読書メモ(損する結婚 儲かる離婚)

■感想

・学生時代に読んだ本を久しぶりに再読した。本を読んでみて結婚に限らずここまで無機質に考える必要は当然ないが、安易に感情的に意思決定をすることの危険性を再確認した。また、家族に関して筆者の主張する母系制家族ではなく、男性により母性が求められる時代になってきていると個人的には感じた。ちなみになぜこの本を買ったんだと振り返ってみると学生時代、今後離婚が増える世の中においてどういった家族が理想なのか、そこにビジネス的なチャンスはないのか模索する中で買ったということを思い出した。やりたいことは都度変わるものだと痛感した。


■作者及び概要

・作者は藤沢数希。元外資系金融機関勤務の理論物理学者。知人の真面目な中国人がホステスの浮気による離婚で莫大な慰謝料を払っていることが本書を書くきっかけ。結婚は株式投資と同様であり、そこでのお金の動きを知る必要がある。


■よかったインプットメモ

・結婚で動くお金は基本的に慰謝料、財産分与、婚姻費用の3つである(養育費は離婚後発生)。多くの人にとって重要な問題になるのは婚姻費用である。これは夫婦は互いの生活を自分と同じレベルで維持し、分担する義務があるとの民法の規定によるものである。ある程度の所得のサラリーマンであれば婚姻費用は簡単に全財産を上回ってしまう(婚姻費用は夫の年収、妻の年収、子供の年齢から機械的に決まる)婚姻費用は裁判期間中払い続けなくてはいけないものである。作者の知人の場合3年ほどの期間、毎月40万円近くを支払い続けた

・結婚を債権と考えると結婚債権の価値=離婚成立までの婚姻費用の総額+離婚時の財産分与額+慰謝料 となる。

・裁判所で認められる離婚の原因は①配偶者に不貞な行為があった時 ②配偶者から悪意で遺棄された時 ③配偶者の生死が3年以上明らかでない時 ④配偶者が極度の精神病にかかり回復の見込みがない時 ⑤そのほか婚姻を継続し難い重大な理由がある時 である

・日本における離婚は有貴主義(離婚の原因を作った方でない人からの離婚請求は認められない)から破綻主義(結婚生活が破綻していれば有貴配偶者からの請求も可)へとなってきている。それにより①相当の長期間の別居 ②未成熟の子が存在しない ③配偶者が離婚により精神的、社会的、経済的に極めて過酷な状態に置かれない が満たされている場合の離婚も認められるようになった

・結婚を金融資産と捉えるとお金持ちの男性にとってみればデメリットは大きく、逆にお金持ちと結婚することには非常にメリットがあると言える。その場合重要なのは婚姻後の資産であり、婚姻前の資産は離婚費用の対象外となる

・貧乏な男と結婚することは0ではなくマイナスである。仮に女性の方が収入が多い場合、別れて育児を一人で背負うという事実だけでなく夫を養うという義務も発生する。つまり別れるにも別れられない状態ができてしまう。

・日本の法律は結婚後にセックスをすることが前提など非常に時代遅れのものとなっており、現代に即していない点が多々ある。結婚をしないと子供が育てられないという前提がある。日本において結婚制度の規制緩和が必要であり、養育費支払いに関しては規制強化が必要であるとの筆者の主張。

・一夫一妻制は下から6〜7割の男性のために存在する制度である。一夫多妻制の場合上位10%が上位30%の女性を、上位10%~30%の男性が上位30%~70%の女性と付き合うことになる。現代の結婚制度は男性にとって有利な制度である。

・過去に行われていた子殺しが起こる要員として①子が男にとって本当に自分の子供か否か ②生まれてきた子の質は否か ③現在の環境は子育てにとって適切か がある。そして現代社会において最も多い子殺しは中絶である。これは父親を中心に家族が形成される父系制社会に由来するもので女性に様々な貞操観念が押し付けられた産物である。

・理論的には父系制家族より母親とその親族が子育てを行う母系制家族の方が幸せになれる可能性が高い。その場合男は金と権力ではなくルックスや才能で選ばれる(中国のモソ人の例)。圧倒的に父系制家族が多い理由は戦争で戦う必要があり安全を保証できる素養が求められたからである。


■その他メモ

・日本における離婚の9割が協議離婚である

・スポーツ選手やボンボンとの結婚はあまりメリットがない。あくまで結婚後の資産における分配なので多くの場合、女性側がお金を支払うことになる。そういう点でも引退後に結婚した日本代表の長谷部やザッカーバーグは頭がいいと言える

・離婚を決意したら別居をしたほうがよい。共有財産はあくまで同棲期間におけるものである。

・法律上結婚詐欺師は結婚した方が儲かる。

・女性の年収を350万円と仮定すると、年収600万の男と結婚するよりも年収1000万以上の既婚者と不倫をし子供を作る方が徳である

・2009年以降、20代における可処分所得は女性の方が高い

・20代男性の4割は自由恋愛でのセックスをしたことがない。20代女性に関しては20%強である。

・女性の社会進出が進むと婚外子が増えるというデータがある。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?