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マネジメント教育をせずにプレイングマネジャーを課すのは大罪という仮説

医療従事者の監督職の多くは、プレイングマネジャーではないでしょうか。

2019年のリクルートワークス研究所の調査では、87.3%のマネジャーがプレイングマネジャーであったようです。
 本noteでは、病院に勤務するマネジャーがなぜ忙しいのか。そして、その忙しさの緩和に必要な能力は何か。そして、プレイヤーとマネジャーの適切な割合はどのくらいかを短く整理します。

病院に勤務するマネジャーはなぜ忙しいのか

まず、プレイングマネジャーにもメリットがあることを強調します。それは、部下の仕事の状況をリアルに把握・理解できることです。これにより、適切に部下の評価を行うことができ、効果的な教育を行うことができます。また、自らの専門性・スキルを磨くことができ、スタッフに手本を示しやすくなります。これに加え、現場の課題をリアルに把握・理解できることもメリットであると筆者は考えます。これは、現場の課題を改善する上で重要なメリットです。

©️2022 Yukiteru MURAYAMA

一方、デメリットは、マネジメントの余力が無くなることや、自身の担当業務で精一杯となってしまい、自身や組織を成長させることが難しくなることが挙げられます。このデメリットの根本原因は、プレイングマネジャーは「とにかく時間がない」ことと筆者は考えています。

忙しさの緩和に必要な能力は何か

では、プレイングマネジャーが時間を捻出するためにはどうすればいいのか。
 その答えは、プレイングマネジャーを因数分解することでわかると筆者は考えています。

©️2022 Yukiteru MURAYAMA

プレイングマネジャーを因数分解すると、プレイヤーとマネジャーに分解することができます。
プレイヤーとしての働き方は肉体労働的であり、いわゆる労働時間と生産性が比例する働き方であると言えます。一方、マネジャーとしての働き方は、本来は知識労働的であり、いわゆる労働時間と生産性が比例しない働き方であると考えます。
 つまり、時間がないプレイングマネジャーが時間を捻出するためには、知識労働力を高めることが最も合理的であると考えることができます。この知識労働力を高める教育こそが、マネジメント教育であると筆者は考えています。

プレイヤーとマネジャーの適切な割合

では、プレイングマネジャーのプレイヤーとマネジャーの適切な割合はどのくらいなのでしょうか。
 リクルートワークスの「Works Report 2020 プレイングマネジャーの時代」に興味深いデータがあります。

©️2022 Yukiteru MURAYAMA

 これによると、プレイヤー業務を30%未満に抑えることが最も効果的であることが分かります。プレイングマネジャーがプレイヤー業務を30%未満に抑制するには、知識労働力を高めて時間を捻出し、それを基にマネジャー業務の生産性を高めるサイクルを回すことが必要になります。つまり、マネジメント教育が行われないままプレイングマネジャーの役割を課せられた場合、このサイクルを回すことができずに苦しみ続けることになります。

病院に勤務するマネジャーの多くはプレイングマネジャーです。しかし、その多くはマネジメント能力で評価されたというよりも、プレイヤーとしての能力が評価されて登用されている場合が少なくないように感じます。
 マネジメント教育をせずにプレイングマネジャーという役割を課すのは大罪という仮説。あながち間違っていないように感じるのは筆者だけでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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