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「非認可の世界 世界最大の秘密の暴露」ほか7選/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

非認可の世界 世界最大の秘密の暴露 
スティーブン・M・グリア 著

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VOICE/2200円(税込)

『ディスクロージャー』=情報公開世界最大の秘密が暴かれようとしている

 本誌読者の中には、著者スティーブン・M・グリア博士の名に聞き覚えのある人もいるだろう。彼は「全米で最も権威のある医学協会アルファ・オメガ・アルファの終身会員」である医学博士。かつてはノースカロライナ州の病院で救急医療長を務めていたが、1993年、その職務をなげうって「ディスクロージャー・プロジェクト」に身を投じた。
 これはUFO、地球外知性体、秘密にされている先進的エネルギー及び推進システムについての事実を、全面公開することを目的として、博士が設立した組織である。
 2001年には69名に及ぶ航空関係者や軍人、NASA職員など、いずれも社会的に信頼に足る人物の重要な証言を集めた『ディスクロージャー』を発刊。この地球は、すでに高度に発達した地球外文明の訪問を受けているという事実を暴露した。同書は2017年に邦訳版が出版され、当然ながら本欄でも紹介している。
 本書『非認可の世界』はこの『ディスクロージャー』を整理要約して読みやすくしたような位置づけの書物で、原書の発刊は2017年。
 全体で5つのパートからなっていて、なかでもパート1「UFOとET:機密ファイル」は本書の眼目であり、全体の7割ほどを占めている。『ディスクロージャー』の中でも、特に重要な証言を選りすぐって抜粋した部分で、そこにグリア博士の解説を付し、関係者の証言のほか、ロズウェル事件当時のFBIの機密文書などもそのまま掲載。何が起きていたのかが、明々白々とわかる。
 パート2はUFOとの「第5種接近遭遇」について。パート3は、もともと医者として働いていたグリア博士が、どのような経緯でディスクロージャー・プロジェクトを創設し、最終的には大統領に状況説明を行なう立場にまでなったのか。パート4と5では、UFO隠蔽工作の一端と今後の展望が語られる。
 本書は何より手軽なのがありがたい。何しろ『ディスクロージャー』は膨大重厚な資料集であり、片手で扱うのも困難なほどであったが、本書くらいの分量ならば気軽に携行してどこでも読める。『ディスクロージャー』に挫折した人にも諸手を挙げておすすめできる必読書である。

スクリーンショット (102)

本書の付録。
左:政府の公式文書;1976年。
右:イランにおけるUFO目撃報告書;1976年。

魔女狩りの地を訪ねて クリステン・J・ソリー 著

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青土社/2420円(税込)

魔女狩りの地の、ダークツーリズム・ガイド

 ヨーロッパおよびアメリカの、「魔女狩り」にちなむ地を歴訪する、異色の旅行案内である。著者クリステン・J・ソリーは今流行りのフェミニストで、現役の魔女でもあるという変わり種。魔女であるから、魔女狩りの地を訪れれば、当然ながらその地の過去を透視する。ジャンヌ・ダルク刑死の地では、過去にタイムスリップして火刑台の火の粉を幻視するし、アイルランドの魔女アリス・キットラー(評者はこれまでずっと「カイトラー」だと思っていたが、これが現地風の発音らしい)ゆかりの酒場では、アリス自身が召喚されて秘話を開陳する。
 とはいえ、そういうスピリチュアル的な話ばかりではなく、魔女狩りに関する最新の論文なども抜け目なく押えられているから、通の人にも一目おかれる本に仕上がっているのではないか。 
 しかし何といっても素晴らしいのは、この装幀である。贅沢にも、自ら画廊も営む人気絶頂の画家・絵本作家であるヒグチユウコ氏を起用。美麗な描き下ろし新作イラストで読者を魅了する。はっきりいって、本書の価値の半分以上はこの装幀にあるといえよう。何としてでも電子版ではなく現物を手許に置きたくなる。
 書影は帯を外して撮影されているので残念であるが、実物には帯を付けた状態と外した状態でまるで印象が変わる、楽しい仕掛けが施されている。とはいえ、この帯の惹句はかなりギリギリではないだろうか。

