【在庫】のこと、しっかり理解できていますか?
おはようございます。
【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。
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■「利益がマイナスですか…
それはおかしいですね。」
税理士として
顧問のお客様の会計に関与する中で、
初期の段階ではこういった会話がされます。
これは、売上から仕入を引いた利益が
マイナスになっていることが見えたこと
ことからのお話。
普通に考えて、
『利益がマイナス』ということは
ないのではないでしょうか。
当然、本業の利益から
広告費や通信費、水道光熱費などの
経費を引いた結果マイナス
ということは考えられますが、
物販などで
売上から仕入を引いた結果の利益が
マイナスになる
ということは通常考えられないはずです。
■というのも、
当然、原価を上回る売価を
設定するのでしょうから、
『売価が原価を下回らない限りは
利益が出る』
ということなんですね。
しかしながら、
『仕入の方が多額となり、
その商品が売れ残ったことにより
売上がそこまで立っていない』
という状況は往々にしてあります。
上述した状況は、
多くの場合そういった状況なんですね。
しかしながら、
現実的なことを言えば、
利益がマイナスになるということはない…
そこで登場するのが
【在庫】
という考えになります(^^)。
この『在庫』については、
結構ピンと来ないというお話を
よく聞きますので、
今日はその在庫についての話を
詳しく見ていくことにいたします。
■では
物販を例に、考えてみましょう。
例えばパン屋さんが1個700円のパンを
100個仕入れたとします。
そうなると仕入の合計は70,000円。
そして実際に売ったパンは
60個でその売価は1,000円としましょう。
そうすると60,000円ですね。
そういった状況だけ考えると、
売上高60,000円−仕入高70,000円で
利益はマイナス10,000円
となってしまいます。
しかしながら、
現実的にはここで赤字が出るのは
おかしいことから、
ここで『在庫』という考えが
出てくるわけです。
在庫を考える前に、
売上と仕入のそもそもの考えとして、
【売上と仕入は『個別に』対応する】
という考えがあります。
もっと分かりやすく言えば、
【売れた分に対応する仕入しか
計上すべきではない】
ということなんですね。
上記の例でいけば、
『結果として60個売れたわけですので、
仕入と考えるのも60個である』
ということになるわけです(^^)。
100個仕入れて60個売っていますので、
在庫は『40個』ですよね。
この在庫40個を会計上処理をして
利益を適正なものにする。
■では
具体的にどうするのかと言えば、
100個仕入れていますので
その100個分が『仕入高』として
計上されています。
そして60個が売れていますので、
仕入れたパンが残っているのは
『40個』ということになりますよね(^^)。
しかしながら
この40個は売れていないので、
【在庫】という考えになるわけです。
つまり原価700円×40個で28,000円。
この28,000円が
在庫として考えられるわけですね(^^)。
この28,000円の在庫を
仕入高からマイナスするという処理を
会計上でしていきます。
そのマイナスした仕入高の分の在庫…
勘定科目で言えば
『商品』という科目になるのですが、
この商品という資産の科目に仕入高が
振替えられます。
仕入という経費が資産に変わるので、
結果として、仕入高がマイナスになる
というわけですね(^^)。
(厳密に言えば、
仕入高のマイナスというよりは
『期末商品棚卸高』という科目で、
間接的に仕入からマイナスするのですが
ここではあまり気にしなくて大丈夫です。)
■そして仕入高が100個計上されていて
70,000円だったものから
その在庫分の40個を抜きますので
70,000円−28,000円となり、
純粋な仕入高は42,000円となります。
そして売上高としては
1,000円のものが60個売れていますので
60,000円。
つまり純粋な利益としては
この60,000円から42,000円を引いた
18,000円ということになるわけですね。
もっと分かりやすく考えると
1,000円の売価で700円の原価なので
利益は300円。
その300円の商品が
60個売れていますので
300円×60個で18,000円の利益
ということです(^^)。
こうすることにより
適正な利益が算出される
というカラクリなんです。
■こういう風にして、
【在庫という考えをもとに
しっかりとした適正な利益を算出する】
というのが
会計上や税務上の考えになります。
したがって、
【売上から仕入を引いた利益が
マイナスになっている状況
というのは通常はありえない】
ということになりますので、
もし会計上でそのようになっていたら、
【在庫がしっかり計上されて
いないのではないか】
ということを考えてみましょう。
税金の面で考えると、
結果として在庫が増えると
仕入高がマイナスになる…
経費がマイナスになっているので
利益が増える…
ということは納税も増える
ということです。
したがって、決算日現在の利益のみで
状況を判断するのではなく、
しっかりと在庫を計上するものとして
トータルして考えて、
『利益がどうなのか』、
『納税額はどうなるか』
ということを検討すべきですね(^^)。
…今日は数字だらけになっちゃって
ゴメンナサイ‥(汗)。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・売上から仕入を引いてマイナス
ということは通常ありえないことである。
そこで大切になってくるのが
【在庫】という考え。
一般的に言う、「棚卸しをする」
というのがこの「在庫をカウントする」
ということ。
・売上と仕入は個別に対応している
必要がある。
したがって、
期末に在庫をカウントすることにより、
会計上での売上と仕入をしっかりと
対応させることにより、
適正な利益が算出されるものである
ということをしっかりと把握しておくべし。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。
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よかったらご覧くださいませ。^^
起業準備中から起業5年目までの経営ドクター
税理士 村田佑樹
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