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精神科入院って実際どうなん?:精神保健福祉士が精神科に入院してみた

1.はじめに

「精神保健福祉士」とは、精神障害を持つ人々への福祉的支援を専門とする国家資格です。
ちなみに筆者は、より広範的な福祉資格である「社会福祉士」も持ってます。
なんなら社会福祉学の修士号を持っており、博士号を取得予定です。
研究テーマは「不登校の子ども達への健康支援」であり、精神保健領域を含みます。

そんな福祉界ずぶずぶな筆者(26)が、このたび〈患者として〉精神科に任意入院いたしました。
ので、知識と実体験に基づいたレポを書いてみよう~という次第です。

ぶっちゃっけどうなん?精神科入院。

2.精神科入院は運ゲー

日本での精神科入院は正味運ゲーです。
病院によって医療・看護の質が大きく異なる上に、入院前に得られる情報が非常に少ないため、どのような入院生活になるかは入院してからのお楽しみ(?)です。

本来であれば確かな情報元から事前に、病院に対する第三者評価や、得意とする疾病・治療法などに関する情報を得られればいいのですが、、、
現状としては病院のHP、人づての評判(主治医、友達など)、ネット上の口コミなどを参考にするしかありません。

手術入院と異なり、どのような病棟に入るのか、何人部屋になるのか、どのようなルール・制限があるのか、どのくらいの入院期間になるのか、、、入院するまで分からないことが多々あります。

分からなければ病院に訊けばいいじゃないかと思われるかもしれませんが、筆者の場合は入院前の連絡窓口(地域連携室)が質問にほとんど答えてくれず、「もう入院をやめてしまおうか」というくらいの不信感を抱いておりました、しかもクリニックの主治医からも「あの病院は評判よくないよ」と言われており、不安しかありませんでした、

が、実際に入院してみると権利保障が重視された病院で、非常に手厚いケアを受けることができました。

何を基準に判断したらいいか分からない。
まじで運ゲーです。

1点だけ、ここは重視せよというポイントがあります。

入院初日に担当医による診察があるかと思いますが、その際、「重要事項を十分に説明しない病院」「重要事項について質問に答えてくれない病院」は「やめておいた方がいい」です。

精神保健福祉法第五章においては、入院の形式や退院の請求などについて、書面で知らせなければならない義務が定められています。
説明を受けるべき内容は、以下のリンクの様式をご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaisei_seisin/youshiki.html

医療・看護の質は、正直入院するまで分かりません。
入院生活の根幹に関わる、「権利保障」意識の高い病院を選ぶことをおすすめします。

3.精神科入院のメリット

●診察頻度が高い →外来よりも細かな調整をしてもらえる
外来は月数回の診察のみだが、入院中は週1回以上の頻度で診察を受けられる。
そのため合わない薬はすぐに中止してもらうなど、薬の調整をスピーディにしてもらえる。
またその時々で必要な身体検査や心理検査もオーダーしてもらいやすい。
*ただし医師による。

●毎日看護を受けられる →症状の安定につながる
24時間看護師さんが常駐しているため、不安時や不穏時にすぐに助けを求めることができる。
必要に応じて頓服薬をもらう、血圧を測ってもらう、採血してもらう、など医療的ケアも受けられるし、話を傾聴してもらうこともできる。
*ただし看護師による。

●服薬管理をしてもらえる →薬効を最大限引き出すことができる
飲むタイミングが規則的になり、飲み忘れもなくなる。

●生活リズムを整えられる →体調の安定や社会参加につながる

●自殺行為・自傷行為・ODを予防できる
ハサミなどの危険物は持ち込み禁止としている病院が多い。
窓には格子がついているなど、飛び降りも防止されている。
また薬はすべて看護師が管理する。
そのため、自殺行為やリストカット、ODを実行に移すにはむずかしい環境である。
自身のコントロールがむずかしい時、入院環境に身を置くことで自分を傷つけることを予防することができる。

●外部刺激をシャットアウトできる →自身の療養や休息に専念できる。
職場、学校、家庭などストレスや負担のある環境から物理的に離れられる。

●入院中に環境調整をしやすい
人の手を借りることで、入院中に家庭環境や職場環境を整えることができる。
また入院期間は患者にとって療養の時間になるとともに、場合によっては患者家族のレスパイト(休息)期間となる。

4.精神科入院のデメリット

●生活環境が激変する
●保護室に入らない限り、共同生活を避けられない
●外出や服薬のタイミングなど、制限が多く自由に過ごせない
→人によっては精神的ストレスがかかり、病状の悪化につながる

●入院費用がかかってしまう
(高額療養費制度を使えば収入によって負担が軽減されます)
●仕事や学校を中断することになる
(多くの病院ではWiFi環境はなく、またノートPCの持ち込みは禁止です)

5.精神科入院はこんな人にオススメ

●自分自身のコントロールがむずかしく、自分や他者を傷つけてしまうかもしれない状態の方
●現在の環境をシャットアウトして自身の療養に集中したい方
●集中的に手厚い精神医療を受けたい方
●外来治療でお薬の調整が上手くいかない方

筆者は入院生活に満足することができ、入院してよかったと感じています。
あなたに合った病院と出会えることを願っております。

使用用途::不登校関連書籍の購入、学会遠征費など