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フリーメーソン大国アメリカのニューヨーク・グランドロッジへ潜入!/皆神龍太郎・秘密結社のひみつ

約110万人の会員がいるという、フリーメーソン大国のアメリカ。この国ではメーソンの活動拠点として、各州ごとにグランドロッジが設けられている。そこで今回は、ニューヨークにそびえ建つ巨大グランドロッジの中へと
入ってみた。(ムー 2018年3月号より再録)

文=皆神龍太郎

800のロッジを束ねる巨大なグランドロッジ

 世界征服を狙う悪の組織だとか、世界経済を牛耳る陰謀団体などとよくいわれているフリーメーソン。なかには都市伝説の中だけに存在する架空の組織だと誤解している人までいるようだ。謎に包まれている秘密結社の真の姿を見極めるには、自分の手でその扉を開いて中へ入り、自らの目でその存在を確かめてみるのが一番手っ取り早い。
 日本にも、東京都港区の東京タワーの足下に日本のフリーメーソンの総本山・日本グランドロッジがある。だが、一般の人々が中に入って見学できるのは、年に1、2回開かれているオープンデーのときくらいに限られている。
 一方、広報や宣伝に力を入れているアメリカのメーソンは、もっとフレンドリーだ。ニューヨークのマンハッタン島南西部チェルシー地区にあるニューヨーク・グランドロッジは、日曜祝日を除く毎日、午前10時30分から午後2時15分まで、グランドロッジ内部を見学して回れるガイド付きのツアーを催している。メーソンに興味のある人ならば、ニューヨーク旅行に行くついでに、ぜひ一度覗いてみることをお勧めしたい。

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マンハッタンの大通りに、アメリカ国旗と一緒に翻ひるがえる直角定規とコンパスの旗。隠れる気がまったくないニューヨーク・グランドロッジの目印となっている。

 ニューヨーク・グランドロッジは、ニューヨーク州内に800以上あるメーソンの集会所(ロッジ)を束ねる代表機関だ。かつては所属するメンバー数が世界でもっとも多いといわれた巨大グランドロッジで、現在でも所属メーソンの総数は6万人を超えるという。
 このグランドロッジに所属していた有名メーソンとして、ロバート・リヴィングストンがいる。彼はアメリカ独立宣言の起草者のひとりで、合衆国建国の父にも数えられている。このグランドロッジの3代目グランドマスターも務めた。またオカルトバスターとしてその名を馳せた奇術師ハリー・フーディーニも、このグランドロッジに属するメーソン会員であった。

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メソニックホールの外壁に取りつけられている銘板。1875年にオリジナルのホールが建てられていたことが記されている。

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ホーレンダールームと呼ばれる20人収容の会議室の奥には、黄金に輝くジョージ・ワシントンの像が立っている。訪問時には実際にこの像の下で、メーソンたちの寄り合いが開かれていた。

装飾に凝ったメーソン建築

 通りに面したビルの外壁には直角定規とコンパスが描かれた青い旗がひらめき、フリーメーソンのグランドロッジであることを誇示している。だが、それに気づき足を止めるニューヨーク市民はほとんどいない。
 玄関を入ると右側にカウンターがあり、そこで入館手続きを行う。だれでも無料で入れてもらえるが、身分証明書が必要となるのでパスポートを忘れないように。交付してもらったバーコードをかざし、JRの改札のようなゲートを通れば、もうその中はフリーメーソンの世界だ。

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グランドロッジ内に入館するには、受け付けでパスポートなどの身分証明書を提示して登録をしないと許可されない。ただし登録は簡単で、その場でやってくれる。

 現在のグランドロッジビルは、23番街と24番街にまたがるふたつのビルに分かれている。いずれも1910年代に建てられ、グランドロッジ自身が所有をしている。23番街のビルのほうは主に商業用ビルとしてテナントに貸し出されている。両方のビルに合わせて15の集会所(ロッジ)が入っているが、メーソンたちが儀式などで使用しないときは、一般に結婚式やパーティー用に有料でロッジルームを貸し出している。ニューヨークのメーソンたちは、商売上手でもあるようだ。
「ルネッサンスルーム」、「イオニックルーム」、「コロニアルルーム」などと名づけられた15ある各ロッジは、部屋ごとに天井や壁の装飾にオリジナルの工夫が凝らされている。細部の模様や飾り付けは各部屋で異なっているものの、基本的な構成要素や方角の配置などはメーソンの思想に基づき、どこの部屋も共通となっている。

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地中海をモチーフとして造られている「イオニックルーム」。部屋の周囲が「イオニア式」と呼ばれるデザインの円柱で囲まれているのが特徴だ。

ロッジの基本的な作りは同じ

 各ロッジを上から見ると、以下の図のような作りになっている。

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