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3分でつかむ目標管理制度の要諦

 目標管理はMBO(management by objectives)と略され、多くの企業が導入しています。MBOは3タイプあり、1つ目は組織活性型(ボトムアップに重点)、2つ目は人事評価型(評価に重点)、3つ目は課題達成型(課題達成に重点)です。本noteでは、3つ目の「課題達成型」MBOの大枠を簡単につかむ程度の情報を整理します。

MBOにより期待される効果

 MBOにより期待される効果は主に3つあります。1つ目は共通目的を持った組織になること、2つ目は一人ひとりが経営の原点を理解すること、3つ目はチーム力の育成と強化につながることです。これらの相互作用により、組織の自立と自律が期待されます。
 MBOは企業目標の達成が第一義であり、企業目標をブレイクダウンして部門や部署の集団目標を設定します。これが、共通目標を持った組織になる論理です。また、部門や部署の目標は、上司と部下との面談の中で上位目標との連鎖を確認し、目標の共有や分割、展開を議論します。これが、一人ひとりが経営の原点を理解する論理です。そして、こうしたコミュニケーションを通じて他部門の動向を知ることにつながります。これが、チーム力の育成と強化につながる論理です。

失敗事例の特徴

 労政時報(13.9.27)「目標管理制度の実施状況と運用課題」によると、過去3年(2010年以降)における制度見直し状況で「見直した」企業が37.0%、目標管理の見直し予定の有無(今後1年くらい)で「見直す予定がある」企業が32.3%でした。つまり、MBOは成功せずに形骸化したり、中断されるケースが少なくないということです。
 失敗事例を俯瞰すると、以下の5つの特徴(共通点)がありそうです。1つ目は企業目標が十分説明されていないこと、2つ目は目標が抽象的で議論されていないこと、3つ目は課題解決の方法は部下任せで放置されていること、4つ目は目標が多すぎて力が分散していること、5つ目は書類中心の活動で形骸化していることです。これらから分かることは、MBOを機能させるポイントは「上司と部下の面談で双方が納得するまで議論すること」と考えることができます。

推進部署の必要性

 課題達成型MBOの導入時は、推進部署の設置が大切であるとされています。推進部署の果たすべき役割は以下の3つです。

①経営者、管理者の間での情報共有を行い、管理者が任された役割(目標設定、進捗管理、評価)を果たせるようにする。
→目標管理の「推進リーダー役」となる。
②管理者が目標設定、目標達成の評価に自信を持って臨めるように、現場状況を理解し、つまづき所の改善を促す。
→「サポート役」となる。
③期初の目標設定、期末の評価の各書式を期日までに提出させる。
→「年間スケジュールの管理役」ともなる。

 良い目標(定量・定性)とは、結果をイメージできるものとされています。こうした点も含め、MBOの成功の鍵は「抽象度の低い、やや具体的な目標を時間をかけてしっかりと共有すること」であろうと感じます。
 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

(参考)山田谷勝善、杉浦祐子、木村善昭(2018)「最新目標管理(MBO)の課題と解決がよ〜くわかる本-MBOの課題を解決する逆引きの指南書-」秀和システム

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