一周忌も終わった

父の一周忌を終わらせることが出来た
お彼岸の忙しいところをご住職の日程の調整を
坊守さんが工夫して下さり
15時から開始の法要となった

歩行が困難になってきた母のため
実家に
兄妹夫婦が集まるだけの
簡素な法事だった
合理主義者の父にふさわしいと思う

父は無神論者を自認していた
私の祖母である父の母親が
よくわからない新興宗教に
傾向するタイプの人だったから
らしいのだ

幼い頃のこと
「鰯の頭も信心から」の言葉を教えられた
それは宗教を否定するだけではなく
手を合わせることの大切さも教えられたのだった

そういえば
父は無神論者と自称しながらも
常に神棚と仏壇の掃除をし
毎朝ご灯明を灯し水を供え
手を合わせていた

今となっては本心を確かめることはできない

私は父と母方の祖母から
手を合わせることの大切さだけは教えられた

報恩講に一度も出席したことのない父なのに
亡くなったその日から
ご住職は病後の身を押して
お勤めをして下さった
若住職がいるにも関わらず
毎日枕経をあげに来て下さった

生前父はご住職のことを
「あの人も次男で、苦労をした人だから」
信頼のできる人だと話してくれたことがあった

二段重ねのお弁当と
中田屋のきんつばをお土産として
ご住職と参列者に渡すだけ
お花はアレンジメントと
洋菓子屋さんの焼き菓子をラッピングしたもの
それに果物をそれぞれ一向かいずつの
規格から外れているかもしれないが
父と云う人らしいのかとも思う

合理主義者の父の意に沿って
無駄を省き
その代わりにお布施とお車代として包んだ
父からの教えは守れたと思う

一年後に三回忌が控えている
まだ気は抜けない

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