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ベッカムと「計画された偶然性」

ロンドン赴任になった。
サッカーを見ていると、イケメンの選手がいる。
日本ではまだそれほど知られていない選手で、
デイビッド・ベッカムだった。

特派員としてのルーティンの仕事のほかに、
ベッカムを追いかけることにした。
サッカーはよく知らないけど、
学生時代、ラクロスをしていたから、スポーツには興味がある。

しかもそのラクロスも、日本ではまだどの大学にもサークルがなく、
道具は輸入、ルールや練習方法、いろんな情報は海外の雑誌や本から。
まだインターネットがなかった時代だったので、
ネットでサクサク調べることはできなかった。

海外から指導者が来日するらしいと聞いて、アテンド役をかってでた。
宿泊先として自宅も提供した。
細々と始まっていたほかの大学のチームにも声をかけ、
合同合宿を開いて基礎からテクニックを教わり、
キャッチボール以外初めてラクロスらしいラクロスをし、
しかも本場のコーチから最新の情報を得る、練習をする、
そして初めての試合も経験できた。
ゼロから始めて、日本代表選手に。
クロス(ラクロスの競技用具)には、そのときのコーチが書いてくれた
「HARD WORK PAYS OFF」
努力すれば報われる、と。

昨日の大隈塾のゲスト講師は、日本テレビの情報番組「news every.」のキャスター小西美穂さんだった。

コツコツと取材を続けていて、ベッカム本人とも肩を組んで写真が撮れるぐらいに記者として認知されていた。
2002年の日韓合同開催のワールドカップの直前、
イングランド代表の主将となっていたベッカムは試合で骨折をし、
出場が危ぶまれたとき、大量の取材素材を持っていた小西さんは、
日本テレビ本社に連絡をし、独占取材の番組をつくった。
番組の視聴率は高く、第2弾第3弾の番組も当たった。

その功績を買われ、陸上自衛隊のイラク派遣という歴史的局面の取材団のひとりとして抜擢された。
その後、政治部に配属、今はキャスターとして活躍している。

小西さんの講義を聴きながら「プランドハプンスタンス」、とノートにメモした。
「計画された偶然性」。
スタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱した理論で、
「キャリアは偶然の要素によって左右される。
偶然に対してポジティブなスタンスでいる方が、キャリアアップにつながる」
偶然をキャリアに繋げるには、
・好奇心(ベッカムがイケメンだった)
・持続性(ヨーロッパ中での取材を敢行)
・楽観性(実を結ぶ取材かどうかわからないけど)
・柔軟性(本業のルーティン仕事も)
・リスクテイク(周囲からの理解はなかったけれど)
の5つの要素が必要という。

どんな境遇でもめげず、ポジティブなスタンスでいる。
そして、HARD WORK PAYS OFF。

いい学びになった。