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会計と法人税の【利益は異なる】というお話

こんばんは。

【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。

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・・・事務所勤務により、
早朝より出勤するようになって、
まだメルマガの配信タイミングを
つかめずにいます(笑)


■「警察に捕まっちゃいました…」

 というのは

 顧問のお客様との
 ご面談の際のお話。


 「車を運転しているときに、

 横断歩道で歩行者の
 確認をしていなかったため、

 反則切符を切られた」

 とのことでした。


 しっかり注意をしていても、

 警察とこちらとの
 認識の違いにより

 こんな風に

 『違反』

 となってしまうのは
 すごく辛いことですね。


 しかしながら、

 しっかりと

 安全運転には
 努めていきたいものです。

■さて、


 『交通違反金』について、

 このお客様は

 法人口座より
 お支払いをされていました。


 結論として、

 【交通違反金は経費にならない】

 ということになります。


 これは

 違反金としての性質上、

 これを経費にして
 その分税金が下がってしまうと、

 何となく
 おかしいですよね。


 こういった事情から、

 交通違反金については
 経費とはならない

 とされているわけです。

■では、


 法人の口座から払ったのに、
 経費にならないとしたら、

 これはどのように
 処理をするのでしょうか。


 方法としては
 二つあります。

 一つは、

 その代表者の
 プライベートの反則金を

 法人から払っているため、

 法人代表者に対する

 『貸付金』

 として処理する方法。


 これは

 『代表者に対する貸付』

 ですので、

 同額を代表者から
 入金してもらうことにより、

 解消して解決します。

■もう一つは、


 法人の経費にならない

 というのは
 もちろんなのですが、

 『法人に関わる支出』

 であることは
 間違いないため、

 『租税公課(経費)として
 処理をしてしまう』

 という方法。


 ここで矛盾が生じるのは、

 租税公課として
 処理するとなると、

 『経費』になり、

 その分税金が
 安くなるのではないか

 ということ。


 大枠の考えとしては
 それで合っているわけですが、

 法人においては、

 会計上の『損益』と、

 法人税を計算する上での
 『所得』とは

 少し性質異なることになります。


■今回の


 『交通違反金を
 租税公課として処理してしまう』

 という前提でいくと、

 会計上の
 損益計算書では、

 当然

 この租税公課が
 計上されているため

 その分利益が
 少なくなっています。


 しかしながら、
 
 法人税の申告書上で、
  
 この会計の損益を
 調整することにより、

 本来納付する
 法人税などの額を

 算出していくことに
 なるわけです。

■今回のケースで言えば、


 会計上の損益
 をスタートとして、

 この交通違反金で
 経費にしたものを

 法人税申告書上で、

 法人の所得
 (法人税を計算する上での損益)

 にプラスします。


 このプラスされた結果の
 『所得』に対して

 法人税がかかってくる

 という仕組みなのです。


 このようにすれば

 会計上は

 『法人の支出』として

 租税公課としての
 交通違反金が計上されている一方、

 本来的に
 法人税を計算する上では、

 この違反金は

 【法人税法の上での経費にはならず、
 適正に申告することができる】

 というカラクリなのです。

■これは、


 毎月定期に

 同額を支払って
 いかなければならない、

 『役員給与』

 についても
 同じことが言えます。


 仮にこの

 『定期同額給与』に
 該当しないとしても、

 その該当しない部分は

 ひとまず

 『役員報酬』
 として処理をし、

 法人税の申告をする上で

 『別表』

 という表に書いて

 所得に加算することにより、

 正規の法人税を
 計算することができるわけです。

■このように、


 【会計上の損益】と

 【法人税を申告する上での所得】

 というものは、似ているようで
 実は異なる概念なのです。


 これは

 『交際費』

 などについても言えます。

 ざっくり言えば

 中小企業については、

 年間800万円までの
 交際費については

 全額経費として
 認められるのですが、

 800万円を
 超えた部分については、

 これは

 原則として
 経費と認められず、

 法人税の別表において
 所得に加算することにより

 税金を計算することになります。


 このような
 仕組みになっているのが

 『法人税』なんですね。

■今日は


 交通違反金を
 例に上げましたが、

 いろいろとこういった

 【会計上の損益】の経費と

 【法人税申告書上の所得】

 を計算する上での経費

 というものは
 取り扱いが違うため、

 十分な注意が必要です。

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 会計上の処理については

 金融機関の評価上も
 重要になってくるものですので、

 この辺の前提知識を
 しっかり持った上で、

 上手な申告を
 していきたいものですね。


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《本日の微粒子企業の心構え》


・【会計上の損益】と
 【法人税を計算する上での所得】は
 似て非なるものである。


・『交通違反金』や
 『800万円を超える交際費』など、

 会計上は『経費』
 として処理をしても、

 【法人税の別表上で所得に加算したり
 減算したりすることにより
 調整する性質のものもある】

 ということを心得ておくべし。


・しっかりと、

 【そもそも何が経費で
 何が経費として認められないか】

 という前提の知識は
 備えておきたいものである。


今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。

これまで書いてきた記事は、
バックナンバーとして、
私の公式HPの【ブログ】に
アップしていますので、
よかったらご覧くださいませ。^^

https://muratax.com/blog/

起業準備中から起業5年目までの経営ドクター
税理士 村田佑樹

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