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事故物件・禁断の歴史・時間の謎……/ムー民のためのブックガイド

「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。

文=星野太朗


世界史に残る不世出の大神人松下松蔵と「宇宙の大気」/宮﨑貞行 著

神人・松下松蔵の生涯を軸に、日本の霊的再生を説く

 松下松蔵は、明治6年に熊本県玉名郡長洲町に農家の長男として生まれた。人から変わり者扱いされるほどの徹底的な親孝行で、幼いころから信仰心に篤かった。大正8年、46歳のときに神前に祈念中、突然、一升ほどの血を吐き、これをきっかけに異常な霊力を発揮するようになる。
 おりしも、世界では未曾有の疫病が猖獗を極めていた。一説によれば1億人が死亡したとされる「スペイン風邪」である。騒然とした世相の中、松蔵は「お手数」と呼ばれる霊的治療を開始。毎日200人以上の患者が押し寄せたが、ひとりあたりものの3分ほどで全快させて見せた。病気のみならず、たとえば骨折などに対しては、神棚に「備蓄」してある骨を瞬時に患者の骨と入れ替えるという意味不明の方法で治してしまった。
 それ以外にも、松蔵は人間を空中に浮かせたり、霊魂を入れ替えたり、病気の原因や先祖の因縁を透視したりと、「ユダヤ人のイエスに劣らない霊能力」を発揮した。だが松蔵によれば、それらすべては「神の力」を示すための方便に過ぎなかった。

 本書は、イエスに匹敵する世界的神人・松下松蔵の生涯を軸に、松下の弟子である医師の塩谷信男、松下を守護霊にもつ工学博士・安藤弘平、さらに日本の心霊研究史を彩る福来友吉、浅野和三郎、三田光一など、多士済々な人物の行状を絡めつつ、日本の霊的再生を説く警世の書。
 晩年、松蔵は病気治しを辞し、「神政復古」という、より大きな目的に専念するようになる。大東亜戦争の勃発と敗戦を予知した松蔵は、時の首相小磯国昭の前で米太平洋艦隊司令長官ニミッツの心霊を召喚し東京空襲を予告させるも、遂にその回避には至らず、昭和22年、失意の内に世を去った。だが著者によれば、松下は今なお、霊界において「なお人類の穢けがれを浄める〈神政〉を実施しておられる」という。
 著者の宮﨑貞行氏は、「官庁と大学に奉職したあと、現在は、見える世界と見えない世界をつなぐ物語を綴っている」。つい先般も本欄で氏の近著『天皇防護 小泉太志命 祓い太刀の世界』を「全日本人必読の名著」としてご紹介したばかりだが、これほどの短期間にまたしても「全日本人必読の名著」を上梓された偉業には敬服するしかない。日本人よ、著者の魂の叫びに耳を傾けよ!


語ることが許されない 封じられた日本史/保江邦夫 著

これまでの歴史観を根底から覆す衝撃の書

 著者の保江邦夫氏は、本欄にもたびたび登場する世界的な理論物理学者で、専門は数理物理学・量子力学・脳科学など。と同時に、「伯家神道」と呼ばれる神道流派の奥義「祝之神事(はふりのしんじ)」の伝承者でもある。
 この神事は皇太子が即位に際して現あら人ひと神がみとなるために受けるものだが、明治天皇以後は途絶えていた。そして著者によれば、これは実際には今から6000年前にエジプトの大ピラミッドの王の間で執り行われていた「ハトホルの秘儀」であったという。
 あのイエス・キリストもマグダラのマリアとともにこの秘儀を受け、神の子として覚醒したのだ。その後、十字架の難を逃れたイエスははるばる日本まで逃げ延び、四国の剣山に到達する。その地には、歴史上の謎とされる「消えたイスラエル10部族」のコロニーがあったのだ。
 かくして日本にもたらされた「ハトホルの秘儀」を巡って、カトリック教会やテンプル騎士団、イエズス会、イギリス国教会などが入り乱れる、真実ならぬ「神実」の歴史が展開される。その内容はまさに驚天動地、封じられて当然の超危険情報だ。
 特に昭和天皇が、剣山に隠された秘伝の巻物の祝詞を用いて、帝都東京に原爆投下を図ったB29をその神通力で消滅させるくだりは読んでいて思わず魂が震えた。やはり天皇はその命を懸けて物理的にも霊的にもこの国を守護する存在だったのだ。
 これまでの歴史観を根底から覆す衝撃の書。心より推奨する。


