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退職金を払う時、もらう時の注意点

おはようございます。

【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。

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■このコロナ禍において


 大企業においてもかなり
 経営の状況が厳しくなっているようです。

 先日目にしたニュースでは、
 退職金を大幅に上乗せした状況で
 早期退職を促している大企業のお話が
 ありました。

 トータルで考えると、
 社員の方に勤続してもらい
 ずっと給料を払い続けるよりも、

 退職金を上乗せして早期退職を促した方が、
 会社からの資金の流出は少なくなる

 ということからなのでしょう。

 そこで今日は、
 退職金のことについての税務の取り扱い
 について見ていくことにいたします。


■退職金については、


 税金としてかなり優遇されているもの
 になります。

 具体的に言えば、

 勤続年数が20年までの間は
 『1年あたり40万円』の控除があり、

 その勤続年数が
 20年を超える部分については、
 『1年あたり70万円』の控除額が
 認められている

 というわけです。
 
 仮に、勤続年数が10年の方については、
 40万円×10年で『400万円』までは
 退職金の非課税になる

 ということですね(^^)。

 我々のような微粒子企業としては、
 通常この退職金の非課税の枠に
 入るのではないでしょうか。


■しかしながら、


 注意しないといけないのが
 『源泉徴収』について。

 退職金については、
 原則として源泉徴収が必要で、

 その退職金の額に対して
 20.42%の源泉徴収をしないと
 いけないことになります。

 ただ、ここで『原則として』
 と述べているのは、
 『例外もある』ということ。

 通常はこの例外の方で
 源泉徴収を考えていくことになります。


■その『例外』とは、


 【『退職所得の受給に関する申告書』を
 その退職する従業員と会社との間で
 取り交わしているかどうか】

 ということ。

 (こちらにフォームがあります↓)
 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_37.htm

 この申告書を取り交わしていることにより、
 上述した非課税の範囲内であれば
 源泉徴収は不要となります。

 逆に言えば、

 『この申告書を
 従業員から提出してもらわずに
 その退職金を払ったとすると、
 源泉徴収をする必要が出てしまう』

 ということなんですね。

 上述したように、
 退職金の源泉徴収は『20.42%』という
 それなりの高い税率ですので、

 万一税務調査に入られて、
 この退職所得の受給に関する申告書
 の提出がないようであれば、

 それは

 【源泉徴収漏れ】

 として、ペナルティーがかかってくる
 ことになってしまいます。


■一方、


 退職金を受け取る側の
 従業員について考えてみましょう。

 例外の方の、
 『退職所得の受給に関する申告書』
 を提出している従業員については、

 非課税の範囲内であれば
 源泉徴収がされないので、
 単に退職金を受け取って終了

 ということに。

 その申告書を提出している場合で、
 退職金の非課税枠を超えている
 場合であっても、

 会社の方がその源泉徴収を
 正しくしてくれているので、

 結果として

 『申告書を提出していれば、
 従業員においてする手続きは何もない』

 ということになるわけですね。

 ちなみに、上述した20.42%の税率は、
 この申告書を『提出していない』場合
 のお話。

 これを提出していれば、
 その退職金の金額に見合う正しい税率
 で源泉徴収がされることになる
 ということなんですね(^^)。

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■しかしながら、


 この申告書を提出していない
 場合はどうでしょう。

 申告書を提出していない場合は、
 上述したように金額の多寡にかかわらず、
 必ず20.42%の源泉徴収がされる
 ことになります。

 その際は、(退職金をもらう方のお話です)
 この退職金についての源泉徴収票を
 会社から発行されるのですが、

 そこに源泉徴収税額が
 載っているはずです。

 これは退職金の非課税の範囲内であれば、
 本来税金はかかってこないもの
 になりますので、

 『自ら確定申告をして、
 その源泉徴収税額の還付をしてもらう』

 という手続きが必要になります。

 当然、何も申告しなくても
 良いのは良いのですが、
 その還付金の分について損をしてしまう

 ということになるわけですね。


■今日は、


 このコロナ禍において
 『退職』というイベントが
 多く起こってきていることから、

 その退職金についての話を
 進めさせていただきました(^^)。

 『退職金』という
 単純な現金の動きのように感じますが、

 実際はこの

 【退職所得の受給に関する申告書
 の提出がされているかどうか】

 などにより、
 その税金の取り扱いが変わってきますので、
 十分な注意が必要です。


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《本日の微粒子企業の心構え》


・『退職金』については、
 一般的に大きな非課税枠があるため、
 通常はその非課税の範囲で
 収まるものであり、
 税金は考慮しなくて良いものである
 と言える。


・しかしながら

 【退職所得の受給に関する申告書を
 提出しているか否か】

 により、

 【源泉徴収をすべきかどうか】

 が変わってくるため、
 この申告書の取り扱いについては
 十分な注意が必要である。


今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。


これまで書いてきた記事は、
バックナンバーとして、
私の公式HPの【ブログ】に
アップしていますので、
よかったらご覧くださいませ。^^

https://muratax.com/blog/

起業準備中から起業5年目までの経営ドクター
税理士 村田佑樹

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