見出し画像

身体にいい美味しいものをつくって、商売は子どもたちが継いでくれて、いい人生だなあと思えるそばの味だった

釜石に来て早くも講演するチャンスをいただいて、
朝6時から気持ちよくしゃべらせてもらった。

終わってお弁当タイムのときに、
厳しい顔で聞いていらした年配の方とお話してたら、
名刺交換してみると製麺屋の会長さん。
父親の代から始めて、
そばとうどんと中華麺をつくっていて、
自分が受け継いで少しずつ改良して、
東京だと紀ノ国屋とか明治屋とか成城石井で、
プライベートブランドの商品に使ってもらってる、と。

あるとき、「規模を大きくしたらダメ」とアドバイスうけたので、
有名なスーパーとはお取引させてもらってないし、
なんで麺作って商売しているかというと、
儲かるというよりも、食べてくれる人の身体のことを考えてやっている。
美味しいもの食べているって嬉しくなってほしいからやっている。
ラーメン食べて、小麦の味がちゃんとする麺、
そば食べて、そばの実の味がするそば、
そんな麺をつくってる、と。

自分たちでもそばの畑をもって自家栽培して、
つなぎの小麦は岩手県産、
幸運なことに「仙人秘水」をいうブランドの美味しいお水が湧いているところだから、
いい水を使ってそばをつくっている。
ホントに美味しいんですよ、と、
講演聞いてるときの厳しい表情とは違って、
柔らかな顔と声でおっしゃる。

へ〜、と思っていたら、
そば屋もやってる、とおっしゃるので、
お店を聞いたら川喜家(喜は七がみっつ)

じゃあ今度おじゃまします、とホンキじゃない挨拶をしてその場を取り繕った。

うちに帰って仕事をして、お昼どきになって、
なんか気になるので、ちょっと遠いけど行ってみることにした。

クルマが不可欠な地域にいて「ちょっと遠い」はホントに遠い、
ってことに気がつくほど、
アップルウォッチが「ウオーキングしてるっしょ」ってアラーム鳴らすほど、歩いた。

こっそり食べて帰るつもりだったので、
もりそばを注文して待っていたら、
製麺姿で会長さんがやってきて、
「来てくれたんですか」
とおっしゃるのと、わたしが、
「働いているんですか」
と問うのが同時で、
なんか少しだけ笑った。

生涯現役だけど、お店は長男に、営業は次男に、
といって長男次男もご紹介していただいた。
今どきちゃんと後継者がいるっていうのはいいな、と思って、
そばを食べると、そばが美味い。
そばがキリッとしてて、身体にいいそば、って感じがする。

これからずっと、新コロとは付き合っていかないといけないんだろう。
ほかにも強力なウイルスもでてくるだろう。
自分の身体を強くしていかないといけないね、
そのためには食べるものを選ばないとね、
ホントは自分でつくるということをしたいんだけど、
それが難しいなら、いい材料をつかっているものを食べたい。
できれば、知っている人がつくっているものを食べたい。

最近そう思っていた。

自分一人が身体強くしても楽しくないので、
みんなそうなればいいなと考えている。

食べたものでしか身体はつくられていかないから、
食べるものには、ときどき気を使っていきたい。

それと、
身体にいい美味しいものをつくって、
息子さん二人への事業承継もできて、
川喜家さんは幸せだなあ、と、しみじみとした。