時間は逆戻りするのか/高水裕一 著

時間とは何なのか、最先端の物理学理論で解き明かす

「時間は逆戻りするのか」。何とも刺激的な問いかけである。そして実をいうと量子力学の世界では、すでに2019年に「熱力学第2法則に反する挙動」が観測されている。つまり、実際に時間は逆戻りしていたのだ。
 では、極微の量子力学の世界ではない、一般的な巨視的世界ではどうなのか、そしてそもそも時間とは何なのかという難問を、最先端の物理学理論を駆使して素人向けに解き明かした好著である。というか、実際には「解き明かした」というよりも、先端の知見を解りやすく伝えることで、読者がみずから「考える材料」を提供する本だ。その材料も、きわめて多岐に亘る「オールスター的な顔ぶれ」で、それだけでも買いである。
 語られる内容はきわめて高度で難解なものだが、やさしくユーモアたっぷりな語り口によって、すんなり頭に入ってくる(ような気がする)。数式も最小限程度には出てくるが、それが理解できなくてもまったく問題はない。「美しい絵」だと思って眺めていればよいレベルだ。
 著者は筑波大学計算科学研究センター研究員で、かつてケンブリッジ大学であのスティーヴン・ホーキング博士の薫陶を受けた超一流の物理学者。このような人がいてくれるだけで、日本の将来にも希望がもてる逸材である。そんな逸材が、おそらく若い人々を念頭に、愛情込めて語りかける最新の時間論・宇宙論。これが面白くないはずがない。すべての青少年に推奨したい啓蒙書だ。 


事故物件怪談 恐い間取り2/松原タニシ 著

ベストセラー『恐い間取り』から2年、再び放たれた続編

「事故物件」とは、「自殺、他殺、孤独死など何らかの理由でそこで人が亡くなった物件のこと」。そのような物件は「宅地建物取引業法」でも「心理的瑕疵」ありとされ、借り手に告知すべきとされている。とはいうものの、いくら家賃がいくらか安いとはいえ、自分から好き好んでそのような物件に住みたがる人はよほどの物好きであろう。
 本書の著者である松原タニシ氏もそんな変人のひとり。みずから「事故物件住みます芸人」を名乗り、一昨年には自身の事故物件体験を赤裸々に記した『恐い間取り』を上梓している。同書は本欄でも取りあげ、次のように紹介させていただいた。
「体験したことがそのまま記されており、特に謎解きだの解決だののカタルシスがまったくないので、ただひたすらに無気味な印象だけが残る」
 本書はあれから2年を経て、松原氏が再び放つ同書の続編である。なんと氏は同書の出版以後もさらに新たな事故物件に住みつづけ、のべ10軒に及んでいるという。ちなみに前作は現在15万部を突破するベストセラーとなったというから、ご同慶の至りである。事故物件に住むことが必ずしも不運を呼ぶわけではないことの証左であろう。
 本書でもやはり前作同様さまざまな物件が取りあげられるが、無気味さは相変わらず。また、前作に登場した5軒の物件の「その後」もしっかり収録されているので、前作読者は必読である。


