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税務調査で【売上除外】を指摘されたら

こんばんは。

【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。

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■昨年の緊急事態宣言が明けた後、

 多く税務調査が入っている
 ということを聞いています。

 私もそれは例外ではなく、顧問のお客様に
 この2月に税務調査に入る予定がありました。

 しかしながら、幸いなことに(?)、
 さらなる緊急事態宣言の延長で、
 その税務調査はなくなることに。

 このような突発的なことに
 一喜一憂している場合では
 ありませんので(汗)、

 今日は法人における税務調査について、
 特に注意すべき事項について
 見ていくことにいたします。


■現金商売でよくあること

 なのですが、

 恣意的にではないにしろ、
 もらった現金を通帳に入れ忘れたり、
 お客様の取引銀行の都合などで  
 個人の通帳に入金してもらった関係で、

 売上を計上するの忘れていたり…

 このようなケースは、
 (あまりあってはいけないのですが…)
 往々にしてあるもの。

 このような場合、
 税務調査ではどのようなことが
 問題となってくるのでしょうか。


 ・・・ぜひ、少し考えてみてください。

 いかがでしょうか。


■まず売上が計上されていない
 わけですので、
 
 【売上除外】

 といったことを指摘されるでしょう。

 この売上除外に関しては
 税務署は本当に厳しく、

 かなり突っ込んで指摘をしてきます。

 要は、実際は法人の売上に
 すべきものを、個人のポケットに入れた
 という実態をつかみ、

 「これはいかがなものか!」
 
 と言わんばかりに、
 罰を突きつけてくるわけです。


 その具体的な罰はと言えば、

 その売上を抜いたものは、

 【役員に対する賞与】

 に当たるというもの。


■ご存知の通り、法人の役員報酬は、

 基本的に毎月同額で支払っていく
 必要があります。

 したがって、
 原則的に役員賞与などの
 突発的なものは、
 この毎月同額のルールに反する
 ものですので、
 
 このルールに当てはまらないものは、
 法人の経費にできないことになるわけです。

 しかしその一方で、
 個人の所得としてはカウントされますので、
 
 所得税と住民税、さらには社会保険料
 までもかかってきます。

 つまり、法人では経費にならない上、
 個人ではこういった課税がされてしまう
 わけですので、
 いわばダブルパンチと言うわけですね。


■しかしながら、

 もし恣意的にやったわけではない
 (恣意的であったらそもそも
 経営者として大問題ですが…)
 としたら、 
 
 次のように交渉してみると
 良いかもしれません。

 どのように交渉するかと言えば、
 
 「売上を抜いてしまった分は
 しっかりと法人に返金しますので、
 賞与とすることは避けて下さい。」

 ということ。
 
■では、賞与とならないとしたら
 どのように取り扱われるのでしょうか。

 上述したように、
 後に返金する前提となりますので、これは

 【役員に対する貸付金】

 となるわけです。

 貸付金はそもそも給料ではない
 わけですので、
 所得税や住民税も関係しない
 ことになります。

 とは言え、役員に対する貸付金
 ということで、その分の利息を
 収益に計上することは必要となります。

 ただ、上述してきた賞与として
 認定されてしまうと、

 所得税や住民税、社会保険料が
 上乗せされてくるわけですので、
 もし可能であれば貸付金として
 交渉をしたいところ

 というわけですね。


■当然、税務署は

 より多く納税をしてもらいたい
 わけですので、

 おそらくまずは役員賞与の認定を
 したいところでしょう。

 しかしながら、
 恣意的に売上を除外したわけではないのに、
 
 そこに役員賞与という重たい
 ペナルティーがつくのはいかがなものか、
 とも思ってしまうわけです。

 したがって、売上除外は認めるにしても、
 後に返金するという前提で
 貸付金として処理するということを
 税務署に交渉する余地がある

 ということ。

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■このように、

 税務調査といえども、
 一方的に指摘通りに従うべきものではなく、

 ある意味調査官との交渉により、
 落としどころを見つけていく
 ということが極めて重要になってきます。


 しっかりと、

 【何かしら妥協点はないか】

 ということを考えながら、
 税務調査に臨み、
 その解決を賢くしていきたいものです。

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《本日の微粒子企業の心構え》

・売上除外の論点になると、
 必ず指摘されるのが【役員賞与】。
 役員賞与は法人の経費にならない上、
 所得税や住民税、社会保険料までもが
 乗っかってくるため、何としても
 避けたいもの。

・のちに返金します、ということで、
 貸付金として交渉する余地もある。
 恣意的でないものに重たい罰が下る
 ことは、心情的にも合点がいかないもの。

・しっかりと、合理的な判断のもと、
 税務調査における交渉をしていきたい
 ものである。

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今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。

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