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研究インターンシップ応募にむけて自己アピールサイトと名刺を作ろう

9月11日にポストした「生命科学系の大学生が研究留学する3つの方法」では、サマープログラムへの応募や、研究室に直接メールでコンタクトを取る方法を紹介しました。それと並行して、英語で自己紹介ウェブサイトを作っておくと良いですよ。その理由やポイントなどをまとめます。


1.あらためて自分のことをよく見直す機会として

学部生の早くから(子供のころから?)研究者を目指している人は、就職活動はしてないと思いますが、「自己分析」みたいなことからはじまります。
 
自分が興味をもっている研究分野や、自分自身のこと、なぜ、どんな研究者になりたいと思っているのかは、いろいろ書きだしてみてほしいです。これは自己紹介の素材を作るためにも必要ですが、自分の決意を新たにするためにも大切です。
 
大学入試までは「分野別ランキング」の一覧表を見ればパッとあなたにおすすめの進学先がわかりました。でも大学卒業後の進路を考えたとき、その自由度の広さに戸惑います。でも、それはようやく「お受験」のエスカレーターから降りる覚悟を決めた大人の証拠。ここで「自分探しの旅」に出ちゃう人も多い。それも良いですよ!
 
「研究者」というのは決まっている人は、「自分のサイエンス」を探す旅に出ましょう。私も同業者ですから、是非ぜひお手伝いさせてください。
 
話は逸れますが、大学院で取得するPh.D. (Doctor of Philosophy, Philosophiae Doctor)ってどうして理系でも「哲学」なの?って思いませんか?
 
アカデミック研究者というのは、自然や宇宙、ヒトや社会も含めて、この世界をどう理解するか、定義するか、という真理探求に日々取り組んでいて、その対象やアプローチというのは自由なのです。「自分に向き合う探求」というのは、Ph.D.として重要な素質です。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とNHKも国民に呼びかけてますよね。

2.メールでコンタクトを取るときの添付ファイルの代わりに

研究室の代表者(PI: Principal Investigator)のもとには、大学院入学希望者のメールがたくさん届きます。研究内容を調べて書いたような文面であれば、ひとまず読まれている可能性は高いです(返事は来なくても)。でも見知らぬ人から履歴書やカバーレターを添付ファイルで送ってこられると、ウイルスなどが怖くて実際は開けません。そんな時に、もう一歩自分のアピールを読んでもらうには自己紹介ウェブサイトのURLをメールに記載するのが効果的です。

メール送信アドレスと同様に、できれば大学のオフィシャルなドメインの中にある学生用のアカウントを使いましょう。より安心してクリックしてもらえるように。FacebookやLinkedInなどはプライベートなことも書いてあるかもしれませんので、「オフィシャルなサイト」を一つ決めて作っていくなど、自分の表現のポートフォリオを考えて。

3.最終候補に残った場合の決め手としての重要性

欧米の有名なサマープログラムや大学院応募の競争率は高いですが、選考に関わる応募書類はエッセイ(Statement of purposeと呼ばれる作文)と推薦状2-3通です。各研究室が受け入れられる学生は1名、手元に3名ほど残って甲乙つけがたい状態になります。もともと応募書類が少ないのは、たくさん送ってもらっても読み切れないからですが、選ぶ側としては最終候補の情報はもっと欲しいのです。そこでウェブページが勝負を分けます。URLをエッセイの最後に記載するか、Googleで名前を検索すると、それなりの位置に出てくるように置き場所や検索対策を工夫しましょう。

4.英語のウェブサイトを作ること

研究に対する興味をアピールするウェブサイトを作るのは、自分のオリジナルな意見をまとめるわけですから、結構手間がかかります(卒業研究のプロジェクト詳細や未公開データは載せちゃだめですよ!)。英語で作るのはもっと大変でしょう。でも、ここで作り込んでおくと、面接や立ち話など、とっさに自分のことを英語で紹介したい時に使える「台本」になります。

英語の修正はGoogleの英語校正などは使って良いですが、他人の力は借りないように。日本人のちょっと怪しいけど一生懸命書いてある程度の英語、内容で良いのです。インターンを受け入れる研究者に自分の英語レベルは何となく伝えておくと、お互い気が楽です。

5.URLの入った名刺を作る

せっかく作ったウェブサイトは、どんどん宣伝しましょう。セミナーなどに海外の研究者が来たり、学会などのイベントでサッと交換できるように名刺は役に立ちます。短期ならインターンに来ていいよ、といきなり商談成立する可能性もあります。などとイメージトレーニングを重ねていても、英語では緊張して、伝えたいことがうまく言えないのが普通です。とりあえずを名刺渡せば大丈夫。校章が入ったオフィシャルな名刺は作れないと思いますが、所属大学と学部などが書いてあるパーソナルなもので十分です。インターネットでデザイン、印刷を注文できますので「その時」に備えて是非準備しましょう。

まとめ

シニア研究者は各専門分野においては百戦錬磨の強者ですが、みな、自分が学生だった頃のこともよく覚えています。研究キャリアの最初では「出る杭はもっと伸ばされる」ので、遠慮せずにトライしてみてください。


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