マーケティング組織変革に「ワーディング」を導入しよう
組織の実行力を高める取り組みには、研修やナレッジマネジメントなど様々あります。これらは要するに「共通言語づくり」であって、さらに言えば「国の言葉をつくること」みたいなものだと最近は思いはじめてきました。
イヌイットの雪の多様な表現
イヌイットには「雪」に関する単語が50以上あるなんて都市伝説もあります。この言葉の種類が多いことで、どんな形かを精緻に表現できるようになる。つまり、厳密に表現しようとするならば、コトバの種類を増やさざるを得ないともいえる。
単純化してシンプルに言えるのが一番ですが、複雑なものを単純化する過程で大事な要素が削られることもあるので、複雑なものを複雑なまま理解するにはコトバの種類の量が必要になるのです。(ブランディングの領域は「ブランドエクイティ」や「知覚品質」「助成想起」など専門用語だらけですよね)
これをマーケに置き換えてみる
施策の優先順位づけの場合には、「成果の果実を早く味わおう」というコトバを使うのですが、これは優先順位の天秤の際に、施策にかかる工数やインパクト以外にも、時間軸の概念を付与するためです。
次は、消費者理解について。消費者理解を「増やしていく」のか、「積み上げていく」のかでは、頭のなかで浮かぶビジュアルは異なってくる。増やすには軸がないように見えて、積み上げるには軸が見える。なので、積み上げるような理解の意識で、ブレを生みづらい取り組みができるようにも思えます。
コトバには価値観だって乗せられます。USJの「スイングザバット」「やりっぱなし文化」が該当しそうですね。
「ノルマ」と呼ぶか「目標」と呼ぶかでも全然違いますし、「ダメだし」と呼ぶか「フィードバック」と呼ぶかでも、受け手の捉え方、ひいてはアクションの取り方、積極性は異なってきます。
風土が言語をつくるし、言語が風土をつくる循環構造にあります。
あとは数式や数理モデルを操ることも、広義のコトバの操作みたいなものだと思います。
戦略論であれば、「好循環の起点」「運用レバー」なども、効果的な思考につなげられるトリガーワードとなるでしょう。
こういうトリガーワードが頭にあれば、KGIからKPIを分解し、適切な打ち手に分解していく「因数分解の力」や、どの運用レバーを動かせばどうなるかの「シミュレーション力」も身につくはずです。
良い言葉に触れられる環境づくり
悪い言葉ばかりに触れて育った子供は、悪い思考と行動を持ってしまうように、コトバとは無意識のうちに思考と行動の規定してしまうものです。
言葉をつくり、浸透させるプロセス。それも実務部隊であるマネジメントの役割です。マーケ組織を動かして成果を出すものの取り組みのひとつですから。
フレームワークをパッケージングしてネーミングしたり、
ノウハウを徹底的に科学して言語化してポップなワーディングに加工したり(私は「ビール3杯理論」「ドヤ会」や「TTP」などを用いることがあります)、
流通とコントロールを容易にしたりして、組織としての再現性を高めるのです。
つかうコトバで組織の実行力がいくらでも高められる。つかうコトバにはこれからもこだわっていきたいです。
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