスはなくせますし、アパレルだったら地域によって寒暖差も変わりますし、タイミングによって提案する商品は変わるはずです。

本部による画一的な施策の効率性はありますが、拾えるニーズや提供体制には限界があります。

このような場合は、店長に仕入れの権限を与えるなど、多頭体制だったり、複数の人間の協働のいいシステムにした方がいい局面もあるでしょう。

インターネット的に分散型でつながったコンピュータのように、中心がない自律的に動かすようなアナロジーも有効な時がありますね。

リンク、フラット、シェアです。人体のアナロジーは、個体の考えのときには良い感覚があります。

ティール型組織もそんな感じの考え方ですよね。構造の一つ。


1人の構造、2人の構造、3人の構造は違う。大きくなるには、構造を変え続けること。

どんな会社もはじめは個人商店みたいなものです。

はじめから社員数100名で創業なぞありえません。GAFAやBAT、ソニーもパナソニックもはじめは零細企業だったはずです。

どんな商売もはじめは全部一人でやったり、少人数のチームでやるもの。そして、拡大につれて分業が生じますよね。

はじめに1人で行っているうちは、形式知は必要なく、すべて暗黙知でも遂行できます。商売は創って、作って、売るのサイクルを回すこと。一人では、アレコレ考えて試行錯誤してみて、思う存分PDCAを回せるはずです。


2人になれば、一人で抱えていた不得意なことやさばききれなかった案件も回せるようになるでしょう。

チームワークの面でも、2人だったら1対1の対話で済むため、十分に情報はやりとりできるでしょう。さほどドキュメント化などせずとも、認識は揃えられるはずです。


一方、3人になってからは、偏った対話が発生すると組織構成員が持つ情報量に違いが生まれてきて、それが業務の支障になってくるはずです。

拡大と分業につれて、創る専門の人、作る専門、売る専門がバラバラの動きをしていたらおしまいです。

顧客のニーズとはズレたものが生まれ、需要と供給もマッチせず、販売も連動できていないのでジャストミートに買う理由を提案できず在庫過多になるなど、怖い未来が見えます。

人が多くなれば、阿吽の呼吸も難しくなるため、構造を作り、権限規定や職務分掌、判断基準、チェックリスト、マニュアル…など、思考や意思決定や実行に関わる言語化と浸透が求められるなと感じます。ルールやカルチャーで束ねることが必要です。



分業化、細分化の弊害を考慮し、修正パッチを入れ込む

組織が拡大していくと、分業が進み、機能の細分化がされていきます。

「縦割り組織」とかよく言いますよね。自分の担当業務や、自分が所属する組織のことだけを考えて、全体最適になっていない部分最適です。

縦割りには横串がセットです。

縦割によって組織同士が対立して意思決定が難しい場合には、その部門長の共通の上司が決めることによって、物事が進んでいくケースがあるでしょう。

縦割は弊害をもたらすものですが、ソフトウェアに例えると、きちんと修正パッチを当てれば回避できますし、なによりも分業によって、プロセスごとに専門性を高めて、ハイパフォーマンスにつなげられる恩恵を受けることができます。

創設期のベンチャーの時は、人員体制の都合で一人何役も抱えて動かさないといけない時期がありますが、人が増えればその仕事を渡せますし、その分の時間を他のことに避けたり、得意なこと・自分がなすべき業務に時間を支えて、結果的に全体としてのパフォーマンス向上、全体最適へ迎えますよね。

ここの設計にしくじると、拡大できません。

どんどん生産性や効率が落ちて、顧客のニーズとも解離していって、買ってくれなければ売上にならないし、効率悪ければコストに乗っかるから利益が出てこない。利益が出ないと成長の再投資もできない。

そんな窮地に立たされると、任せたいけど自分がやりたいと思ってしまい「自分でやったほうがはやい病」にかかったり、拡大して空中で瓦解するかもしれません。

話は変わって、世界的な分業では、Apple製品の「Designed by Apple in California」は有名ですよね。各国の部品メーカーから取り寄せ、中国で組み立て工場で製造。

ユニクロ製品も、糸は東レから買い、バングラディシュの工場で作り、世界中で売るなどしています。

我が北海道の札幌には、時給単価の安さから、コールセンターの会社がよくあります。(北海道の最低賃金時間額は861円、東京は1,013円)



