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映画「キルボット」HDリマスター版レビュー「「キルボット」はッ!サラ・コナー似のどん臭い主人公が「ゾンビ」みたいにショッピングモールで銃で武装し!落雷で狂ったファミコンロボみたいなアンドロ軍団と戦う「オタクの夢」の煮凝りなんだッ!理屈なんぞどおおおおおでもいいからッ今直ぐ円盤を買うんだッ!」

ファミリーコンピュータロボットみてえな容姿と
ガンタンクみてえな脚部履帯を併せ持った
ショッピングモール警備用ロボット「プロテクター」3体が
落雷の為,電子頭脳が狂い,人類に仇名す殺人ロボットと化して
人類に反旗を翻す第1歩として夜のモール内に残る
制御コンピュータのオペレーター,清掃員を皮切りに
8人の若い男女を隔離閉鎖し片っ端から殺し始める…。

だが8人の若い男女は黙って殺される様なタマではなく
男衆はモールの銃砲店で銃と弾薬を確保し,
女衆はガソリンの燃料缶を即席の火炎瓶に見立て,
3体の殺人ロボットと対峙する…。
殺人ロボットだからキルボットと言うね…。
ロボットのトモダチだからロボダッチと全く同じ感覚なのだ。

ともあれ…。
要するに!

本作はガンタンクみてえなターミネーター3体と
「ゾンビ」のショッピングモールを舞台に1夜限りの攻防を演じる…。
8人のリーダー的存在となるのは普段はドジなウェイトレスだが
父親が海兵隊員で誰よりも冷静沈着で覚悟ガンギマリの
アリスン(ケニー・マロニー)と言う名のサラ・コナーが
人類の命運をかけてアンドロ軍団と戦う映画に僕には見えるのだ。

アンドロ軍団の構成は慎重なプロテクター1号,狡猾で卑怯な2号,
「油断」って言葉が辞書登録されてねえハリー・キャラハンみてえな3号で
当然3号が一番ヤバく「彼」がアンドロ軍団のブライキング・ボスとなる。
3号がアリスンを追い詰める場面が
廃屋で「さそり」を追い詰めるキャラハンそのもので
「犯人側から見るダーティハリーの恐ろしさ」を嫌って程堪能出来ます。

尤も上記は僕の「歪んだ解釈」であって
特典や音声解説を視聴すると頻出する単語が「ランボー」。
脅威に対してランボーの如く戦う若者たちを描いているのだ。
男衆が銃火器で武装する姿は
「続・夕陽のガンマン」と「ワイルドバンチ」が意識され
この場面で監督は音楽担当者に
「エンニオ・モリコーネみてえな曲を作ってくれ」と依頼したと言う。
マカロニウエスタンの再来+ランボーが創作者の意図なのだ。

アンドロ軍団に早々と殺される清掃員は
ロジャー・コーマン映画の常連ディック・ミラー。
本作の製作総指揮がロジャー・コーマン,
製作が娘のケリー・コーマン故の目配せで
劇中ロジャー・コーマンの「金星人地球を征服」の
金星ガニの登場場面が引用されている。

でもさ。

僕にとってはディック・ミラーは
映画「ターミネーター」でターミネーターに
殺される銃砲店の親爺であって
その意味で僕は拍手喝采を送ったよ。

だから本作は創作者の意図と全く違う所で
いっちっいっちっ僕の琴線に触れる映画なのですよ。

本作に於ける「これから死んで行く人間」には特徴がある。
1.何らかの理由で周章狼狽し冷静さを欠く人間は死ぬ。
2.油断し周囲への気配りが欠ける人間は死ぬ。
3.気が動転すると死ぬ。

従って冷静さを欠かず,油断もせず,うろたえない
アリスンと3号の頂上決戦となるのである。

HDリマスター画質はとっても綺麗。
画角設計も本来の画角が再現されている。

特典映像や音声解説でキャストやスタッフの話が聴けるけど
皆実に嬉しそうに当時を模様を語っているのが
特典を観ているこっちも嬉しくなりますね。

音声解説はジム・ウィノースキー監督と脚本のスティーヴ・ミッチェルと
主演のケニー・マロニーの3者によるもので
蘊蓄量も楽しさも申し分のないもの。
実にいい音声解説です。

第二音声にはアイソレーテッド・スコア(サウンドトラック)を
映画の使用場面に合わせて聴くことが出来ます。

アンドロ軍団の声の出演はジム・ウィノースキー本人によるもの。
「ロボコップ」のED209みてえで無感情で
「ミブンショウメイショ ヲ テイジ セヨ」
と威圧して呈示が遅れたら撃つところがイカしてます。

今回の…ホラー・マニアックス第14期は本作で元が取れました。
初見だけど魂鷲掴みの傑作です。
「ターミネーター」と「ゾンビ」と「新造人間キャシャーン」の
いいとこ取りとか…もうね!「僕の為の映画」だと断言しますッ!

「キルボット」はッ!
サラ・コナー似のどん臭い主人公が
「ゾンビ」みたいにショッピングモールで銃で武装し!
落雷で狂ったファミコンロボみたいなアンドロ軍団と戦う
「オタクの夢」の煮凝りなんだッ!
理屈なんぞどおおおおおおでもいいからッ!
今直ぐ円盤を買うんだッ!


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