陸軍中野学校全史 斎藤充功 著

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論創社/3080円(税込)

陸軍中野学校の全体像を読み解く決定版

 何しろ「全史」である。本誌にありがちな「秘史」でもなければ「裏面史」でもなく、ましてや「黒歴史」でもない。本書は長年、陸軍中野学校の調査研究に取り組んできた著者の、過去の著作5冊(書名をすべて引用するだけで本欄が埋まってしまう)の重複した記述を整理、統一して再編集し、新たに「樺太・対ソ情報戦」などの3章を追加、新発掘の写真も掲示して「通史として〈陸軍中野学校〉の全体像を読み解くことができる作品として再構成した決定版」である。結果、本書は全632ページの大冊となった。
 さて、そもそも陸軍中野学校とは、昭和13年、諜報や謀略、防諜活動のための工作員養成を目的に作られた、特務教育機関である。世界各地で中野学校の工作員が手がけた「偽札工作、盗聴・盗撮、阿片工作、暗殺計画」などの「秘密工作は、数知れず」とされ、その実力は英米、ロシアの諜報機関にも比肩しうるものであった。
 だが「中野は語らず」といわれるように、戦後、卒業生たちはいずれも固く口を閉ざし、この諜報機関の全貌は杳として知れなかった。そんな彼らに対して、真摯で粘り強い取材を重ね、ついにこれだけの証言を引き出した著者の努力には、心底頭が下がる。本書によって、ようやくわれわれは中野学校を語ることができるようになった。
 本欄に載っているのが不思議なほどの正統派歴史研究書であり、真の労作である。

霊視の人 仏事編 不二龍彦 著

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ナチュラルスピリット/1540円(税込)

霊能力者が語る、仏事の「リアル」

 世の中には、想像を絶するような能力を持つ超人が確かに実在しているらしい。本書で紹介されている梨岡京美氏(通称「京さん」)もそのひとりである。「世間的にはまったく知られていないが」、京さんは「飛び抜けて高い霊能力」の持ち主である、と実際に彼女と相対した著者は断言する。
 著者の不二龍彦氏は、長年、宗教・歴史に関する研究のかたわら、東洋霊学の実践にも取り組んできた、文字通り東洋神秘主義宗教の第一人者である。『日本神人伝』などその方面の著書も多く、とりわけ本誌読者には隔月の人気連載としての「日本神人伝」などでお馴染みであろう。当然ながら、これまでに多くの霊能者とも接してきたが、その中でも京さんの霊能は「歴史的な霊能者と並べても遜色のない、卓越した能力」であるというのだ。
 本書は2部構成で、前半の第1部は、生まれながらの霊能者であった京さんの苦難に満ちた半生と、彼女が発揮する驚異の霊能力をドラマティックに描く。
 続く第2部では、「京さんが世間の人々にどうしても伝えておきたいと願っている〈仏さんの供養〉」が語られる。仏壇や法事の持つ意味に始まって、正しい先祖の祀り方、戒名不要論、成仏させるための正しい葬儀の仕方、墓や遺骨について、など盛りだくさんである。一家に1冊、ぜひ常備していただきたい。いざというときも安心である。

異界への旅 ヨアン・P・クリアーノ 著

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工作舎/4180円(税込)

