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『七つの前屈』ep伝導寺真実「瓢箪の中で回る駒~捲れ、舌。~」

1.

 たったひとつの真実を型造るには、それに至る幾百の根拠が必要だ。
 
 人はだれも、正解のなかでしか生きられない。それはなにも、不正解のなかでは死んでしまうしかない、ということではなく、ただ単純に、人が生きる世界のことこそを「正解」であ
り「真実」と定義せざるを得ないというだけの話だ。

 世界には真実しかなくて。
 事実には正解しかない。

 ならばここで挟む疑問があるとすれば、

 「嘘」や「欺瞞」、「虚偽」や「偽り」、「妄想」や「空想」は、存在しないことになるのか? 

 という、一点の問いに尽きる。

 事実は小説よりも奇なり──裏を返して、事実より誠なり小説。

 ときには現実よりも圧倒的なリアリティを持って語られる架空のあれやこれらは、真にどこにも在りはしない作り物か?

 そんななか、まだ作り物でも現実でもないはずの『未来』を見据える青年が、ここにひとり。

「僕が言ったことは、どんなことでも真実になるんだよ──怪我も病気もしたことがないサラリーマンの話とか、老若男女だれかれ構わず告白して回る受付嬢の話とか、血で血を洗うカ
ラーギャングの話とか、幸運が確約された女子高生の話とか、どんな答えもすぐにわかっちゃう刑事の話とか、中心から動けない学級委員の話とか、ね。信じて。僕は嘘をつけないから


 
 個すらも見通す予言人。

 超直感の超能力者。

 道聴塗説の未来人。

『正直』に懐かれた占い師──伝導寺真実。

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