ディープ・ステイトの真実/西森マリー 著

世界を牛耳る闇の支配層「ディープ・ステイト」を語る

「ディープ・ステイト」とは、著者によればアメリカの「陰で政策(特に外交政策)を牛耳る闇の支配層」のこと。現在では具体的には、軍産複合体、戦争で儲ける組織や業界、諜報機関、ネオコン、リベラル派エリート、投資家ジョージ・ソロス、大手メディアなど「前代未聞の強大な超党派勢力」であるという。
 現在のアメリカにおいて、彼らの最大の敵であり標的となっているのが、トランプ大統領。トランプ大統領はアメリカが他国に干渉することを好まず、不法移民の受け入れにも反対している。裏の世界支配を目指すディープ・ステイトにとってはまさに目の上のたんこぶ的存在だ。
 ロシア疑惑やウクライナ疑惑など、メディアによるトランプ大統領に対する執拗な攻撃は、彼らディープ・ステイトが仕組んだクーデターであった、というのが本書の主張である。
 著者西森マリー氏は、オランダ人の父と日本人の母を持つイギリス出身のジャーナリストで、カイロ大学で比較心理学を専攻。NHKの教育番組で英会話の講師を務めたこともあるという才媛。現在はアメリカのテキサス在住で、英語関係の著作も多い。それだけに、日本人の知らない膨大な生の情報を惜しげもなく投入した論旨は説得力・迫力共に満点。
 時折文体が感情的(というより個人や集団に対する罵倒)になってしまうのが面白い。ディープ・ステイトに対する著者の怒りをストレートに伝えるよい演出である。必読。


これから世界で起きる4つのこと/高島康司 著

現在の状況を整理しつつ、確度の高い近未来図を提示

 本年、世界中を襲ったコロナ禍は、文字通り世界の様相を一変させた。今後、コロナとともに生きる時代の人類は「新しい生活様式」を強いられ、もはやコロナ以前の世界に戻れることはない、とされている。いったいこれからどうなってしまうのか、という不安はだれしも抱えているところだろう。
 このような状況に対して本書は、現在の状況をすっきり整理しつつ、確度の高い近未来図を提示している。著者の高島康司氏はコンサルタント兼社会分析アナリストで、「その分析力は他に類を見ない」。
 標題にある「4つのこと」とは、具体的には次の通り。①ウィルスに対抗するために、世界は5Gを初めとするAIを活用した高度監視社会へと移行する。②経済が破綻の危機を迎えるので、政府が全面的に経済に介入。財政の仕組みをMMT(現代貨幣理論)に変更する。③米中対立が加速し、熱戦の可能性も生じるが、中国が有利。④アメリカは歴史的な混乱期に突入。国内は分裂し、覇権は終焉を迎える。
 何とも暗澹たる気分になる近未来図だが、著者の提示する膨大なデータと圧倒的な分析力を前にすると、黙って受け入れざるを得ない。とはいうものの、著者によれば「この困難な状況は、個の力の本格的な覚醒を促し」、コロナ以後の時代は「輝く個性の光が放たれる時代」になるという。若い人々はどうか希望をもって未来に臨んでいただきたい。


第4の水の相/ジュラルド・H・ポラック

水の「第4の相」というべき「排除層」とは?

 ひと昔前、『水からの伝言』という本が一世を風靡したことがあった。
人間の言葉や音楽が、水の結晶である氷の形状に影響を及ぼすという主張で、小学校の道徳の授業に取り入れられたりしたこともあるが、正統派の科学界からは「似非科学」として排斥された。水が情報を記憶することなどあり得ない、というわけだ。
 そこで本書である。何と最新の研究により、水にはお馴染みの「固体・液体・気体」という3つの相に加えて、「第4の相」というべき状態が存在していることが明らかとなったというのである。この相は「水に浸かった物質の表面で形成される厚い水の層」のことで、「排除層」と呼ばれる。
 そしてこの「排除層」自体がコンピュータのメモリのように、さまざまな情報を保持できる」というのだ。
 本書の著者ジェラルド・H・ポラック教授はワシントン大学生物工学科教授で、水に関する研究では世界の最高峰のひとりという。その教授の研究で、水には情報を保持する能力があると判明したというのだ。これは面白いことになってきた。
 本書はB5判、すなわち本誌「ムー」と同じ判型で、厚さは450ページ。つまり本誌の3倍である。重量も1キロ近くある。それだけのボリュームを持つ高校程度の理科の教科書を想像していただければよい。読み通すには相当の根気と時間、それに学力が必要となるだろうが、その価値は十分にある。


(月刊ムー2020年10月号掲載)


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