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【うらがみむらかみ往復書簡】3通目 | むらかみ

うらがみさんへ

手紙のお返事をもらえるのって、うれしいものだなと思いました。ありがとうございます。

私は日常にある自然を見て、美しいと感じたとき、特に絵を描きたくなります。
晴れた空、夕焼け、雲、道端に咲く花…。
あたりまえに存在していることが尊く感じて、この瞬間を絵で切り取りたいと思います。
ただそのままを写しとるわけではなくて、自分のこころに一度おさめてから描いています。
家に帰ってすぐに見た光景を描き始める、というわけでもなくて、あのときの美しさを今描きたい、と何日も後に取りかかったりもします。
また、空や花そのものではなくて、それが抽象画としてあらわれることもあります。
一部ですが抽象画の写真をこの手紙のヘッダーにしますね。

うらがみさんは書くことに夢中なのですね。
小学生の頃に好きだったこと、憧れていたことって、こころのどこかにひっそりと眠っていて、そのときが来たら開花する気がしています。
私も絵を描くことは子どもの頃から好きだったのですが、自分なんて…と閉じこめ続けて、30代になってやっと出てきてくれました。
「楽しい」「書きたい」の気持ちこそが大事だと思います。わきあがってくるその感情から生み出されたものが、人のこころを震わせるのだと思う。
無理に探したり、見つけようとしたりする必要はないというのは本当にそうで、書き続けているうちに、自分の考えやまわりが自然と変わっていくので、その変化を楽しんでほしいです。これは描き続けたことで変わっていった自分の体験でもあります。

家族や友達、大事ですね。
私の場合は特に息子に対して、相手を想って言ったことが期待通りには返ってこない、を痛感していて、うらがみさんの言葉にはっとさせられました。
息子の話を聞けていたかな、本当に息子の気持ちをわかっているかな、と。
近しい人、自分が大切に思う人にほど、こうしたほうがいいんじゃない?これはだめなんじゃない?と世話を焼いてしまいますよね。よかれと思って、何かをしてあげたり。
それ自体は悪いことではないし、自身に置き換えても、それが相手の愛なのだとわかる。
わかってはいても、素直に聞けなかったり、納得できなかったりしてしまう。
相手との関係はずっと続いていくし変わっていくものだから、これをしておけばよいというものでもなくて。
対話を繰り返して、お互いにとって良い状態が築かれて、また変わって…と揺れ動くのでしょうね。
このときは相手に響かなくても、違うときには受け止めてくれたりも。一つひとつを気にしすぎずに、相手を理解しようという気持ちで向き合えたらいいですよね。
そんなふうに考えられる相手がいることはしあわせだし、大切にしたいと改めて思いました。

たくさん書いてしまいました。
最後に好きな作家さんの話をします。
一番好きで敬愛しているのは江國香織さんです。
江國さんの小説もエッセイも大好きでどれかひとつを勧めるのがむずかしいのですが、まずはエッセイの「やわらかなレタス」を推したい。
こんなことばと表現は江國さんにしかできない、といつもおどろきます。
江國さんの世界観に恋をしていると言ってもいいくらいです。そんな世界観を味わうきっかけとして、エッセイをおすすめします。
2歳から読書が好きなので、まだまだ本の話はしたいのですが、この辺りで終わります。

うらがみさんのおすすめ、なんでもいいので知りたいです。
今日もいい1日でありますように。

むらかみより

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