10,000人を率いるか、5人を率いるか。変わる統治形態

組織の大きさは、リーダーの器以上に大きくならない」とよく言われます。

5人くらいなら全員のマイクロマネジメントはできますが、10人からは全員に目を行き届かせることは難しくなるでしょう。

ある領域について、自分が詳しくないが、メンバーが詳しい場合に、思い切って任せることができるかどうかでも、変わってきます。

30人にもなると全員を見ることはできません。間にマネージャーを配置し、マネージャーにメンバーマネジメントを任せ、マネージャー陣と密にコミュニケーションして介在的に動かす必要も出てくるでしょう。

1000人にもなると、高度な機能分化が進みます。ベンチャーの仕事に慣れている人にとっては、とても狭い範囲の仕事に思えるかもしれませんが、狭いからこそ深堀りができます。専門性の細分化は、深化をもたらし、それが効果効率の最大化を生み出します。


一気に1000人に情報を伝達するためにも、ITインフラや通達の仕組みの構築が入りますよね。

マネジメントの視点でも、3人を束ねるのと、10人を束ねる、30人、100人、1000人と、規模や管掌範囲の広がりによっても、統治のシステムは異なるでしょう。

組織の拡大や盛衰に備えて、組織図を更新し続けて、備えていくことの重要性をとても感じますなう。

このように、人数によっては望ましい構造は変わるでしょう。

言い方を変えると、市場への価値提供を大きくするにはアウトプットを高める仕組みが必要であり、そのために人員を増やしたり、スループットを高められる最適な協働の設計の模索が必要です。


独裁か民主主義か

組織において、独裁も民主主義も手段です。独裁が絶対悪で、民主主義が絶対善というわけにもいかないのが、組織の面白いところ。

すぐに変革の行動を一斉に仕掛けないと生き残れない場合には、合議を得るのに時間のかかる民主主義では辛く、経営陣のトップダウンの強烈なリーダーシップが必要かもしれません。

一方、トップダウン=少頭の体制でもあるため、現場でしか知り得ない丁寧なニーズの掘り起こしや、自立分散的な対応が向いている場合には、取りこぼしも生まれるかも。

この記事がとても面白かったです。


会社の中だけの組織化から市場全体での組織化

競争の観点でも、シェアを奪い合う競争を行うよりも、利益を分かち合う協調のエコシステムを構築する方がいいこともあるでしょう。OSレイヤーで争うマイクロソフトとアップルでも、Microsoft WordがAppleのMac OSで動くようになった例のように。

組織の中の構造をどうするかの観点もありますが、広く視点を市場に向けて、その市場内のプレイヤーたちも組織だと考えることで、最適な構造が見つかるかもしれません。

内製化、外注化のどちらが今がいいかの観点にも活かせるでしょう。

SPAのように、市場の工程に非効率があるならば、リスクをとって自社で全てのプロセスが遂行できるように内製化して、創意工夫によって利益をもたらせます。


適材適所

凡人を非凡にできるのが組織の醍醐味です。

人の力を見抜き、トレーニングを施したり、プロの仕事をマニュアル化することで誰も業務遂行できるようにしたり、分業と連動の設計次第でとんでもない力を発揮することができますよね。

ここが組織づくりの面白いところだなと個人的にも強く思います。

適材適所の前には、「採用」が決定打だよなと組織づくりをやるようになってからよく感じます。

今の人的資源のあれこれの工夫もありますが、外からスカウトすることによっても増強できますし。

スタープレイヤー集団の会社は、人材紹介会社に頼るだけではなく、社内にヘッドハンティングチームを組成している理由がよくわかります。

ハイパフォーマンスなスター選手をどこも欲しい。メンバーを束ねて、組織を引っ張ってくれるリーダーが欲しい。

一方で、全員が全員リーダータイプだったら、「俺が俺が」の大戦争でそれはそれで組織が回らないのでフォロワーシップタイプも大切ですね。

組織づくりは組み合わせ最適化問題です。




と、組織づくりについて、バババっと書いてみました。

いろいろわかったふうに書きましたが、日々泥臭く精進でございます。マジ、組織づくりはオーダーメイド。会社が違えば事業も違うし、置かれてる境遇や、どんなメンバーがいる会社かによっても、とるべき機能や構造は全く変わるからです。でも、普遍的な思考の技術はあると思っています。

ちな、「マッキンゼーの7S」が実践の現場で超使えるフレームワークでとっても好きです。

青田さんのNiziUの組織の話も大好物ですw 虹プロ、めちゃくちゃ勉強になる。



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