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税務相談で50万円得をした消費税の話

おはようございます。

【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。

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■ここ最近は


 インボイス制度などのことで
 消費税が注目されていますが、

 現状では
 前々期または前々年の売上高が
 1千万円を超えると

 その期はまたはその年は
 消費税を納めるべき
 『課税事業者』となります。

 今日は、
 先日税務相談に見えられた方からのお話で、
 消費税について注意しておくべきことを
 その事例を交えてお伝えしてみたい
 と思います。


■上述したように、


 個人事業主の方については前々年、
 法人の方に対しては原則として前々期の
 課税売上高が1千万円を超えると、

 その年またはその期において
 消費税の課税事業者となります。

 上述した『課税売上高』というのは、
 
 【消費税の対象となる売上高】

 のこと。

 例えば不動産賃貸業をしている
 事業者については、

 住宅の貸付にあたりもらう住宅家賃
 は『非課税売上高』となり、
 この課税売上高には含まれない

 ということになります。

 よって、
 その営んでいる事業の種類によって、
 必ずしも『売上高=課税売上高』
 とならないので、注意が必要なんですね。


■そしてここからが本題なのですが、


 今回税務相談に見えられた方については、
 令和2年分の確定申告で
 売上高が1千万円を超えていました。

 しかしながら
 令和元年以前については
 売上高がその半分程度。

 よくよくその経緯を聞いてみると、
 建設業を営まれている方なのですが、
 その下請けとして仕事をしている
 状況である一方、

 売上の相手先が、
 本来その下請け業者一人一人に
 その外注費を振り込むべきところを、

 今回相談に見えられた方に
 一括して振り込み、
 その方がそれを仲間の下請け業者に
 分配していく

 というような仕組みに変わったそうです。

 その仕組み自体が
 おかしなことではあるのですが(汗)、

 取引の実態を考えるとどうでしょうか。

 当然、その方に対する純粋な売上高は、
 その方がした仕事に対してのものだけ
 になるはず。
 
 ですので、昨年までと実態は
 何ら変わらないんですよね。

 であるにもかかわらず、

 その得意先がその方の売上高のほか、
 他の大工さんに対する売上まで
 その方に対して振り込んでいる

 という状況。

 当然普通に経理をすると、
 その全額が売上高となってしまい、

 その下請けの大工さんに支払った時点で、
 何らかの経費…例えば『外注費』などとして
 処理をするのが通常かなと。


■今回相談に見えられた方についても、


 そういった経理をしていた
 という状況。

 しかし、実態を見ると、上述したように
 これまでの取引と状況は何ら変わりなく、

 単にその得意先の都合により、
 一旦全部が入ってきて、それを分配する
 という流れですよね。

 このように考えると、
 自分以外の大工さんに対するものの収入は
 
 【売上でなく『預り金』】

 と言うべきものでしょう。

 したがって、本来の経理は、

 【売上でなく『預り金』として受け入れ、
 それを大工さんに分配する際に
 その預り金をマイナスしていく】

 という経理が正しいものであると言えます。


■それとともに、


 その証拠もしっかり取っておきたいもの。

 【第三者的に見て、
 その入金の事実しかないとしたら、
 それは売上高と認定されても仕方ない】

 とも言えます。

 したがって、
 この部分に関しては

 【得意先にせめてその入金の明細などを
 作ってもらい、その入金されたものを
 そのまま他の大工さんに支払っていく】

 ということが必要でしょう。

 しかしながら、結果として確定申告上の
 売上高が1千万円を超えてしまって
 いるため、

 税務署としてはこれは
 消費税の対象となる課税事業者だろう
 ということで、

 おそらくこの令和3年の年末あたりに、
 そのお尋ねが来るかと思います。

 その際に、しっかりと
 そういった事実を説明し、
 消費税の課税事業者となることを
 回避したいものです。

 本来その消費税を
 納付する義務がないものの、
 万一その消費税の課税事業者
 となった場合は、

 年間で50万円ほどの
 消費税になる見込みでした。
 
 当然これは
 
 【本来は納付しなくても良い消費税】

 となります。

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 おそらくですが、今回税務相談に
 お見えにならなかったとしたら、
 通常通り税務署の指摘のまま、
 消費税を納付していくことに
 なっていただろうな

 と思っているところ。


■したがって、


 通常と違った取引が出てきた際は、
 しっかりとその正確な経理をし、
 また、正確な状況を判断し、
 正しい申告をしていくこと
 を心がけたいものです。

 …とは言え、
 こういった変化にピンとくるかどうかも
 結構難しいものであるため、

 そういった面で、
 『税理士への税務相談』
 というものが有効になってくる
 とも言えます。

 一般的に、
 納税が多くなってくると
 税理士に支払う報酬を考慮したとしても、
 その節税効果が多くなってくる

 ということも少なからずありますので、

 まずは単発の相談でも良いので
 しっかりと税理士に相談することを
 オススメいたします。

 …決して「私に相談をしてください」
 というものではなく、
 一般的なお話として
 書かせていただいている内容ですので、
 その点はご承知おきいただければ
 と思います。

 …念のため(^^;


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《本日の微粒子企業の心構え》


・税務のことを考えるにあたり『消費税』は
 その経理の仕方や、捉え違いにより、
 場合によっては、

 【本来納付すべきでないものを
 納付してしまう】

 ということが往々にしてあるものである。


・そうならないためにも、

 【その事業上の取引が
 しっかりと経理されて
 適切に申告がされているかどうか】

 ということを考えたいものである。


・ちなみに税理士が訴えられる
 最も多い税目がこの『消費税』。
 
 消費税については
 「うっかり経理をしていた」
 ということも少なからず見受けられるため、
 本当に重々注意が必要であると言える。

 
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。


これまで書いてきた記事は、
バックナンバーとして、
私の公式HPの【ブログ】に
アップしていますので、
よかったらご覧くださいませ。^^

https://muratax.com/blog/

起業準備中から起業5年目までの経営ドクター
税理士 村田佑樹

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