読書メモ(ポジティブ心理学)

■感想

・会社の推薦図書で読んだ。400ページ以上あり、また心理学という実験結果や推察が非常に理解しにくい(完全に主観)のため理解が追いついていないところが正直ある。「感謝の気持ちを伝える」などポジティブを他者に波及させていくという内容が非常に印象的であった。それ自体は悪いことではないがどうしても短所に目が行きがちな自分がいるので、より長所に目を向けたコミュニケーションを意識して行きたい

■作者と概要

・作者はマーティン・セリグマン。ペンシルベニア大学心理学部教授でポジティブ心理学の第一人者。本書は幸福を追い求めるだけでは意味がなく、それが持続することが重要でありそのために必要なものが何かを説いた本である。物があふれる時代において資本主義はGDPという指標だけでなく、人々の幸福度にも着目すべきだという筆者の主張

■よかったインプットメモ

・かつてのポジティブ心理学のテーマは「幸せ」であった。幸せを測定する判断基準は人生の満足度であり、それを増大させることがポジティブ心理学の目的であった。しかし現在におけるポジティブ心理学とは「ウェルビーイング」である。これは持続的幸福度で幸福な状態がいかに長く続くかに焦点を当てた理論である。過去の理論では①幸せという言葉が明るい気持ちと同意義で扱われていること②人生の満足度が幸せを測定するのに重要視されすぎていること。また測定にその時の気分が70%も影響すること③その人が幸せに置いて何に重きを置いているかという視点が欠落している点 が誤りであった。

・ウェルビーイング理論では、「ポジティブ感情」、「エンゲージメント」、「意味・意義」「ポジティブな関係性」「達成」の5つの要素で構成される。ここでいうエンゲージメントとは「フロー状態」と同意義である。

・人は大抵自分の人生でうまくいかなかったことを分析することに長けているのに対して、うまくいったことについてじっくり考えることが不得意なのは進化の歴史上天変地異に備えるという視点で言えば当然である。ポジティブ感情とは能動的に得ることができるものである

・成功の要因とは①速いこと(保有するスキルや知識)②遅いこと(計画を立てるなど実行機能。精度をあげるもの)③学習率(高いほど知識の蓄積率が上がる)④努力(課題に費やす時間。自制心と根気) である。

・コーチ(上司)の楽観主義はチーム全体の楽観主義と等しく、チームのレジリエンスも予測した。幸福は感染する。

・困難か経験をすればするほどウェルビーイング値が高い傾向がある。人は困難から多くを学ぶ。一方過度な困難は心理外傷を与えやすく、その際は①トラウマへ対する理解を示す②侵入思考と侵入イメージをコントールする③建設できな自己顕示性④トラウマに対する物語を創造する⑤試練に対して揺るぎない包括的な人生の教訓やスタンスを明確にする ことが大切である。

・人間にはある人の価値や能力をたった一度の行動によって判断する「過剰一般化」という思考の罠を持っている

・良好な関係を気づくには積極的ー建設的な反応(誠意と熱意を持ったサポート)をすることが大切である。逆に積極的ー破壊的な反応(出来事のネガティブな面を指摘する)は避けなくてはいけない

・人間の誤った行為を特性(性格)ではなく環境を要因にしたことで①責任感の欠如②状況の特別化③良い功績すら努力ではなく環境要因にしてしまう が起こった。人間とは過去に突き動かされる存在という前提で考えられているが、本質的には未来に引き寄せられる存在でもある。

・頭の回転の速さとIQは比例する。直感とは無意識の間にどれくらいの選択をしているかでありその領域における知見(経験)にも比例する。一方高度な達成において純粋なスピードだけでは捉えられない。速さによって生み出された時間を本質的な思考に使い、そこでは逆に「遅さ」が求められる。例えばそれは計画を立てることや間違いをチェックすること、創造性などである。

・楽観主義でいる人の方が風邪になりにくい。これはより行動的である、社会的な支援がある、悲観的だとコルチゾールなどのホルモンが分泌されるなどが影響していると考えられる。

■効果的なエクササイズ

・「感謝の訪問」=頭に浮かんだ人に感謝の手紙を書いて自分で直接手紙を届ける。700字程度で①その人が自分のために何をしてくれたのか②それが自分の人生にどのような影響を与えたのか③今自分が何をしているのか、また相手がしてくれたことをよく思い返すことを伝える 

・今日うまくいったことを3つ書き出してみてそれがどうしてうまくいったのかを書き出す。

■その他メモ

・幸せそのものは基本的には断片的である。宝くじに当たった人の幸せは数ヶ月続いた後、また元の感情に戻ってしまう。

・ロサダ比とはポジティブな発言とネガティブな発言の比率である。経営状態が良好な会社は29:1、カップルの会話だと2.9:1以下で離婚を招き、5:1以上で結婚を予想することができる。

・PTSDはもともと大袈裟に捉える人ほどなりやすい、自分がPTSDかもと思うことで増大しやすいという特徴がある。

・学習性無力感と呼ばれる、逃避不可能な出来事があると次に同様な事象が起こった時に無気力になってしまうことである。

・寿命や癌との相関性から楽観主義でいることは健康であることであると言える。

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