ティーチングからコーチングへ
むらやまです。
プログラミング講師としての経験を通じて感じたことを書きます。
普段はプログラマーとかシステムエンジニアと名乗っていますが、プログラミング講師の仕事も長くやっています。
講師という仕事。何年くらいやっているのか振り返ってみると、下積み時代も含めるとたぶん20年くらいやっています。
プログラミング講師という仕事
プログラミング講師という仕事、わたしの場合は新入社員向けの研修の仕事が多かったので、プログラミングだけでなく、システム開発の基本的なことも一緒に伝えることが多かったです。研修期間はだいたい1ヶ月〜3ヶ月程度です。
環境の変化
20年前。JavaやStrutsなどが話題になっていた時代です。
当時はプログラミング未経験でIT業界に就職してくる方も多かったように思います。自分自身も未経験でIT業界に就職しました。
なので研修においても、プログラミングの始め方について、インストールからHello World!とか、環境変数とか、そういう基本的なことからじっくり教えることが一般的でした。当時は「HTML?なにそれ?」みたいな受講者も多くて、研修で初めてHTMLを触れる方も多かったように思います。
余談ですが、初めてHTMLを書くと感動しますよね。自分もそうでした。
でも今は、(ガチの意味での)プログラミング未経験でIT業界に就職してくる方は少なくなりました。インターネットを使って少し調べれば、プログラミングの基本的なことは自分で学べる時代です。プログラミング未経験とは言いつつも「HTMLくらいはやったことがあります」という方も増えたように感じます。
また大学や専門学校、あるいはプログラミングスクールなどでプログラミングを学んでいる方も多く、Gitやフレームワークのような実践的なツールを使ったことがある、という受講者もちらほらいます。
それでこれから先の未来はどうなるのか、というと、AIの時代ですよね。講師のような教える仕事、というのはこれからどんどん減っていくのかもしれません。
講師に求められるもの
20年前、若いころは知識を伝えるのに必死で、とにかくたくさん本を読んで知識を増やしていました。必要な資格もたくさんとりました。むかしのOracleのGoldとかJavaのむずかしいやつとかシステムアーキテクトの資格とか。よくわからない資格もたくさんとりました。
知識を伝える。それが自分にとっての講師の仕事でした。
20代、30代のしばらくはそれでなんとかやっていけていました。「説明がわかりやすい」というのが講師の評価ポイントだったように感じます。
あとになって気づきましたが、講師経験を通じて、自分は本で読んだ知識や人に聴いた話を、それっぽく人前で話すこともできるようになりました。やっぱり場数を踏むのは大事ですね。
でも40代になってから、あれ、なんか最近は勝手が違うぞ、と違和感を覚えるようになります。
研修自体は上手く進めているのですが、受講者の喜ぶポイントが変わってきたことに気づくのです。
目標設定という仕事
受講者が知識を持っている(または知識にアクセスできる)ことが前提になってきたので、知識を伝えるだけでは喜んでもらえないんですよね。その気になれば、みんな自分で調べられる時代ですから。
それで今の研修で、講師が受講者に喜んでもらえるポイントはなにかというと、一言で言えば、目標設定だと考えています。
時代や環境の変化とともに、受講者の喜ぶポイントは、知識の伝達ではなくて、その知識をいかに活用するかというところにシフトしてきたように思います。
実際、研修をしていても、自分が話す時間よりも、受講者の話を聴く時間の方が増えたように感じます。受講者一人ひとりの声を聞いて、一人ひとりに合わせた目標を設定していく。それが今の講師としての自分に求められているスキルのように感じています。
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