全世界の主要な「異界」をほぼ網羅

「ここに集う衆庶に知らしめよう。諸氏は天国と地獄への羈旅に立たんとしている」
 本書の冒頭に置かれた「頌辞」の一節である。この一節を見るだけで、本書の訳文の格調の高さ、内容の高尚さがうかがい知れるのではないか。本書は古今東西の神話、伝承、宗教説話等々の膨大な資料を集め、脱魂や昇天、臨死体験や憑依など、ありとあらゆる「異界」体験の逸話を辿り、この世のものならざる世界の「包括的な比較文化的検証」を試みる「異界探究史」である。
 採り上げられるのは、シャーマニズムに始まって古代メソポタミアやエジプトの諸宗教、道教に「佛教」、古代イランの霊魂離脱にギリシア哲学、ユダヤ神秘主義に新プラトン主義、そしてムハンマドからダンテまで、およそ全世界の主要な「異界」はほぼ網羅されている。のみならず、本書においては「精神分析、黙示録的預言、原子物理学、SF、詩的想像などの世界が……一つの物語に溶け合っている」という。
 著者ヨアン・ペテル・クリアーノはルーマニア生まれの宗教学者・哲学者・思想史家。何とあのミルチア・エリアーデに師事したというからただ者ではない。邦訳書に『ルネサンスのエロスと魔術』(工作舎)や『霊魂離脱とグノーシス』(岩波書店)などがある、といえばピンとくる方もおられよう。何しろ高度な学術書であるから、生半可な覚悟では歯が立たないが、その分、読み終えたあとの愉悦はひとしおである。

一神教の終わり ベンジャミン・フルフォード 著  

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秀和システム/1760円(税込)

血族の企むグレート・リセットへの、警世の書

 これまでに本欄でも、その著作を何度か紹介してきたカナダ人ジャーナリスト、ベンジャミン・フルフォード氏の最新作。
「オリンピック」の胡散臭い裏事情の暴露を皮切りに、話は一気に世界を裏から支配する「血族」、すなわち「欧米特権階層の指導者一族」の存在と、その正体へと雪崩を打って突き進む。
 そのような驚くべき情報開示の果てに浮かび上がってくるのが、副題にある「バビロニア奴隷管理帝王学」であり、人類支配のシステムとしての「一神教」である。だがトランプ大統領の当選以後、そうした「一神教」の支配にもほころびが生じつつある。これに対して「血族」すなわちディープステート側が発動した、最後の足掻きこそが「グレート・リセット」計画であるという。現在の新型コロナ禍、およびそれに伴う世界経済の麻痺状態も、この計画の一環だというのだ。
 ジャーナリストとしての著者の実力のほどは、かつて生前のデイヴィッド・ロックフェラー本人と単身会見してインタヴューを敢行したことがある、という事実が端的に物語っていよう。本書は、そんな著者が昏迷する現代日本人に贈る、警世の書。多くのファンや支持者を持つ「フルフォード陰謀論」の、格好の入門書である。これまで著者の発信する、さまざまな情報を断片的にしか把握していなかったという人にとって、待望の書といえるだろう。

オカルト怪異事典 異界への旅 寺井広樹 著

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笠間書院/2420円(税込)

900項目以上のオカルト・怪異用語を解説

 これはまたとんでもない、新発想の事典が誕生したものだ。「目に見えない超自然現象」と「現実にはありえない不思議な事実」。本書はこの「雲をつかむような不確かな」事柄を集め、「読む事典」として解説したもの。
 項目は「おもに二〇世紀から現在に至るオカルト・怪異用語から」選出されたもので、「一般的に知られている言葉が四割、比較的マニアックな言葉が六割程度」であるという。
 実際、「あ」の項を見ると、「アーサー・コナン・ドイル」「アーユルヴェーダ」「アイダハル」「アウターミニッツ」と、頭文字以外は全く無関係な項目がずらずらと並んでいるから、頭がくらくらする。テーマも何もなく、オカルト的情報を手当たり次第にぶち込んだごった煮のような事典である。だが、それがいい。
 著者の寺井広樹氏は、怪談の蒐集や超常現象の研究をライフワークとする「オカルト研究家・文筆家」。また、『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』『日本懐かしオカルト大全』などの著書のほか、何とあの日野日出志が絵を担当する『ようかい でるでるばあ! !』という絵本も手がける、多才な人物。
 本誌「辛酸なめ子の魂活巡行」も大好評の、漫画家でコラムニストの辛酸なめ子氏、それに〈筋肉少女帯〉で知られるミュージシャンの大槻ケンヂ氏が序文を寄せているから、このふたりのファンは何をおいても買い求める必要があるだろう。


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