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生命科学系の大学生が研究留学する3つの方法

大学生が海外で研究インターンシップを経験するには、主に3つの方法があります。具体的なことをあれこれ考えながら情報取集するだけでも、自分や研究業界の様子を知ることができ、良い経験になります。キャリア希望やリスクに対する考え方はひとそれぞれ。いろいろなご縁を経て、自分にあった方向性が見えてくると思います。


1.サマープログラムを通して参加する

9月9日の記事「生命科学系の大学生対象の海外研究インターンシップ」では3つのプログラムを挙げましたが、他にもたくさんあります。日本の大学や研究機関にも、海外の学生を受け入れるプログラムがあります。
 
夏休みの2か月程度、研究所内の宿泊施設に滞在しながら、それぞれ別の研究室に所属して研究プロジェクトに取り組む内容です。その間に、セミナーや研究トピックにフォーカスしたレクチャー、各プロジェクトの計画と成果を発表するプレゼンテーションなどが組み込まれ、米国では6,000ドル程度の給料(宿泊はプログラムでサポートするので、その他の生活費、という扱い)も支給されます。20名程度の学生が世界から集まり、ビザや保険の手配などもプログラムで支援してくれるため、初めての留学でも安心です。また、夏休みに日本で一生懸命アルバイトするよりも良い稼ぎで、しかも研究経験も積めるので、おすすめです。
 
受け入れる側の研究機関にとっても、大学院生の候補を実際の研究環境で詳しく知ることができるメリットがあり、自分をアピールしたい学生とのマッチングの機会でもあります。有名なプログラムは全世界から応募が殺到するため、倍率は100倍以上のこともあります。どうやって選ばれる可能性を上げるか、ということについては、重要なので今後の記事に書き留めていこうと思います。

2.希望する研究者に自分からアプローチする

先に挙げたサマープログラムは「狭き門」のため、こちらの方法で研究留学する場合が多いと思います。多くの研究室は短期インターンを雇用するくらいの研究費は持っています。コンタクトを取る研究者のことを十分調べて、心がこもったメールを書けば10通に1件くらいは無事にインターン先が見つかるので、ぜひトライを!

最先端の研究をアクティブに行っているラボこそ、逆に「面白そうな奴がメール送ってきた」という感じで気軽に受け入れてもらえる、ということもあるので遠慮する必要はありません。もともと数週間だけの約束なので、お互いハズレでもダメージは少ないのです。多忙な研究者には似たような問い合わせはたくさん来ているはずなので、返信が来なくてもそれが当然と考えて。逆に、よく調べないで何となくメールをばらまくのは、迷惑なのでやめましょう!
 
期間や行き先を自由にアレンジでき、サマープログラムで提供しているようなセミナーは、近隣も含めていろいろな研究機関で行われているので、ある意味この形での研究留学のほうが自由もききます。ただ、滞在中の住まいや就労ビザなどの手配は自分でいろいろなところにお願いする必要があります。受け入れ側もそれは分かっているので、以前に海外からのインターン受け入れ実績のある研究者が良い返事をくれると思うので、まあ最初は心配せずに!日本人は英語が話せないかも、というのもバレてますので、受け入れるような研究室のまわりには先に日本人のポスドクがいたりします。
 
サマープログラムの応募締め切りが1月頃、その前後だとメールが殺到しているので、時期を外してコンタクトを取るのが良いと思います。

3.日本の指導教員の知り合いにお願いしてもらう

卒業研究や大学院進学後の共同研究として組み合わせるのも良いと思いますし、文科省の支援事業による経済支援等も利用できるケースがあります。いろいろルールがあるので、詳しくは各大学の教員にお問い合わせを!

他の選択肢に比べて何となくチャレンジングではない印象かもしれませんが、留学後の帰国先を確保しつつ、重要な経験も積める現実的な選択肢です。送り出す日本の大学の教員も、「海外で何かあったら」と考えると心配なものです。自分で海外に飛び出したいくらいの熱意のある学生であれば、ぜひ自分のラボに引き留めたいのも理解できます。

まとめ

大学生の研究留学では、これまでほとんど研究経験が無かったまっさらな状態からいきなり研究室にフルタイムで放り込まれることになり、「研究とはこういうモノ」という強烈な刷り込みがはたらくと思います。そして帰国後に違和感を覚えたりすることもあります。それぞれの研究システムにはその背景や良し悪しもあるので、何か気が付いたら是非いろいろな人(私にも!)に相談してみてください。そこには日本を良くするヒントがあるかもしれませんし、海外大学院への進学を決意する理由もあるかもしれません。

日本の大学ランキングやジェンダーバイアスなどは海外の人は気にしていません。チャンスが来たら遠慮せず、覚悟を決めてつかんでください。きっと自分の本当の価値を再発見する経験になるでしょう。


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