役員報酬の決定で必ず考えたい2つのこと
おはようございます。
【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。
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■「住民税ってこんなにくるんですね…」
6月は国民健康保険料に加え、
住民税の通知が来る時期となります。
これは個人事業主においても
法人においても言えることで、
個人事業主については
純粋に昨年の所得に応じて
住民税が決まってきます。
法人はと言えば、
法人から代表者個人へ支払われる
『役員報酬』に応じて
その住民税の額が決まってくる
というもの。
法人については6月から5月までの間
その通知された住民税を12等分して
役員報酬から天引きしていく
という仕組みになります。
どうしても
住民税の天引きが増えてしまうと、
その手取り額が少なくなるため、
実質的な生活費が少なくなる
というもの。
そこで今日は
法人の場合の役員報酬の決め方について
少しお話をしていきたいと思います。
■法人については、
その役員に対して支払う給与のことを
『役員報酬』と言うのですが、
この役員報酬は原則として
年に一度しか変更することはできません。
したがって、年一度のタイミングで
役員報酬を決めるということは
かなり重要なイベントである
ということなんですね。
一般的には、
法人と個人の税負担のバランスなどを考慮し
役員報酬を設定していくわけでありますが、
ここではもう少し踏み込んだ話を
していきたいと思います。
■原則として法人は、
その法人に入ってきた売上の金額を
自由に使うことができず、
法人からその代表者個人に
上述した役員報酬を支払う
ということにより、
初めて代表者個人が法人のお金を
手にすることができる
ということになるんですね。
当然法人に関する経費は
法人の売上の金額から
支払っていくことができますが、
その法人の活動の結果得られた利益を
個人に移そうとすると、
『役員報酬』…つまり給与でしか
個人が受け取ることができない
ということになるわけです。
当然給与となりますので、
そこには所得税や住民税、
社会保険料がかかってきます。
社会保険料については、
法人も負担する必要がありますので、
実質的に法人も個人も負担を強いられる
ということになります。
(この社会保険料が結構デカイんです…)
■そこで
法人の節税についての
お話になるのですが、
法人は上述したように、原則として
『役員報酬』としてしか
個人にお金を移すことができません。
しかし例外的に、
それ以外の方法で法人から個人へ
現金を移動するという方法が
あるんですね(^^)。
主要なものとしては二つあるのですが、
一つ目は
【社宅の利用】。
これはご自宅が賃貸の場合に
限定されるのですが、
この住宅を法人名義とし、
法人の社宅にします。
法人の持ち物となるわけですので、
原則としてその全額が経費になる
というわけです。
しかしながら、
個人が住んでいるため、
その個人からもその社宅家賃を
徴収しなければなりません。
この徴収する金額は原則として、
その社宅家賃の半額なのですが、
よほどの豪華な社宅でない限りは、
国税庁が指定している計算方法により
計算した金額を徴収すれば良い
ということになっています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2600.htm
算式は少し複雑なのですが、
これを厳密に計算すると
大体10%~20%程度の負担で済むんですね。
簡単な例を言えば、
毎月10万円の家賃を払っている
状況だとして、
20%の負担で済むとしたら、
結局10万円から2万円を引いた
8万円で法人の経費にすることができる
ということになるわけです。
通常であれば10万円を
役員報酬としてもらい、
その中から家賃を支払っていく
ということになるわけですが、
上述した場合だと、
10万円でなく2万円を役員報酬に上乗せし、
その2万円にかかってくる
税金や社会保険料を負担すれば良い
ということに。
これが毎月続くとなると、
本当にかなりの節税になります(^^)。
■そしてもう一つの方法としては、
【出張日当をもらう】
ということ。
これも法人の場合に限定されるのですが、
一定の遠距離に対しての出張に対し、
日帰りや宿泊の度合いに応じて
食事代などの現地での経費を
簡単に精算する
という意味合いでの『日当』を
法人から個人へ支払うことができるわけです。
したがって、
実際の食事代などと、
もらう日当との差額が
実質的に法人から個人へ移動できる現金
ということになるわけですね。
したがって、
役員報酬を決める際は、上述した
【社宅家賃と出張日当を
考慮して決めていくのが得策である】
と言えます。
■この二つの節税策をとらないと、
法人と個人とともに税負担や
社会保険料の負担が増えてしまう
というもの。
法人であればしっかり検討したい
この二つの節税策。
ぜひ上手に再度検討して、
その有意義な節税をして
いきたいものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・法人から個人へ現金を移動するには、
原則として
【役員報酬として移動するほかない】
と言える。
・しかしながら、例外的に
【社宅】と【出張日当】を利用して、
法人から個人に現金を移動する
という方法も考えられる。
・上述した社宅と出張日当については、
実質的に無税で給料と同じような形で
現金を移動できるため、
役員報酬を決める際は、
実質的に法人からもらえる
現金を考慮して、
その額を上手に決めていくべき
であるものと心得ておくべし。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。
これまで書いてきた記事は、
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よかったらご覧くださいませ。^^
起業準備中から起業5年目までの経営ドクター
税理士 村田佑樹
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